2021/03/22

IVR(電話自動応答システム)を導入する7つのメリット

IVR(電話自動応答システム)を導入する7つのメリット

IVRは、業務の効率化だけでなく、オペレーターのメンタルヘルスケアもできるなどメリットの多いシステムです。そのため、コールセンターを運営する企業ではIVRの導入を検討しているところも多いのではないでしょうか。

多くのコールセンターでは、慢性的な人材不足が課題となっています。IVRは、こうした課題解決のためにもなくてはならないシステムだといえます。

この記事では、IVRの導入を検討している方のために、IVRの概要と導入のメリット7つを紹介します。

IVR(電話自動応答システム)とは?

IVRとはInteractive Voice Responseの頭文字を取った略称であり、電話自動応答システムのことです。顧客からの入電があると、自動音声が流れて問い合わせ内容ごとに割り振られた番号がアナウンスされます。その後、顧客が該当する番号のプッシュボタンを押せば、担当部署につながる仕組みです。

企業への問い合わせなどで電話をかけると「○○の要件は1番を、□□の要件は2番を」といったように、希望の番号を押すようにアナウンスされる自動音声を聞いたことがある方は多いでしょう。まさにこれがIVRです。このように、顧客からの入電をプッシュボタンの入力により、担当部署へ振り分けていきます。

問い合わせ内容によっては担当部署に振り分けをせず、用意された自動音声のみで顧客対応を完了するケースもあります。営業時間外や話し中などでオペレーター対応ができない場合には、自動音声で折り返す旨を伝えることで、つながらない・待ち時間が長いなどの理由での離脱を防げます。

IVRを導入すれば、より少ないオペレーターでより多くの電話対応が可能です。こうした理由から、多数の問い合わせが寄せられる企業や、すばやい対応が求められる官公庁などでも取り入れられています。

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メリット1:業務効率化・リソース削減効果

IVR導入の最も大きなメリットは、コールセンターやカスタマー業務の効率化です。

IVRを導入していない場合、電話は顧客から企業の受付に直接つながります。そして、電話を受けたオペレーターが問い合わせ内容を確認し、自分が担当するのか、他の部署へ回すのかを判断することになります。そのため、1件あたりの顧客対応が長引いてしまうのです。また、問い合わせた顧客も、取り次がれた部署へ同じ説明を繰り返さなければなりません。

しかし、IVRを導入すれば、受付のオペレーターが電話を取り継ぐ工程が不要になります。顧客は、音声ガイダンスに沿ってプッシュボタンで要件を入力するので、担当部署のオペレーターはあらかじめ問い合わせ内容を知ることができます。

その結果、問い合わせに対する回答時間の短縮が可能です。顧客側としても、簡単な操作だけですばやく回答を得られるので、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。

また、時間外の入電や電話が混んでいるときの折り返し電話の予約も、IVR24時間365日自動で対応してくれます。オペレーターの対応手順が一つ減らせると、大きな業務効率の改善になり、オペレーターのリソースの削減にもなります。

メリット2:人件費・外注費の削減

IVRの導入によって業務の効率化が進むと、リソースがよほどひっ迫していない限り、浮いたリソースが生まれます。それにより、結果的に人件費の削減が可能となるでしょう。

冒頭で述べたとおり、コールセンターでは人員不足が課題となっています。自社にリソースがないのであれば、コストをかけて新たな人材を雇用する、カスタマー業務を外注するといった方法が必要な場合もあるでしょう。

しかし、想定よりも人件費・外注費がかさみ、費用に見合うだけの成果が得られないケースもあることが課題です。

その点、IVRを導入すれば、受付を自動化して問い合わせを振り分けたり、営業時間外に対応したりということが可能になるので、新たな人材を確保する必要がありません。

IVRの導入によって浮いたリソースを、他部署や他業務に回すなど人員配置の最適化が可能になり、人件費・外注費の削減と合わせてさらなる業務の効率化を狙うことができるでしょう。

メリット3:顧客満足度の向上

コールセンター利用者調査20181200人のカスタマー・エクスペリエンス』によると、利用したコールセンターのサービスに対する不満は、「待ち時間が長い」が62.5%、「話し中が多い」(33.3%)と続いています。オペレーター個人よりも、コールセンター全体への不満が目立つ結果となりました。コールセンターへの不満は、問い合わせをした企業やサービス全体への不満にもつながるので、注意しておきたいところです。

顧客満足度を上げるためには、11件の問い合わせに十分に時間をかけて対応することが理想です。しかし、コスト面やリソースを考慮すると、現実的には人材配置・人材確保が難しいという企業も少なくありません。

IVRを導入すると、「どのような問い合わせでも、まずは総合受付のオペレーターへ」というフローが必要なくなります。そのため、顧客が問い合わせに要する時間の短縮が可能です。

また、プッシュボタンを押すという簡単な操作で受付から最適な担当部署へと振り分けられるので、さまざまな部署へたらい回しにされることも防げます。担当部署では、自分が担当する問い合わせへの応対に集中できるので、顧客にしっかりと向き合えるでしょう。

1件あたりの対応時間が短縮できれば、人員を増やすことなく、顧客の待ち時間の解消にもつながります。マンパワーだけでは難しい24時間365日対応もできるので、顧客からの問い合わせの取りこぼしも減るでしょう。

つながりやすい電話、しっかりとした問題解決などにより顧客満足度は向上し、ブランド力アップも期待できます。

メリット4:本人確認などのミス防止

コールセンターでの問題点として、ヒューマンエラーが発生する可能性があることが挙げられます。ヒューマンエラーとは、人がうっかりして引き起こす人為的ミスのことです。

人が電話対応するコールセンターでは、聞き間違いや顧客情報の入力間違いといったミスを完全に防ぐことはできません。しかし、IVRを導入することでミス発生の軽減が可能です。

IVRでは、本人確認のために電話番号や生年月日を入力するよう、顧客に求めることができます。顧客自ら番号を入力してくれるので、口頭で確認する場合よりもヒューマンエラーが起こりにくくなるのです。さらに、オペレーターや周囲の人に聞かれたくないクレジットカード情報なども番号で入力でき、顧客情報の流出や漏洩を防ぐことも可能です。顧客情報を一から伝えることもなくなるため、顧客側の手間を省くことにもつながります。

ミスの発生率を大幅に軽減することにより、ミスに対するフォローの必要もなくなるのでオペレーターの負担軽減になります。顧客情報や本人確認によるミスは、企業として最大限防止する必要があるので、個人情報を扱う企業にもIVRはおすすめです。

メリット5:人材の定着(離職防止)

繰り返しになりますが、コールセンターやカスタマー業界では、慢性的な人材不足や離職率の高さが問題視されています。

オペレーター業務は簡単なものではありません。マニュアルどおりに会話が続かない・口頭のみで顧客対応しなければならないなどのハードルの高さや、柔軟な対応が求められます。多様化したニーズに応えるために、オペレーターはより高度なスキルを持つ必要があります。さらに、コールセンターやカスタマー業界ではクレーム対応を避けられないため、オペレーターの精神的な負担も大きくなります。

今までは、このように高度なスキルを求められるうえにクレーム対応も必要という業務の性質上、離職率の高さは避けられないものと考えられていました。

この場合、IVRを導入することにより人材定着の期待ができ、離職防止に役立つと考えられます。IVRの導入で問い合わせ内容に適切な担当部署へ直接電話がつながるため、自分の担当以外の受付をする必要がなく、オペレーターの業務的負担が軽減されます。その結果、精神的な負担も減るため、メンタルヘルスケア効果も期待できるでしょう。

オペレーターにとって働きやすい環境を作ることは、人材の定着率の向上にもつながるのです。

メリット6:イベントやキャンペーンでの負荷軽減

コールセンターでは、一時的な人員の確保の難しさから、キャンペーンやイベントでの電話受付をあきらめるケースが見られますが、クラウド型IVRの場合は一定期間のみの導入も可能です。したがって、これまでできなかった電話受付を導入したキャンペーンやイベントが実施しやすくなります。

IVRではキャンペーンの受付を自動化できるので、入電が増えたとしても少ない時間や人数で対応できます。キャンペーンやイベント時には電話が混み合い、顧客を待たせてしまうこともよくありますが、自動受付により時間短縮ができるので回線のパンクを防ぐこともできるでしょう。

また、キャンペーンやイベント時に一時的に忙しくなるカスタマー業務の負担が軽減されるので、オペレーターのメンタルヘルスケアや離職防止にもつながります。

メリット7:統計データの取得

IVRの導入によって、どのような問い合わせが多いのかといったデータが取得できるようになります。IVRのシステムによって取得できるデータは異なりますが、顧客に番号入力してもらうことで、問い合わせ内容を集計し分析できます。

問い合わせの多い内容が、ホームページ上の「よくある質問」などで回答できるようなものの場合は、新たに項目を追加することで電話による問い合わせを減らせるでしょう。

さらに、IVRはマーケティング分野でも活用可能です。電話をしてきた顧客の年齢や趣味、趣向などを調査し、今後のキャンペーンや商品開発、顧客満足度の向上など、さまざまな分野に活用できます。商品購入後の顧客へのフォローアップやサービス改善のためのマーケット調査に必要な情報の収集ができるので、自社の商品やサービス向上にも利用可能です。

まとめ

IVRを導入することでコールセンター業務の効率化を図り、浮いたリソースでさらにオペレーターの人材育成も可能です。これにより、サービスの向上と顧客満足度のアップが期待できます。IVRは人材不足のコールセンターにおいて、なくてはならないシステムだといえるでしょう。

ただし、選択肢はIVR一つではありません。IVRとよく似たサービスとして「ボイスボット」があります。

ボイスボットでは、顧客は自由な発話による音声入力が可能です。AI対話エンジン技術を活用してボイスボットと顧客が対話できるので、住所や名前などの非選択方式のヒアリングもできます。

ボイスボットについての詳細は、以下の記事をご覧ください。

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