【最終更新日】2021年3月8日
今回は、有人チャットの特徴や活用方法を、実績をもとに紹介します。
近年、企業の問い合わせツールとして電話やメールだけでなくチャットの導入が進んでいます。LINEなどの普及によりコミュニケーション手段としてチャットが身近になったことで、問い合せツールとしてのニーズもますます高まることが予想されますが、実際の利用実態はどうでしょう。
「お客さま窓口の利用実態に関するアンケート」※によると、実際に3人に1人は問い合わせ手段としてチャットを活用したことがあり、さらにそのうち約9割はその利便性から今後も利用したいと感じていることが分かります。
※モビルス調べ「お客さま窓口の利用実態に関するアンケート」
時間と場所を拘束されない
これまで問い合わせ手段といえば、電話やメール、問い合わせフォームが主流でした。
しかし、特に電話の場合、「担当者に繋がらない」「通信料がかかる」「返信が遅い」「営業時間内に問合せが出来ない」など、時間を気にせずに自由にいつでも問い合わせできないことや解決までに時間を要してしまうことから不満が生じていることが分かります。
引用:「お客さま窓口の利用実態に関するアンケート」
それに比べ、チャットでの問合せは時間や場所を気にしなくて良いことに加えて、「オペレータとすぐに繋がり待たされない」「テキストとして記録に残すことができ、見返しやすい」「通信費がかからない、気にならない」といったメリットを感じていることが分かります。
引用:「お客さま窓口の利用実態に関するアンケート」
このように、電話と違って「時間や場所を選ばず、自分の都合に合わせて問合せができる」という点がチャットが急速に浸透した大きな要因であると考えられます。
有人チャット基礎調査
当社の実績を元に、有人チャットの特徴を調査してみました。
有人チャットの導入効果
- 発話から返答まで1分以内
- 半数以上が20分以内に解決
- 約半数は会話のやり取りが20回以内に解決
■発話から返答まで1分以内
まずは、平均返答時間を見てみましょう。
図3:平均返答時間(秒)の分布
※業界/サービス別(非開示)で色分け
※平均返答時間:ユーザーがチャットで入力してからオペレータが返答するまでの平均時間
業界・サービスによって、問合せ対応内容が異なる為一概には言えませんが、
- チャットでやり取りしているメッセージの約50%はユーザーの発話から平均1分未満に返答
- 一番のボリュームゾーンは平均返答時間が30秒~49秒
ということが分かりました。
有人チャットでの問い合わせを経験したことのない人からすると、『返答時間が意外と早いかも』という印象を持たれた方も多いのではないでしょうか?
電話対応の場合でも少なからず、個人情報確認などで待ち時間が発生することを考慮すると、ユーザーの時間や場所を拘束しないことに加え、対応までの待ち時間が少ないことが便利な印象を与えていることが分かります。
■半数以上が20分以内に解決
次に平均会話時間の分布図です。
図4:平均会話時間(分)の分布 ※業界/サービス別(非開示)で色分け
図を見ると、
- 10分未満のものは全体の約18%
- 30分未満のものは全体の約74%
- ボリュームゾーンのピークは13-15分未満
ということが分かります。
ボリュームゾーンでも全体比率が3.6%なので、業界やサービスは関係なく、ユーザーによって会話時間がゆるやかに分散している傾向があるようです。
会話の途中で離脱してしまうユーザーもいるので、全てがチャットで問合せ~解決まで至っているということではありませんが、大半のユーザーは30分以内の会話時間で完結していることが予想されます。
■約半数は会話のやり取りが20回以内に解決
次はユーザーとオペレータの平均会話数の分布図です。
図5:平均会話数の分布 ※業界/サービス別(非開示)で色分け
図を見ると、
- 20会話以内で全体の約49%
- 30会話以内で全体の約87%
- ボリュームゾーンのピークは10会話
ということが分かります。
会話時間の分布よりは緩やかではなく、大半の問合せは10会話から30会話以内で完結しているようです。
会話数は、業界/サービス毎でボリュームのピークが異なることが見て取れ、10会話前後がボリュームゾーンのものもあれば、10会話前後から50会話前後まで広く分布しているものもあるようです。
有人チャットの(活用)利用時間
- 日中の利用者が多い
- 24時間対応の場合、深夜~明け方以外はボリュームはそこまで変わらない
では、実際に有人チャットが利用されている時間帯はいつでしょうか。時間別での利用者数を調べてみました。
図6は時間別での利用者数の分布図、図7は24時間対応している場合の時間別での利用者数の分布図を表しています。
■日中の利用者が多い
図6:時間別利用者数の分布図 ※業界/サービス別(非開示)で色分け
チャットの利用は、10時から急増し、18時ごろにボリュームが下がる傾向が見られます。
これにより、日中の仕事の合間に問い合わせを利用しているユーザーが多いことが予想されます。
■24時間対応の場合、深夜~明け方以外はボリュームはそこまで変わらない
図7:24時間対応している業界/サービスに絞った時間別利用者数の分布図
※業界/サービス別(非開示)で色分け
24時間対応している場合でも、お昼付近や帰宅時間前後でボリュームがやや増えるものの、深夜~明け方以外はそれほどボリュームが落ちないことが分かります。
電話対応の場合、問い合わせが集中する時間帯に合わせてオペレーターの配置人数の変動が必要になりますが、チャットの場合は、急激な問合せの増加の場合もオペレータ1人に対して、同時に複数人の対応ができるため、オペレーターの配置人数の調整が不要であることもチャットの特徴です。
まとめ
今回は、有人チャットの特徴を調査結果や実績値を踏まえながら紹介しました。
- 問合せツールとしてのニーズは高まる傾向
- ユーザー側だけでなく、企業側にとってもメリットがある
– 時間が拘束されない
– 最小限の会話で互いに認識をすり合わせることができる
企業におけるチャット対応のメリットは「同時に複数人の問合せに対応できる」ことです。当社でも沖縄に業界では珍しいチャットセンターを保有しており、平均3人のユーザー対応を同時に行っております。
電話の場合、終話するまでユーザーとオペレーター双方の時間が拘束されてしまいますが、チャットの場合は拘束されずにやり取りが出来るため、電話に比べて約3倍の生産性があると言えます。
また、電話は口頭での説明であるため、説明が難しい内容に関しては、ユーザー側とオペレータ側の双方の認識をすり合わせるのに何度も質問や確認のやり取りを行う必要があります。
この点、チャットでは画像や動画を活用したやり取りが可能なため、互いに最小限の会話で認識をすり合わせることが可能です。
このようなチャットならではの特徴も、平均対応時間が短い特徴として言えます。
本調査を通して、チャットでの問合せ対応の検討材料として少しでもお役に立てますと幸いです。