2021/07/07

コールセンター外注/構築/運営にかかる費用内訳と削減方法

コールセンター外注/構築/運営にかかる費用内訳と削減方法

コールセンターの費用は大きく設備費と人件費に分けられ、オフィスの賃貸料、通話回線の導入費、PC環境の構築費、システムの開発費に加えて、オペレーターの採用・教育コストと業務オペレーションの構築費用が内訳として挙げられます。

ただこうした費用は、自社内でコールセンターを運営するより、外注によって削減できるケースがあります。

そこで本記事では、コールセンターの構築と運営にかかる費用の内訳と削減方法を解説します。費用内訳を知って、効率的なコールセンターを運用する際の参考にしてください。

コールセンター構築/運営にかかる費用内訳

コールセンターの構築・運営にかかる費用の大まかな内訳は以下のとおりです。

  • 設備費
  • 人件費

 

コールセンターを構築・運営するには、大まかに設備費と人件費が必要です。

それぞれ細かい内訳を紹介します。

設備費

コールセンターの構築・運営にかかる設備費の内訳は、以下のとおりです。

  • オフィスの賃貸料
  • 通話回線の導入費/運営費
  • 電話機/ヘッドセット等の備品代
  • PC環境の構築費
  • システムの開発/導入費

 

オフィスの賃貸料

コールセンター設置には、運営するためのスペースが必要となるため、テナントビルなどのオフィスの賃貸料や、不動産または建物を購入した場合はその購入費がかかります。

通話回線の導入費/運営費

コールセンターで使用される通話回線は、オペレーターの数によって複数の回線が必要になるため、立ち上げ当初は工事費など導入のために必要なコストがかかります。また、ランニングコストも発生します。

電話機/ヘッドセット等の備品代

配置するオペレーターの数に合わせて電話機の購入が必要になります。また、オペレーターは、顧客からの要望に迅速に応えるため、通話しながらパソコン上のデータ確認、購入履歴等の確認を行なわなくてはならず、フリーハンドが望まれます。そのため、ヘッドセットも必要になります。

PC環境の構築費

顧客の要望に応えるため、オペレーターは様々なデータ確認を通話中に行ないます。そのため、電話機同様、パソコンやソフトウェアの用意も必要になります。

システムの開発/導入費

コールセンター立ち上げには様々なシステム開発・導入費がかかります。 パソコンと電話やFAXなどを連携させるCTIシステムは、コールセンター業務には欠かせないものです。

また、例えば夜間や休日、祝日などの対応や待ち時間短縮化を目的とした自動音声ガイダンス(IVR)を利用する場合はその費用もかかります。また、顧客管理システム(CRM)もなくてはならないものです。

人件費

コールセンターの構築・運営にかかる人件費の内訳は、以下のとおりです。

  • オペレーターの採用/教育コスト
  • 業務オペレーションの構築費用

 

育成や研修コストに加えて、オペレーションの構築の内容によっても変化します。

オペレーターの採用/教育コスト

コールセンターに配置するオペレーターを社内スタッフ以外で雇う場合は、採用・派遣に関わる費用も発生します。また、オペレーターは、見えない顧客に対し迅速丁寧な接客が望まれるため、話法やマナーなど高度なスキルも求められます。

そのため、教育や研修を受ける必要があり、外部講師を自社に呼ぶ場合やセミナー、講演会を受ける場合など、多くの教育費、研修コストもかかります。

業務オペレーションの構築費用

業務フローの構築や手順書、トークスクリプト作成に関わる費用がかかります。

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コールセンターにかかる費用の相場

コールセンターにかかる費用の相場は、30〜350万円程度が一般的です。

また、ランニングコストについては、年間で100〜720万円程度が必要でしょう。

機材費
構築費
電話機器
ネット回線工事費
システム導入費用
30〜250万円
メンテナンス費
光熱費等
オペレーターの人件費
システムの保守費用
ライセンス料
50万円〜
外部契約費約50万円

なお、外注する場合においては以下が相場となります。

育成・研修費
資料作成費用
1〜5万円
月額固定10〜30万円
従量課金300〜1,000円/コール

コールセンターを導入する際には、初期費用だけでなく、ランニングコストも調べておきましょう。また、コスト削減のためには、システムの最適化や、オペレーションの見直しなどが必要となる場合があります。

コールセンターを導入する際には、コスト面だけでなく、運用面も含めたトータルな視点での検討が重要です。

コールセンターの外注は費用削減になる

コールセンターの外注は、自社で設備や必要経費を支払い続けるより費用を削減できるケースも多く存在します。なぜなら、自社保有のコールセンターにおいてかかっている諸経費等と比べて、イニシャルコストや人件費等を抑えられるためです。

また、外注によって設備費や人件費といった固定費を外注費として「変動費」に変更できます。変動費化により、企業は売上高に合わせて柔軟にコストをコントロールでき、不確実性リスクの高い時代に対応しやすくなるでしょう。

コールセンター外注・委託にかかる費用体系は2種類

コールセンターの外注・委託にかかる費用体系は、以下の2種類が代表的です。

  • 従量課金
  • 月額固定費

 

どちらの料金体系が適しているかは、コールセンター代行を利用する際のコール数や業務内容によって異なります。コール数が少なく予測可能な場合は「従量課金型」、コール数が多く予測が難しい場合は「月額固定型」が選ばれやすい傾向にあります。

従量課金

コールセンターの「従量課金」とは、サービスを利用した量によって支払い金額が変わる料金プランです。一般的に「コール数×1コールあたりの単価」で金額を支払います。

コール数が少ない場合は費用が抑えられますが、多い場合は月額固定費よりも高くなるのが特徴です。

従量課金で落ち着いていたとしても、コール数の増大によって予想外の費用がかかることを踏まえて、予測が難しい場合は月額固定費も検討しましょう。

月額固定費

コールセンターの「月額固定」とは、月々一定の費用を支払い、あらかじめ設定したコール件数まで料金内で対応してもらえる料金体系のことです。月額固定費はコール単価が安く、まとめて依頼したコール数が多いほどお得になる料金設定が一般的です。

多くのコールセンター代行会社が採用しており選択しやすい一方で、あらかじめ設定したコール件数を超えた場合にかかる追加料金は確認しておくことをおすすめします。

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コールセンター代行・委託の費用相場

コールセンター代行・委託の費用相場を、以下の2つにわけて紹介します。

  • 従量課金
  • 月額固定費

 

従量課金の場合は1コールあたり300〜1,000円程度、月額固定費では取次ぎ対応に絞ると月額2万円程度がおおよその目安です。

従量課金

従量課金の初期費用の相場は、1万5,000円〜5万円程度です。加えて、利用にかかる費用(いわゆるランニングコスト)の相場は1コール当たり300円から1,000円程度が目安です。

月額固定費と比較した場合、費用はやや高めに設定されているものの、事前に設定したコール数以上の受電(コールオーバー)が発生しても単価の変動は少ないのがメリットです。

なお、通話時間や対応件数に応じて費用が発生し、利用頻度が高い場合は費用が高くなる傾向にあるため、頻度が低く予想を立てやすい場合には月額固定費よりお得に抑えられるでしょう。

月額固定費

月額固定費の初期費用の相場は、従量課金と同様に1万5,000円〜5万円程度が目安です。加えて、月額2万円程度のランニングコストがかかります。1件あたりのコール単価にすると、100円〜200円ほどでしょう。

利用頻度に関係なく一定の費用がかかる一方で、利用頻度が高くても費用が変わらないため、予算の見通しが立てやすいのが大きな特徴です。

ただし、利用頻度が低い場合は、従量課金よりも高い費用がかかることがあり、コールオーバーが発生した場合は追加費用として、1件あたり100円〜250円程度がかかります。

コールオーバー料金に注意

コールオーバー料金とは、あらかじめ設定したコール件数を超えた場合に発生する追加料金のことです。主に月額固定費のプランで用いられ、1件あたり100〜250円程度がかかります。

なお、従量課金ではコール数に応じて費用が発生するため、コールオーバー料金を設定していないケースがあります。ただし、似たような費用として一定のコール数を超えた場合において単価を上乗せするといったことがありますので確認しておきましょう。

コールセンターの費用内訳で違いが出る理由

コールセンターの費用内訳で違いが出る理由は、以下に挙げた4つの要素が関係しています。

  • 対応件数
  • 対応時間
  • 対応業務
  • インバウンド・アウトバウンド

 

いずれも高くなったり、安くなったりする要素があるため、それぞれ参考にしてください。

対応件数

コールセンターの費用は、対応件数が多くなるとオペレーターの負担が増え、人員も相応に必要になるため費用が高くなる傾向にあります。加えて、システムや設備のメンテナンス費用の増加も費用に反映されることがあるでしょう。

なお、対応件数が少ない場合でも、高度な技術や専門知識が必要な場合は、オペレーターの資格やスキルに応じた料金設定で高くなることもあります。

対応時間

コールセンターでは、対応時間による費用の変動が発生します。スタッフの人件費が高くなることから、夜間や休日の対応は平日と比べて割高になりやすい傾向があります。

また、夜間や休日は通常の営業時間外であるため、施設や設備の維持管理費用も別途で費用に追加されるケースもあるでしょう。ただし、夜間や休日に対応することで、顧客満足度を高められるケースもあり、費用対効果から考えて選ぶことをおすすめします。

対応業務

コールセンターにかかる費用は、対応業務によっても大きな違いが出ます。

例えば、受付対応や取次ぎのみならコストを抑えられますが、商品・サービスを共有して独自に対応してもらう場合や、トークスクリプトやマニュアルの整備を行う場合は、コストが高くなるでしょう。

また、対応業務によっては、専門的な知識やスキルが必要となるため、それに応じた研修や教育費が必要になることもあります。

インバウンド・アウトバウンド

コールセンターは、インバウンドとアウトバウンドで対応する業務の違いに合わせて、費用にも違いがあります。

業務種類定義具体的な内容
インバウンド業務顧客からの電話を受けて対応する業務全般商品に関する問い合わせへの回答
商品受注
予約対応
キャンペーンやトライアルの受付
メール対応・顧客情報入力などの事務作業
テクニカルサポート
クレーム対応
緊急窓口業務
アウトバウンド業務コールセンターから顧客に電話をかける業務全般新規顧客の開拓(テレアポ営業)
市場調査(満足度調査、アンケート調査)
イベント告知
既存顧客へのフォロー

アウトバウンドの場合、営業先を見極めたり、話を聞いてもらうために高い話術が必要であったりするため、人件費も高くなる傾向にあります。加えて、電話代やリスト購入費用などの外部コストも必要です。

一方、インバウンドの場合は、問い合わせに対する回答やサポートが主な業務であるため、コストを抑えやすい特徴があります。

業務内容や外部環境によって大きな違いがあるため、適切にコストを削減するためにも、それぞれの特徴を踏まえて検討してください。

コールセンターの費用内訳で重要なポイント

コールセンターの費用内訳で重要なポイントは、以下が挙げられます。

  • 使える予算を決める
  • 依頼内容・範囲を決める
  • 月間の対応件数を見積もる

 

使える予算を決める

コールセンターの運営には、人件費や設備費、システム費などが必要となります。これらの費用を予算内で抑えることができるように、事前にしっかりと計画を立てておくことが必要です。

まずは、どのような業務を行うかを明確にし、必要な人員数を把握します。次に、必要な設備やシステムを選定し、その費用を見積もります。加えて、人員の教育やトレーニングにも費用がかかるため、その点も考慮しておきましょう。

これらの費用を合計し、使える予算を決めてみてください。

依頼内容・範囲を決める

コールセンターには、受信業務や発信業務など、様々な業務があるため、依頼内容・範囲を決めることも大切です。具体的に、どのような業務を依頼するか、どの範囲まで対応してもらうかを明確にしましょう。

どのような業務を依頼するか商品の問い合わせやクレーム対応など
どの範囲まで対応してもらうか時間帯や対応言語、対応地域など

依頼内容・範囲を明確にすると見積もりを出しやすく、予定の予算も具体的になることで効率的な運用を実現できるでしょう。

月間の対応件数を見積もる

コールセンターでは、対応する件数に応じて人員やシステムの拡充を実施します。外注の際も同様に、事前に見積もりを行い、必要な人員やシステムを確保した場合、どの程度になるのか調べておきましょう。

対応件数が多い場合は、人員を増やすだけでなく、システムの改善や導入も必要となります。例えば、自動音声応答システムやAIチャットボットの導入により、対応時間を短縮するといったことも検討できます。

人件費以外にも電話回線やシステムの維持費、設備費なども見積もりに含め、適切な予算を立てましょう。

コールセンター構築・運営・委託コストを削減する方法

コールセンターを構築し運営する際、また外部委託を行なう際、コストを削減するには総じて架電数(アウトバウンド数)を減らすことが重要です。

具体的には、以下の方法を検討しましょう。

  • 予約注文・受付をWeb上で完結させる
  • ページ情報を充実させる
  • 顧客層に合わせたインターフェースを追求する

 

予約注文・受付をWeb上で完結させる

コールセンターの構築・運営・委託費用において、人件費は大きなウエイトを占めます。オペレーター数をなるべく少なくすることで多額のコストが削減できますが、顧客からの問合せにきちんと対応できるか不安という方も多いことでしょう。

このような場合は、人工知能(AI)によりチャットを行なうチャットボットの活用や、予約システムの構築、さらに自動音声ガイダンス(IVR)を有効に利用するなど、できるだけ予約注文や受付をWeb上で完結させ、電話以外の問合せ対応を充実させるとよいでしょう。

ページ情報を充実させる

「よくあるご質問」といったFAQをページ内に設け、問合せがありそうな内容を先回りで対応することが大切です。

例えば、ホームページやパンフレットなどに記載されているページ情報に不備やわかりづらい言い回しが多いと、電話による問合せ件数が増え、オペレーターの負担につながります。

また、料金に関する問合せも多いため、各媒体のページ内には料金表や料金内訳を記載するなど、ページ情報を充実させるようにしましょう。

顧客層に合わせたインターフェースを追求する

近年では、パソコンやスマホなど、老若男女を通じて多くの方々が様々なwebサイトを利用するようになりました。しかし、年齢層によって、サイトの使いやすさや見やすさは変わります

例えば、高齢者には文字を大きくし、商品購入方法などわかりやすく記載しないとサイト離脱につながってしまいます。 自社商品やサービスはどのような顧客層をターゲットにしているのかしっかりと把握し、その顧客が求めるサイトの使いやすさや、見やすさを追求する必要があります。そして、その結果、ムダな電話問合せを減らせるのです。

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コールセンター業界で注目されるAI技術とは?

コロナ禍ということもあり、実店舗での売上は減少傾向にありますが、一方でEC需要は年々拡大しています。そのため電話対応など、コールセンターの重要性も高まりを見せていますが、少子化により、オペレーターの人手不足といった課題も浮上しています。

また、問合せは電話やFAXばかりでなく、メールやチャット、LINEなどオムニチャネル化し、顧客対応もますます複雑化しています。 そこで今、注目されているのがAI技術で、人に代わる顧客対応が期待されています。

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カスタマーサポート最適化「AIチャットボット」

チャットボット(chatbot)とは、「チャット」と「ボット」を組み合わせた言葉で、人工知能(AI)を活用した自動で会話できるプログラムのことを指します。

人間同士が会話を行なうのがチャットですが、チャットボットの場合、一方はAIが人間に代わって会話を行ないます。 カスタマーサポートを人力で行なうのではなく、チャットボットをうまく活用されてみてはいかがでしょうか。

人が行なう顧客対応は、例えプロのオペレーターが行なったとしても、スキルやノウハウといった違いもあるため、チャット上もサービス品質に多少のムラも生じてしまいます。しかしチャットボットの場合、AIが行なうため、一定品質が強みといえます。

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電話業務をDX化「ボイスボット」

ボイスボットとは、人工知能(AI)を搭載した音声認識可能なソフトウェアを用いることで、顧客が音声により自動応答システムを操作できる一種の電話代行を指します。

電話応対に対し、このボイスボットもチャットボット同様、一定の品質を維持することができるため、顧客の満足度向上にも効果を発揮します。 また、電話対応をボイスボットが行なうことによって、本業に集中することができるため、業務の効率化、DX化の実現を期待できます。

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まとめ

コールセンター外注/構築/運営にかかる費用を抑えるために、対応方法の効率化を図ることが重要です。ページ情報の充実や、顧客層に合わせたインターフェースの追求によってコスト削減を実現できます。

また、外注する際の料金体系は、主に従量課金と月額固定費に分かれますが、費用対効果も考慮し検討してください。AI技術の活用により、人手に頼らない対応方法として、チャットボットや音声ガイダンス(IVR)の導入もおすすめです。

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