2021/03/22

IVR(電話自動応答システム)とは?導入のメリット・デメリットなどを紹介

IVR(電話自動応答システム)とは?導入のメリット・デメリットなどを紹介

IVRは、多くのコールセンターやカスタマーセンターに採用されているシステムの一つです。音声自動ガイダンスで担当窓口の振り分けができるIVRを導入すれば、事業者側にもユーザー側にも大きなメリットがあります。

この記事では、IVRの概要やメリット・デメリット、効果的な導入方法などを解説します。IVR以外のオペレーション効率化システムも紹介しているので、オペレーション業務の効率化を検討中の方はぜひご覧ください。

IVR(電話自動応答システム)とは?

IVRとは、Interactive Voice Responseから頭文字を取った略となり、電話自動応答システムのことです。「IVR」という名称になじみのない方でも、カスタマーサービスに電話した際の機械音声といえば、すぐにイメージできるのではないでしょうか。

IVRが導入されている場合、電話がつながるとオペレーターやカスタマーサービスではなく、音声ガイダンスにつながります。そして発信者が、ガイダンスの指示にしたがって番号を入力すると担当部署につながるシステムです。

IVRには、ビジネスフォンに専用装置を設置するタイプや、インターネットを通じて手軽に導入できるクラウドタイプなど、さまざまな種類があります。

この章では、IVRの仕組みや普及した背景を掘り下げて紹介します。

IVRの仕組み

IVRでは、導入時にあらかじめシナリオを設定し、担当者や担当部署ごとに番号を割り当てます。

シナリオとは、問い合わせ内容の振り分けを行なうためのストーリーのようなものです。ガイダンスは、「Aの要件の方は1を、Bの要件の方は2を……」といった具合に流れます。

シナリオは、複数層のツリー構造を取るケースが一般的です。問い合わせ内容が多岐にわたる企業やコールセンターの場合、利用者の利便性を高めるには、最適なシナリオ設定をできるか否かが、大きなポイントになります。

IVRが普及した背景

現在、IVRは多くの企業のコールセンターで活用されています。これほどまでにIVRが普及した背景には、コールセンターの慢性的な人材不足問題があります。

コールセンターの人材定着率の低さとして考えられる要因は、以下のとおりです。

  • 顧客からのクレーム対応をしなくてはならないため、精神的な負担が大きい
  • メーカーや小売業のコールセンターでは高レベルの商品知識が必要とされるため、研修をする側のリソースが必要になる
  • 多数の商品やサービスを扱っているコールセンターでは、振り分けがされなければ一人ひとりの担当する範囲が広くなり、負担が重くなる

IVRはこれらの問題を解決し、オペレーター業務の効率化やスタッフの負担軽減、メンタルヘルスの改善などに効果を発揮します。また、スムーズに担当部署につながり、顧客が抱える問題をすばやく解決することで、顧客満足度向上も期待できるでしょう。

IVR(自動音声システム)のメリット

コールセンターでの必要性からIVRが普及したのは前述したとおりですが、IVRを導入することで事業者側と発信者側の双方にメリットがあります。

この章では、5つの観点からIVR導入のメリットを解説します。

1. 業務効率化・リソース削減

一点目は、事業者側の業務効率向上とリソースの削減です。IVR導入とリソースの削減の流れは、以下のとおりです。

まず、IVRの機械音声での振り分けや自動応答によって、担当者の電話取り次ぎや応対の負荷、研修や情報共有の負荷が軽減されます。その結果、効率良くオペレーター業務が行なえるようになり、事業者のリソースの削減につながります。

大手企業やコールセンターなどでは、担当する商品やサービスが複雑化・専門化しやすい傾向にあるため、IVR導入によってかなりの負担軽減を実感できるでしょう。スタッフの人員が限られることの多い中小企業のオフィスや店舗では、効率的な運営をするためにIVRが役立ちます。

2. 保留時間の短縮

保留時間の短縮は、一見、利用者側のメリットのように感じますが、顧客満足度の向上につながるという点で、事業者側のメリットにもなります。

保留時間が短縮されるのは、利用者が自ら番号入力することによってダイレクトに担当部署に電話がつながり、総合受付や代表番号などでの回線混雑が避けられるからです。

また、保留時間に加えて、以下のような時間も短縮できます。

  • 総合窓口のスタッフから、担当窓口につながるまでの待ち時間
  • 総合窓口のスタッフと担当部署のスタッフ両者に対して、利用者が要件を説明する時間(担当窓口につないでもらうために、総合窓口のスタッフにも要件を簡単に説明する必要があるため)

待ち時間が長引くと、小さなクレームが大きく発展したり、問い合わせを敬遠されたりするなど、事業所にとって顧客離れにつながるリスクがあります。

3. 部署間でのたらい回しがなくなる

大手企業や取り扱う商品の多いコールセンターで起こりがちな問題が、部署間でのたらい回しです。担当が細かく分かれていると、社内のスタッフでも担当部署がわからなくなってしまうため、たらい回しの問題が発生してしまいます。

たらい回しがなくなれば、スムーズに担当者につながる利用者側はもちろん、事業者側にも以下のメリットがあります。

  • 問い合わせの仕分け窓口を設ける必要がなくなる
  • 二度手間の軽減(IVR未導入の場合、本来は他部署が担当すべき電話を、電話を受けた部署で対応するケースがあるため)
  • 効率化に成功することで、人件費の削減や人員配置の最適化につながる

このように、たらい回しの問題解決は、利用者側にも事業者側にも大きなメリットになるでしょう。

4. 営業時間外でも自動音声でアナウンスできる

IVRを導入すると、自動音声アナウンスによって時間外の問い合わせでも24時間365日対応できるようになります。特に、仕事や学校などがあり、コールセンターが稼働している平日の営業時間中に時間を自由に取れない利用者側にとっては、大きなメリットです。

企業側にとっては、顧客満足度の向上に加えて、混雑の解消というメリットもあります。24時間電話対応できるようにすることで、架電の時間を分散させられます。

ただし、対応内容によって自動アナウンスできるものとできないものがあるため、注意が必要です。

5. キャンペーンなどが実施しやすくなる

IVRは、キャンペーンなどの営業戦略に活用することもできます。

顧客側にとって大きなメリットになるキャンペーンを展開したくても、事業者側の状況によっては対応できないケースもあります。典型的な例は、殺到が予想される問い合わせに対して、十分な数のオペレーターを確保できないケースです。

IVRの自動応答を利用して資料請求などに対応すれば、キャンペーン利用希望者からの電話が殺到しても、混乱が生じにくくなります。クラウドタイプのIVRであれば、短期間のみの導入も可能であり、必要最小限の費用投資で済むというメリットもあります。

IVR(自動音声システム)のデメリット

IVR導入によるメリットはさまざまありますが、導入方法や状況によってはデメリットが生じることもあります。この章では、2つの側面からIVRのデメリットを紹介します。

担当者とつながるまでかえって時間がかかることがある

IVRは、状況によっては電話がつながるまでの時間が余計に長くなる可能性があります。

例えば、回線が混み合っている時間帯や、常に電話が鳴り続けているようなコールセンターでは、IVRの導入メリットが大きいでしょう。しかし、ガイダンスの質問が多い場合などは、何度も番号入力をしなければならず、担当者とつながるまでに多くの時間を要する場合があります。このようなケースでは、IVRを導入するよりも、担当部署の直通ダイヤルをアナウンスしたほうが効率的かもしれません。

このデメリットによって、直接影響を受けるのは利用者側です。そして、顧客満足度の低下という点で、事業者側のデメリットにもつながります。

シナリオ設計や質問が適切でないと「その他の問い合わせ」が増える

IVRを導入する際、事業者側が十分に注意しなければならないのは、シナリオ設計や質問の内容が適切であるか否かです。

質問内容が複雑な場合、せっかく担当部署を設けても、利用者はどのボタンを押して良いかわからず、「その他の問い合わせ」にダイヤルが集中してしまいます。

特に、2層、3層のツリー状のシナリオ設計をする際には、利用者が最終目的までスムーズに到達できるようにすることが大切です。

このようなシナリオの問題が生じると、業務効率が改善できないという点で、企業側にとっての大きなデメリットになります。

IVR(自動音声システム)を導入する際のポイント

IVRには大きなメリットがあるものの、適切に運用できないと逆にデメリットが目立ってしまうリスクもあります。この章では、IVRを効果的に導入し、業務効率改善や顧客満足度向上につなげるための方法を解説します。

導入によって顧客満足度が下がらないのかを検討する

IVRによって、コールセンターやカスタマー業務が効率化することはたしかです。

しかし、そもそもの架電数が少ない中小企業や、十分な数のスタッフが在籍している企業では、IVRを使用しないほうが早く担当者につながるケースも少なくありません。なかにはIVRのボタン操作が始まるまでのガイダンスだけで40要することもあり、時間がかかるばかりで効率化につながらない可能性もあります。

業務効率の改善やスタッフの定着など、事業者側のメリットは重要ですが、顧客側の利便性をなおざりにすると満足度が下がり、顧客離れを招くリスクもあることに注意しましょう。

シナリオと内容をシンプルにする

IVRの本来の目的は、利用者がストレスなく希望の担当者と話せるようにすることです。したがって、IVRのシナリオは以下の点に注意しなくてはなりません。

  • 専門用語や業界用語を使用しない、クセのない日本語であるなど、わかりやすいガイダンス案内
  • 誰でもわかりやすいシンプルなシナリオ設計
  • 一つひとつのガイダンスが短く完結で、何番を押せば良いか明確な内容

ガイダンスに関して失敗しがちなポイントが、丁寧な対応を心がけるあまりガイダンスが長くなり、結果的に顧客のストレスになってしまうケースです。特に、冒頭では挨拶や録音の許可など伝えるべきことが多いため、ガイダンスが長くなりがちです。

また、商品・サービスの改定やトレンドによる問い合わせ数の変化などが考えられるため、定期的にガイダンスの見直しを実施する必要があります。

「その他の問い合わせ」や「オペレーターと話す」の選択肢を必ず設ける

シナリオ作成の際には、必ず「その他の問い合わせ」や「オペレーターと話す」の選択肢を設けましょう。

利用者からの問い合わせのなかには、事業者側があらかじめ設定したシナリオに該当しない問い合わせもあります。また、利用者がIVRの操作に慣れていなかったり、質問内容が明確でなかったりする状況も考えられるでしょう。

このような場合のシナリオがないと、利用者が適当にボタンを押して専門外の部署につながるケースが増加する恐れがあります。

あらゆる利用者を想定して、「その他の問い合わせ」や「オペレーターと話す」の選択肢を設けておくことが重要です。

コールセンター・カスタマー業務を効率化するためのポイント

コールセンターやカスタマー業務の効率化を図る方法は、IVR以外にもあります。
この章では3つのサービスを紹介するので、用途や自社の課題と照らし合わせながら、ご覧ください。

ボイスボットの導入

ボイスボットは、IVRと少し似た電話音声システムです。ボイスボットとIVRとの大きな違いは、IVRのような番号入力が不要なことです。

ボイスボットは、利用者が番号入力をして回答を進めるのではなく、顧客の発話の内容をAIが理解し、適切な回答を導き出します。

ボイスボット導入のメリットは以下のとおりです。

  • ガイダンスを待つ時間の短縮できる(利用者のメリット)
  • 問い合わせの用件を話すだけで、担当部署へ電話がつながる(利用者のメリット)
  • シナリオの作成・更新の作業が軽減される(事業者のメリット)
  • 顧客満足度の向上(事業者のメリット)

ボイスボットの詳細については以下の記事で詳しく紹介しているので、詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

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ボイスボットとは?IVRとの違いやメリット・デメリット、活用事例などを紹介

チャットサポートの導入

チャットサポートとは、ホームページ上にチャット機能を設置し、リアルタイム対応できる仕組みを指します。

顧客にとっては、IVR以上にスピーディーに回答を得られることがメリットです。事業者としても、1人のスタッフが同時に複数の利用者に対応できるため、業務効率化につながるでしょう。

ただし、チャットサポートの運用には人員の配置やスタッフ教育が必要です。また、チャットサポートはIVRと併用して負荷を分散させながら運用する形が一般的であり、業務効率の最適化を目指して人材配置などを行なう必要があります。

チャットボットの導入

チャットボットは、人員をかけて対応するチャットサポートとは異なり、質問に自動返信されるシステムです。チャットボットには、あらかじめシナリオを設定するタイプのシナリオ型と、AIの技術を応用して入力された質問に回答するAIFAQ)タイプがあります。

いずれのタイプも、利用者から同じ質問が多く寄せられる事業者の業務効率化に効果的です。また、スタッフ不在時にも顧客対応が可能であることから、顧客満足度の向上が期待できます。利用者としても、24時間365日問い合わせが可能になるため、気軽に質問できるというメリットがあります。

以下の記事にて、チャットボットについて詳しくまとめているので、詳しく知りたい方はぜひチェックしてください。

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チャットボットの効果・メリットとは?導入のポイントや注意点まで詳しく解説

まとめ

IVRを効果的に導入すると、電話対応の業務を大きく効率化でき、リソースの削減などにつながります。また、顧客側にとっても待ち時間の短縮などのメリットがあるため、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。

ただし、IVRは適切でわかりやすいシナリオを設定しなければ、顧客満足度の向上が期待できないことに注意が必要です。

コールセンターの効率化を検討されている方は、チャットボットやボイスボットなど、IVR以外のシステムとも比較し、自社に適した方法を検討されてみてはいかがでしょうか。