LINEチャットボットを活用したタッチポイントの創出からみえた ニューノーマルの顧客との新たなコミュニケーション


急増した問合せへの対応強化
オペレーターへの問合せ数の削減
LINE公式アカウントと連動した施策・改善が可能である
定型的な問合せへの対応
お客様の自己解決率の向上
無添加化粧品や健康食品、サプリメントなどを取り扱う株式会社ファンケル。
定期サービスの導入に伴う問合せ数の急増をきっかけに、カスタマーサポートの体制強化を検討。電話・メールの窓口に加えて、LINEへのAIチャットボット導入で、24時間いつでも問合せできる環境構築による利便性向上を目指しました。
チャットボットの導入によりどのような効果が得られたのか。今回、株式会社ファンケル カスタマーサービス部 お問合せグループ(取材当時)の藤田恵里佳氏にお話を伺いました。
人手に頼らないカスタマーサポートで
自己解決の促進やロイヤリティの向上を目指す
チャットボット導入前には、どのような課題があったのでしょうか。
ファンケルでは、2015年に「健康・得楽便」(現在:ファンケル定期便)という定期購入サービスを開始したのですが、それと同時に、サービスに関する問合せ数が急増しました。当時、問合せ窓口は電話とメールのみで、全て有人で対応を行っていたため、慢性的な人員不足に陥ってしまい、改善施策としてECサイト上のFAQページリニューアルやサイトの機能拡充などを進めたのが導入検討のきっかけです。
このような改善に加えて、人手に頼らず応対ができるカスタマーサポート環境構築の必要性を感じ、チャットボットの導入に至りました。
なぜ「AI Messenger Chatbot」の導入に至ったのですか?
導入以前、FAQページにチャットボットを設置していたのですが、電話やメールの問合せ数の削減には繋がらず、試行錯誤している際に当社ファンケルのLINE公式アカウントの活用を提案頂いたのが「AI Messenger Chatbot」でした。
普段使用しているコミュニケーションツールを活用することで、より利用しやすくなり、お客様の自己解決の促進により問合せ数の削減やロイヤリティの向上に繋がるのでは、という期待がありました。
問合せハードルの低いチャットボットの導入で
サイレントカスタマーの利用が増加
実際に導入することで、どのような効果がありましたか?
問合せ数の削減を狙ってLINE公式アカウントに導入したチャットボットでしたが、実際はサイレントカスタマーの利用が増加したため、件数の削減には繋がりませんでした。
ただ、このサイレントカスタマーの利用増加はメリットとして捉えています。これまで電話では問合せに至らなかった潜在的なお客様でも、気軽に問合せできるようになったと考えているからです。
時間や場所を選ばず、よりフランクなコミュニケーション手段であるチャットボットは、電話より問合せのハードルが低くお客様が利用しやすいのではないかと感じています。
このように、サイレントカスタマーとのコンタクト数の増加によりお客様への情報提供の場が増えたことが導入の大きな効果だと考えています。
さらに直近だと、コロナ禍における対応として2020年5月よりマスクの販売を開始したのですが、販売開始と同時に問合せが急増したため、電話が繋がりにくい状況が続いてしまいました。一方でチャットボットも多く利用いただき、チャットボットの存在によりCXの低下を最小限に留めることが出来たのではと思っています。
いつでも気軽に利用できる、というのはチャットボットの大きなメリットですよね。
そうですね。
”お客様が24時間いつでもどこでも問題を解決できる”ようになる事が私たちの現在の目標なのですが、AI技術によりあらかじめ用意した想定質問に対して自動応答ができ、お客様が営業時間を気にせずにどこでも問題を自己解決できるという点がチャットボットの最大の強みだと思っています。
想定質問の追加などの運用面は大変ではないですか?
「AI Messenger Chatbot」はサポート体制が整っているため、チャットボットの運用・改善は全てお願いしています。私たちだけでは対応の難しい技術面の改善をサポートしてくださるので、とても助かっています。
また、急ぎでの対応や大幅な内容修正などが発生する場合も、スムーズな連携で、スピーディに対応いただけるため安心してお任せしています。
より一層のCX向上に向けて
1to1コミュニケーションの実現を目指す
LINEならではの活用方法はありますか?
長期間運用していく中で、チャットボットへのアクセスがLINE公式アカウント上への広告配信と連動していることが分かり、配信のタイミングで販促に繋がる回答内容の強化を行っています。
他にも、チャットボットのアイコンをワンケルくんというファンケルのキャラクターに設定しており、ワンケルくんとの会話を楽しみに活用してくださっているお客様もいるため、会話の中で商品紹介を行うコンテンツなどを増やして販促強化も行っています。
今後、どのようなカスタマーサポートを構築したいと考えていますか?
現在のチャットボットでは、お客様個人に対する回答ではなく、汎用的な回答をご案内している状況です。お問合せの多くはお客様の登録状況や注文状況に応じて回答する必要があり、その部分にギャップを感じているので、今後は1to1のコミュニケーションがとれるようにしていきたいと考えています。
新しい生活様式の中で、チャットボットはより注目されるお問合せツールになってきていると感じています。同時に、チャットボットの解決率にはまだまだ課題があるため、チャットボットでの対応幅を広げるためにもパーソナルな対応ができるような仕組みが必須になってくるのかなと思っています。
また今後は、ボイスボットの導入も検討しており、より一層のCX向上とお客様に愛されるツールに成長させていきたいですね。

- 社名
- 株式会社ファンケル
- 事業内容
- 化粧品・健康食品の研究開発、製造および販売
- 設立
- 1981年8月18日