【最終更新日】2021年2月8日
チャットボットの効果・メリットとは?導入のポイントや注意点まで詳しく解説
「コールセンターの負担を軽くしたい」、「24時間365日顧客対応できるようにしたい」など、こうした企業課題を解消できるシステムとして、いまチャットボットが注目を集めています。ここでは、そんなチャットボットの効果・メリットについて解説します。効果を上げるためにおさえておくべきポイントや注意点についても紹介しますので、チャットボット導入前にぜひご覧ください。
チャットボットとは?
チャットボットとは、質問にチャット形式で自動返答するシステムのことです。企業のホームページやECサイトを開いたとき、画面右下にLINEのようなチャット画面が出てきたことはありませんか?それが、チャットボットです。チャット画面に質問を打ち込んだり、表示された選択肢を選択したりすることで、ユーザーは疑問を解決することができます。
質問に対応するのは人間ではなくロボットなので、これまで有人でしか対応していなかった問い合わせ業務の効率化を図ることができます。わざわざ電話をかけなくても、スマホやPCから直接質問できるという手軽さから、顧客満足度のアップやCVRの向上にもつながる非常に便利なツールです。
とはいえ、チャットボットは種類ごとにその特徴が異なります。適切な種類を選択しないと、業務改善につなげることは難しいでしょう。そこで、今回は「シナリオ型」と「AI(FAQ)型」という2種類のチャットボットを紹介します。それぞれの特徴を比較しながら、どちらが自社に適しているか考えてみましょう。
選択肢で回答を出す「シナリオ型」
シナリオ型は、画面上の選択肢から該当する問い合わせ内容を選択していく形式のチャットボットです。ルールベース型と呼ばれることもあります。シナリオ型は、事前に「質問」とその「質問への回答」を登録することで、ユーザーの疑問を解決することが可能になります。AIを搭載しているわけではないため、あくまでも事前に登録した内容以外の質問に回答することはできません。
例えば、以下のようなUIが考えられます。チャットボットの画面上に「本日のご用件を以下よりお選びください」とあり、その下に「料金についての質問」、「資料請求」、「サービスに関する質問」などの選択肢が設けられ、それらの選択肢から該当するものを選ぶと、新たに選択肢が表示され、さらに選択肢を選んでいくと、いずれ回答が表示されるという形式です。
シナリオ型が適しているのは、よくある質問・簡単なトラブルへの対応です。あらかじめ、よくある質問とその回答を作成しておけば、よくある質問への回答が自動化されるため、結果的に、サポートセンター等の業務を削減することができるでしょう。あるいは、ヘルプデスクやトラブルシューティングなど、自社のサービスなどで想定されるトラブルへの答えをあらかじめシナリオとして登録しておくという使い方も、業務の効率化に有効です。
ただし、先ほども述べたとおり、AIを搭載しているわけではないため、事前に準備しておいたシナリオやルールから外れた質問には対応できません。そのため、選択肢を選んだ結果、求めていた回答が得られなかったというケースも考えられます。この場合、ユーザーは改めてオペレーターに問い合わせなくてはならなくなり、顧客満足度が下がる可能性があります。
また、ユーザーがスムーズに選択肢を選べるように、綿密なシナリオ設計が必要になります。シナリオの設計には、相応の時間と手間がかかりますので、その点も認識しておきましょう。
入力された質問に答える「AI(FAQ)型」
「AI(FAQ)型」は、入力された質問にAIを使って答えるチャットボットです。シナリオ型とは違い、事前に登録した内容だけでなく、自然言語処理などのAIを活用して、より広範囲の問い合わせに対応することができます。初期設定の際に、膨大な「教師データ」をインポートすることで、それをもとに機械学習をおこなっていき、回答精度を上げていく仕組みです。
「AI(FAQ)型」は、フリーテキストで入力できる形式が多く、質問したい内容をダイレクトに聞くことができます。シナリオ型と同様、手続き、店舗所在地、営業時間など、よくある質問への回答に加えて、ECサイトでの顧客対応にも役立ちます。
例えば、回答履歴を参考に、ユーザーの求めている商品を自動的に提案するなど、接客にチャットボットを活用することも可能です。最近では、シナリオ型とAI(FAQ)型のハイブリッドで使用しているケースも増えています。これなら、選択肢で疑問を解決できるのと同時に、フリーテキストで聞きたいことをダイレクトにたずねることもできるのです。
ただし、最初に用意した教師データの質が悪いと、回答精度が上がりづらくなります。また、ユーザーからの質問に正確に答えられるようになるまで、一定の学習期間が必要になります。さらに、回答精度を上げるためには、適宜チューニングしなければなりません。チャットボットの効果を発揮するには、相応の時間と人的コストが発生することを考慮しておく必要があります。
チャットボットの6つの効果・メリット
チャットボット導入前の企業は、多くの場合、「コールセンターのスタッフの負担が大きく、残業が増えている」、「24時間顧客対応できないことによる機会損失」、「ECサイトのCVRが低い」などの課題を抱えています。
チャットボットを導入すると、こうした企業課題を解決できる可能性があります。それでは、実際にチャットボットにはどんな効果やメリットがあるのか、1つずつ見ていきましょう。
1.24時間365日、時間に関係なく、顧客対応ができる
チャットボットを導入すれば、24時間365日、いつでも問い合わせに対応することができます。平日の夜や休日など、なかなか人手を割くのが難しい時間帯でも、チャットボットが自動的に顧客対応してくれるため、スタッフが不在のときでも、ユーザーの疑問に答えて、顧客満足度を向上させることもできるでしょう。
人を増やさずに、顧客接点を増やせるという点は、大きなメリットです。とくに、ECサイトは、休日や夜間などにアクセスするユーザーもけっして少なくありません。こうした有人対応ができないときでも、ユーザーの疑問に回答できるチャットボットを設けておくことで、機会損失を回避することにもつながります。
2.コールセンター等の人的コスト・工数の削減
問い合わせにチャットボットではなく、スタッフが対応した場合、同じ質問でも人によって回答が異なるという状況に陥るリスクがあります。そのため、よくある質問については、回答がブレないチャットボットに任せておくほうがよいでしょう。そうすれば、スタッフによって回答がバラバラになり、想定外のトラブルに発展するような事態を回避することができます。
簡単な質問はチャットボットで対応し、複雑な質問や特殊な内容の問い合わせについては有人対応にすることで、これまでスタッフにかかっていた負担を軽減しながら、チャットボットではカバーしきれない問い合わせにも答えることが可能になります。
こうして業務の効率化が図れれば、ほかの業務を進める時間が確保でき、労働生産性の向上・残業時間の削減にもつながります。働き方改革の一環としてチャットボットを役立てることもできるのです。もちろん、チャットボットに仕事を割り振ることで、人的コストをカットすることも可能です。
3.電話の待ち時間の削減による顧客満足度の向上
「コールセンターに連絡したものの、10分以上も待たされた……」、「メールで質問したけど、返信が3日後だった……」といった、電話やメールの待ち時間を削減できるという点もチャットボットのメリットの1つです。
近年はSNSをはじめとしたチャット形式のコミュニケーションツールが発達し、コミュニケーションのスピード感が重視されています。そのため、「電話がつながりづらい」、「返信が遅い」というように、コミュニケーションスピードが遅いと、顧客満足度が下がる可能性があります。
チャットボットがあれば、LINEを使うときと同じような感覚で、チャット形式で気軽に質問ができます。これなら、電話やメールを待つ時間は必要なく、疑問に対する回答もすぐに得られるため、結果的に顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
4.ユーザーの声を数字で把握できる
チャットボットを使えば、ユーザーが何に不満を感じ、何に疑問を覚えているのか、定量的に把握することができます。チャットボットの使用データは、自動的に蓄積されていくため、単なる顧客対応だけでなく、のちのデータ分析に役立てることもできるのです。
これまで浮かび上がってこなかった課題を、チャットボットを介して見つけ出すことができるかもしれません。また、そもそもチャットボットは、電話やメールよりも気軽に質問できるツールであるため、ユーザーの声を集めやすいというメリットもあります。こうして集めたデータを参照し、顧客ニーズを把握して、サービスの改善につなげることも可能です。
5.問い合わせのハードルが下がる
すでに何度か触れていますが、チャットボットは、電話やメールよりも問い合わせの際に気軽に使えるツールです。ユーザーのなかには、電話が苦手という方もいますし、営業時間内にかけなくてはいけないという制限もあるため、電話を面倒に感じるユーザーは少なくないでしょう。しかし、チャットボットを設置しておけば、時間も、電話先の相手を気にすることもなく、いつでも気軽に問い合わせることができます。
6.WEBサイトの集客・収益(CVR)の改善につながる
ユーザーはすぐに疑問を解決できないと、離脱する傾向があります。そのため、気軽に質問できるチャットボットの存在が重要なのです。チャットボットを使って、すぐに答えを得られるようにしておけば、離脱防止につながります。あるいは、チャットボットで、ユーザーの取りこぼしを回避し、商品の購入やサービスの申込といった次のアクションにつなげることも可能です。
例えば、「何かお困りですか?」という案内から、商品購入や資料請求などのCVRにつながるように、シナリオを設計することで、CVRの改善を図ることもできます。問い合わせツールとしての利用だけでなく、接客ツールとしてチャットボットを利用する意識も持つことが重要です。
導入前におさえておくべき!チャットボット導入の5つのポイント
チャットボットの効果・メリットについては、すでに説明したとおりです。しかし、これらの効果を引き出すには、いくつかのポイントをおさえておく必要があります。業務の効率化、CVRの改善といったプラスの効果を得るためにも、事前にチャットボットの運用のポイントを理解しておきましょう。
1.チャットボット導入の目的をはっきりさせる
チャットボットを導入する際は、目的を明確にしておく必要があります。用途に応じて適切なチャットボットを選択しないと、「コールセンターの負担を軽減させたかったのに、むしろ負担が増えてしまった」というケースに陥る可能性もゼロではありません。
「コストの削減」、「顧客満足度の向上」、「CVRの改善」など、自社の課題の特定と、チャットボットでその課題が解決可能かどうかを、よく検討してみてください。そのうえで、「シナリオ型」か「AI(FAQ)型」のどちらが適切か考えてみましょう。
自社だけで判断が難しい場合は、チャットボットを扱う専門会社に相談するのも1つの方法です。例えば、AIチャットボット「AI Messenger」では、お問い合わせいただければ、ヒアリング実施後、過去データ分析(無償)をおこない、最適なプランやロードマップの提案をおこないます。
2.ユーザーのメリット(顧客満足)を考えて導入する
顧客満足度を上げるには、ユーザーにとってチャットボットがどんなメリットを持つのか、よく理解しておく必要があります。主に考えられる、ユーザーにとってのメリットは、「いつでも問い合わせができること」、「電話待ち、メールの返信待ちの時間がない」、「電話より気軽に問い合わせができる」、「文字でやりとりができ、文字で記録が残せる」の4点です。
こうした、ユーザーのメリットを把握したうえで、チャットボットを運用しましょう。ちなみに、最近はスマホからアクセスするユーザーも多いため、スマホで見たときに使いやすいかどうかにも、注意を払う必要があります。
3.チャットボットの運用担当者を決める
チャットボットの効果を最大化させるには、チャットボットのシナリオづくりや、情報の更新が欠かせません。シナリオ型でも、AI(FAQ)型でも、どちらにしても、ユーザーの質問に回答できなかった際は、メンテナンスやチューニングなどの作業が必要になります。
仮に、回答精度が低いまま放置しておくと、ユーザーからクレームを受けることにもなりかねません。そのため、チャットボットを導入する際は、運用担当者を決め、チャットボットのPDCAを回せる体制を構築しておく必要があります。1回導入したら終わりではなく、導入後も、回答精度を上げるために、そして、顧客満足度を上げるために、運用・分析をおこなわなければならないのです。
しかし、なかには運用担当者を用意できないという企業もあるでしょう。その場合は、チャットボットベンダーに、チャットボットの運用代行や分析を依頼してみてください。運用コンサルを受けることで、特別な知見がない場合でも、チャットボットを導入し効果を発揮することができるでしょう。
4.チャットボットと有人オペレーター対応の両方が必要
チャットボットだけでは解決できない質問は、必ず存在します。ユーザーの疑問を放置して、サイトや企業のイメージを下げないよう、有人対応ができる体制の構築は重要です。
簡単な質問に関してはチャットボットに任せてしまい、そのほかの、個別の事案や複雑な質問については、「チャット内で有人対応する」、「電話でオペレーターが対応する」など、有人対応ができるシステムを準備しておく必要があります。チャットボットから有人対応への引継ぎシステムについては、検討しておきましょう。スムーズに切り替えができれば、ユーザーの印象もよくなるはずです。
5.解決率などを参考に、チャットボットの効果を測定する
チャットボットの効果を上げるには、蓄積されたデータを分析する必要があります。事前に設定した目標値に対して、運用後の数値がどう変化したのか検証し、運用の見直しを図ることで、さらなる効果的な運用が可能になります。
効果測定の際に重要な指標はさまざまありますが、主に以下の数値に注目してください。
・「回答率」
・「解決率」
・「チャットボット経由のCV数」
回答率は、ユーザーの質問に対して、返答できた割合を表しています。一方、解決率は、実際にどのくらいユーザーの役に立ったかを表す指標です。
例えば、チャットが終わった段階で、「疑問は解決されましたか?」という質問が表示され、「はい」か「いいえ」を選べるようになっていることがあります。二択のうち、どのくらいの人が「はい」を選んだのかを、解決率では見ることができます。「はい」の割合が低ければ、それだけ回答精度も低いと考えられますので、シナリオの見直しなどが必要になります。
また、「CVRの改善」を目的としてチャットボットを導入した場合は、「チャットボット経由のCV数」にも注目しましょう。チャットボットから、資料請求、申込などのアクションにどれだけ移ったのかを知ることで、チャットボットの貢献度を把握することができます。
チャットボットを導入するときの注意点は?
上記のようにポイントをおさえて運用すれば、問い合わせ業務の効率化、コストの削減など、多くの効果・メリットがあるチャットボットですが、もちろん注意点も存在します。デメリットを被らないよう、チャットボットの注意点についても理解しておきましょう。
導入コストや運用(チューニング等)の手間が発生する
チャットボットを運用するには、相応の費用と手間が発生します。例えば、シナリオ型の場合は、実装する前にシナリオを構築する必要があります。AI(FAQ)型は、FAQを整理し、膨大な教師データを学習させなければなりません。
そして、どちらの場合も、導入後、回答精度を向上させるために、適宜、チューニングをおこなうことになります。これだけの作業をおこなうには、専任の担当者が必要になるため、人材確保のためのコストが発生するケースも考えられます。
費用対効果を吟味し、自社にとってマイナスにならないように、チャットボットを導入・運用しましょう。人材確保が難しい場合は、FAQの整理やチューニングなどチャットボットの運用を担ってくれるベンダーがありますので、そちらに運用コンサルを依頼しましょう。
チャットボットは導入までに時間がかかる
上記の内容に関係しますが、チャットボットは導入までに時間がかかります。シナリオの作成、FAQの整理、人材確保など、もろもろの作業に時間をとられることになります。
とくに、AI(FAQ)型は、機能が複雑なものの場合、導入するまでに半年以上の期間を必要とすることもあります。費用、手間、時間の3点に注意を払いましょう。
長い文章の質問に回答できないことがある
チャットボットは、長文の質問に対応できないことがあります。内容が複雑だったり、文脈理解が必要だったりする長文を、チャットボットが認識することは難しいので、その場合でも対応できるようオペレーターの存在は必要不可欠です。
また、インプットされていない情報に対応することもできないため、回答精度を上げるためにも、常に情報の更新や、チューニングをおこなわなければなりません。
まとめ
ここでは、チャットボットの効果について解説しました。さまざまな質問に自動的に返答してくれるチャットボット。最後に、そんなチャットボットの効果を振り返っておきましょう。
1.24時間365日、時間に関係なく、顧客対応ができる
2.コールセンター等の人的コスト・工数の削減
3.電話の待ち時間の削減による顧客満足度の向上
4.ユーザーの声を数字で把握できる
5.問い合わせのハードルが下がる
6.WEBサイトの集客・収益(CVR)の改善につながる
チャットボットを導入することで、以上6つの効果・メリットが得られます。ただし、チャットボットを導入する目的を明確にするのはもちろん、どこまでを機械に任せて、どこから有人対応にするのか、業務のすみ分けについても事前にしっかり決めておきましょう。
そして、シナリオ型とAI(FAQ)型のどちらが適しているのか判断し、チャットボットを導入してみてください。「知見がない、チューニングに工数を割くこともできない、でもチャットボットを導入したい」という場合は、AIチャットボット「AI Messenger」の利用をご検討ください。プロフェッショナルによる初期分析と運用コンサルで、回答精度の高い高品質なチャットボットが実現できます。自社の課題を解決するために、ぜひ「AI Messenger」を活用してみてください。
「AI Messenger」へのお問い合わせはこちら
https://www.ai-messenger.jp/contact/
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