リモートワークの実施や外回り業務の多い職場では、会社や事務所が留守になりがちです。
しかし、留守中も会社や事務所の固定電話に電話がかかってくる場合、誰が・どのように対応するべきかという課題が発生します。
この記事では外出先からでも固定電話への着信に対応できる、転送電話について解説します。
転送電話とは
転送電話とは、かかってきた電話を別の電話番号に転送するサービスのことです。
事務所や事業所の固定電話への着信を転送すれば、外出先や自宅などで対応できます。
事務所に電話番の従業員が不要となり、外回り営業の多い仕事や在宅ワーク時にも役立ちます。
機会損失を防いだり、緊急対応が素早くできたりといったメリットが得られるでしょう。
事務所への電話を携帯電話に転送する方法
会社の固定電話にかかってきた電話を担当者の携帯へ転送するには、3つの方法があります。
固定電話の転送機能を利用する
電話会社ごとにサービス名は異なりますが、固定電話には転送サービスが存在します。
例えば、NTTであれば「ボイスワープ」という名前です。事務所の移転によって電話番号が変わった際にも、こうした機能は利用されます。
固定電話の転送機能を使うと、あらかじめ指定しておいた電話番号に着信を転送します。着信すべてを無条件に転送したり、応答がない場合のみ転送したり、といった切り替えもできます。
ただし、サービス利用にあたってはオプション料が発生し、転送分の通話料は転送元の負担です。
ビジネスフォンの転送機能を利用する
法人向けのビジネスフォンは家庭用の電話機と異なり、複数の電話回線を扱えるので内線・外線転送が可能です。
固定電話で受けた着信を社外にいる担当者の携帯やスマホに転送する際は、外線転送を使用します。
外線転送
外線転送は2つの回線を使って社外にいる担当者の携帯・スマホなどで電話対応する方法です。
例えば、回線1で固定電話への受電に対応し、転送先の携帯電話に対して回線2を使って架電という形で外部の携帯電話へ転送します。
この方法では回線1の通話料は電話をかけてきた相手が負担しますが、回線2の転送通話で使用している分の通話料は転送元となる自社で負担します。
内線転送
固定電話で受けた電話を社内にある別の固定電話で対応したいときに使うのが内線転送です。
オフィス内で担当者に電話を取り次ぐ場合などは、内線転送を使用していることになります。
クラウドPBXの「転送機能」を利用する
電話交換機をインターネット上に設置するクラウドPBXにも転送機能があります。
クラウドPBXによって携帯電話が内線化されていれば、固定電話から社外の携帯電話への取り次ぎも内線転送として扱えるので通話料がかかりません。
電話回線を増減する工事も不要となり、電話交換機を置かなくて良いので最近注目されている方法です。
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事務所への電話を携帯電話に転送するメリット
事務所の固定電話にかかってきた電話を携帯電話で受けると4つのメリットがあります。
いずれも業務改善や顧客満足度の向上、経費の節約といった企業にとって無視できない内容です。
折り返しの手間を省くことで迅速に電話対応できる
事務所にかかってきた電話を携帯電話で対応できれば折り返し連絡する手間を省き、迅速な対応が可能になります。
不在の担当者宛にかかってきた電話に対して折り返し連絡するという手順を取る場合、以下のような手間が発生します。
- 担当者が不在である旨を伝える
- 要件や連絡先を聞き取る
- 担当者に折り返し連絡が必要な旨を伝える
こうした手間は内勤の従業員の手を煩わせ、かけてきた相手に折り返しの連絡を待たせてしまうでしょう。
折り返し連絡ではなくその場で社外にいる担当者への取り次ぎができれば、相手を待たせることなく対応でき電話対応による負担も減らせます。
取り次ぎの際の伝達ミスを防げる
担当者以外の人間が間に入ると、取り次ぎ時の伝達ミスが起こる可能性があります。
電話がかかってきたその場で担当者に取り次げばスムーズな対応ができます。
伝え忘れや確認漏れにより連絡が遅れるという事態を防げるでしょう。
電話をかけてきた相手もその場で担当者と会話できれば安心感があり、顧客満足度の向上にもつながります。
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通信費用を削減できる
かかってきた電話に対してその場で担当者に取り次いで解決できれば通信費の削減ができます。
担当者不在の度に折り返し連絡をしていてはその都度通話料が発生し、通信費が増加する原因となります。
また、社用携帯の内線化ができていれば転送時の通話料は無料となり、経費削減の面でもメリットがあります。
どこにいても電話を受けることができる
固定電話への着信に対して携帯電話で対応できれば、どこでも電話を受けられます。
外回りの多い営業担当や出張スタッフ、リモートワークをしている従業員への取り次ぎも容易になるでしょう。
働く場所を選ばない多様な働き方が実現し、働き方改革にもつながります。
事務所への電話を携帯電話に転送するデメリット
携帯電話へ転送するメリットをお伝えしましたが、やはりデメリットも同時に存在します。
転送機能を使うことでのデメリットを認識し、転送時のルールを社内で決めておくとトラブルを回避できるでしょう。
転送先の携帯からの折り返し連絡は困難
転送のデメリットには、転送された携帯からの折り返しが難しくなるという点が挙げられます。
電話を転送された担当者が移動中や打ち合わせ中であれば対応できません。
結局折り返しの連絡することになりますが、転送着信では番号通知されないこともあります。
また、出先での電話対応では通話内容が第三者に聞かれないよう配慮が求められるケースもあるでしょう。
着信を転送してもその場で対応できず、折り返しの連絡が困難になる場合もあると認識しておく必要があります。
転送先は1つの番号につき1つしか選べない
電話会社が提供する自動転送サービスでは、転送先の番号は1か所です。
そのため、転送先になった担当者がすべての電話に対応しなければならず負担が集中してしまいます。
日替わりで転送先を切り替えたとしても、転送先から解除されるまで1人の社員に負担がかかる状態を避けられません。
外回りの担当者が複数いるような場合は、転送先を手動で選択できるビジネスフォンの外線転送やクラウドPBXによる転送機能を使うほうが良いでしょう。
会社からの着信とプライベートの着信を判別しにくい
転送した電話では誰からの着信であるか表示されず、仕事の電話か私的な電話かの区別がつかないこともあります。
転送されてきた通話相手が取引先であったなら、うっかり普段の話し言葉で電話に出てしまうとビジネスマナーとしてよくありません。
特に社員に会社支給の携帯電話を貸与せず、個人のスマホで運用している場合は要注意です。
大人のマナーとして、連絡先を登録していない相手からの着信には、丁寧な口調で出るよう心がけましょう。
ツール導入の費用が発生する
転送機能を利用するには、ツールの導入やオプション料、回線の増設といった費用が発生します。
固定電話の転送機能なら毎月オプション料金が加算され、ビジネスフォンの外線転送なら転送に使用するための回線増設工事費がかかります。
携帯やスマホを内線化して転送するには、電話交換機の入れ替えが必要になり費用がかかります。
しかし顧客満足度の向上や電話対応業務の効率化が期待できるため、費用にあった効果を得ることができるかを検討したうえで、取り入れると良いでしょう。
固定電話の転送に通話料がかかる
電話会社が提供する転送機能やビジネスフォンの外線転送では、転送元から転送先への通話料が発生します。
会社にある固定電話から担当者の携帯電話に転送したなら、固定電話から携帯電話へかけたことになり、通話料が割高になるでしょう。
電話交換機をクラウド化し、担当者の携帯電話が内線化できていれば転送ごとの通話料は発生しません。
転送件数が多い・転送での通話が長いといった場合は、クラウドPBXを導入したほうが経費削減になるでしょう。
電話対応の課題を解決する方法
電話対応の課題解決には、対応件数や受電件数を減らすという考え方もあります。
ツールを導入する
電話対応を効率化するツールによって、電話対応の負担は軽減できます。
ボイスボットを導入する
「AI Messenger Voicebot」はAIによる電話の一次対応ができるボイスボットです。
シナリオ分岐も簡単にできるので、個別のヒアリングや担当からの説明が必要なもののみ、取り次ぎ・折り返し連絡といった運用ができます。
よくある問い合わせの回答や簡単な受付などをボイスボットで対応が完結すれば、電話対応の業務効率化が実現するでしょう。
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チャットボットを導入する
ホームページ上にチャットボットを導入し、電話以外の問い合わせ先にすれば受電件数を減らせます。
営業時間外であってもチャットボットに問い合わせてその場で回答が得られれば、顧客の利便性も向上するでしょう。
電話業務の外注
電話代行サービスを利用し、電話対応自体をアウトソースして、電話対応業務を削減する方法もあります。
電話代行サービスは電話対応のプロフェッショナルとしてオペレーターが対応するので、高品質な対応が可能です。
自社で新たに電話相談窓口を開設するよりも、初期費用やオペレーターの教育コストが抑えられます。
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電話対応の課題には転送やボイスボットなどを活用しよう
固定電話にかかってきた電話を担当者へ転送するのは、メリットもデメリットもあります。
長所・短所を考え、事業形態や会社規模に合った方法を選びましょう。
電話対応の課題解決には、対応件数そのものを減らす取り組みも考えられます。
例えば、AIを活用したボイスボットに電話の一次対応をさせたり、チャットボットをホームページに設置して受電件数を減らしたりといった方法です。
また、電話代行サービスによって電話対応そのものをなくす方法もあります。
電話対応の効率化を図り、リモートワークや外回り営業がしやすい職場環境を構築しましょう。
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