電話応対は、それだけで会社の印象を決めてしまうと言えるほどビジネスにおいて重要な業務です。
- 「ルーティンワークとなっている電話業務を効率化したい」
- 「受電漏れによって重要な仕事を逃したくない」
- 「採用にかかるコストを削減したい」
デジタル化が進む社会の中でも、電話応対に関する問題は業務の効率化を妨げてしまう一つの要因です。コロナ禍でテレワークが推進され始めたことに伴い、電話代行サービスが大きな注目を集めています。
本記事では、電話代行サービスについて紹介し、導入するメリットやデメリットについて解説します。
電話代行サービスとは?
電話代行とは、依頼者にかかってきた電話を、オペレーターが代わりに一時対応するサービスです。勧誘や営業の電話などに応対する必要がなくなり、必要な要件のみ取り次ぎ、対応できます。
それによって電話業務の効率化・生産性の向上を目指せることを強みとしており、人手不足やコストの削減にも多く用いられています。またテレワークの推進でオフィス内の固定電話が使用できない場合にも有効的です。
電話代行サービスの仕組み
電話代行サービスは、会社にかかってきた電話を自動でオペレーターに転送し、対応をしてもらうサービスです。オペレーターは電話をかけてきた相手の名前と電話番号、電話内容を確認し、会社側に取次をしてくれます。会議などの重要な用事が重なっていてすぐに取り次ぐことができない場合には、メールアドレスなどで電話の要件を報告することが一般的です。
電話代行とコールセンターの違い
一般的なコールセンターは、数十名単位のオペレーターを配置する形で大規模な運営がされています。専用の電話番号が用意されていることがほとんどなので、委託した場合、社内の番号とは別の番号を持ちます。
一方電話代行は、依頼元企業の事務スタッフとして電話に出てくれます。比較的小規模な人数で運営されており、丁寧で的確な電話業務の一次受けを担当します。会社の番号にかかってきた電話をそのまま受けるため、別の番号を用意する必要がありません。
会社の一員として電話業務を代行してくれるのが、コールセンターとの大きな違いです。
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電話代行と秘書代行の違い
電話代行と秘書代行は、その業務内容に明確な違いはありません。一般的な“秘書”の業務といえば、上司のスケジュール調整や来客の対応、資料作成、事務作業といった雑務が中心です。
上司の仕事を効率化するための一次対応を的確にこなします。また、その中にお客様の電話対応も含まれています。ここでいう秘書代行は、一般的な秘書の業務内容ではなく、電話対応をメインとしたサービスのことを指します。
どちらも企業の一員として電話の応対をし、的確で臨機応変な対応をする必要があります。そのため電話代行と秘書代行の違いは、サービスを提供する企業側の名称の違いと言えるでしょう。
電話代行サービスが注目される背景
電話代行サービスが注目される背景には、時代と共にデジタル化が進んでいることや、働き方がさまざまな形に変わっていったことがあります。具体的な要因は、以下のようなものがあります。
Eコマースの拡大
近年、Eコマースは拡大傾向にあります。ネットショップ事業やスマートフォン経由の消費者が年々増加している中、Amazonや楽天などの代表的なBtoCのECサイト市場も拡大を続けています。
消費者が増加している分、電話対応やカスタマーサポート、受注業務、電話の一次受けなどのインバウンド業務において、特にコールセンターの需要が高まっています。
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働き方改革の推進
2019年から施行された働き方改革。労働不足を解消して、経済発展を目指すべく始まりました。多様で柔軟な働き方を推進しており、企業や個人のワークライフバランスに変化が見られています。
テレワークの導入や時間外労働に関する規制の厳格化など、作業の効率化・生産性の向上が必要となっているこの頃。電話業務における社員の負担を軽減する動きが注目されています。
DX化の浸透
現代社会では、AIやIoTなどの最新情報通信技術を導入するDX化がますます浸透しています。社内のDX化による取り組みによって、サービスの提供だけでなく働き方そのものにも変化をもたらすほど、現代社会では必要不可欠になりつつあります。
業務を効率的に行うためのデジタル化・IT化とは違い、DX化を目指す企業では消費者のニーズに合わせたサービスをメインに、新しい価値を生み出す技術を開発しています。その中でもAI技術による電話代行サービスが注目され、普及し始めています。
テレワークの普及
2020年以降、働き方改革や新型コロナウイルスの影響によって、テレワークを推奨する企業が多く見られました。ですが、現在も在宅勤務に懸念を示す企業が一定数見受けられます。
その理由の一つとして、社内の電話回線や内線が使えないなどの点が挙げられます。こういった状況において、電話代行サービスの需要は今後も高まっていくでしょう。
電話代行サービスの導入を判断する基準
電話代行サービスは仕事の効率化に役に立つサービスですが、コストもかかってくるため導入するにあたっては慎重に判断しなくてはなりません。
出張などで会社の外に行かれることが多く不在にしていることが多い会社や、人手が不足していて電話に出られないことが多い会社は、電話代行サービスを使用することで業務の効率化に繋がります。
また、立ち上げたばかりで固定の電話を契約していないという会社は、電話代行サービスを使用して会社の電話番号として記載することで、会社の信頼度を上げることができるのでおすすめです。
電話代行サービスの導入メリット
ここまで、電話代行サービスがどのようなサービスなのかということについて解説してきました。それでは、サービスを利用することによる具体的なメリットをいくつか紹介します。
電話業務の効率化
企業で働く上で電話業務は必須と言えます。電話代行は、受電の一時対応としてセールスや不要な勧誘を遮断し、必要な用件のみメールやチャットですぐに担当者に取り次げるシステムです。
これまで電話業務に使っていた時間をほかの業務に回せるため、作業効率の大幅な向上が期待できるのは大きなメリットの1つです。煩わしい用件で集中力が削がれてしまうことがなくなり、集中しやすく働きやすい環境が構築できます。
作業の手を止めることが減り、社員にとって生産性の向上・負担軽減の第一歩となるでしょう。
人手不足の解消
中小企業や個人事業主の間で、人手不足に悩む場面があるのではないでしょうか。少人数の会社では、休憩中や営業時間外にかかってきた電話にすべて対応するのは困難になってしまうことも。
電話対応を専門とするスタッフを雇うとなると、人件費や教育費などのコストが多くかかってしまいます。コスト削減を目指す企業では、なかなか雇えない場合もあるでしょう。
そういった際に電話代行サービスを利用することによって、少ない経費で人手不足を解消できます。低価格で導入しやすい電話代行は、中小企業や個人事業主に有効な手段です。
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採用コストの削減
電話代行サービスを利用することで、電話対応のための人員を雇う必要がなくなるため、人件費の削減に繋がるというメリットがあります。
採用するとなると求人の募集や面接、新人の育成に時間を取られてしまいますが、電話代行サービスを利用することで、電話応対のための費用を最小限に抑えることができます。
オペレーターは電話応対のためのさまざまな研修を受けているため、電話の印象で会社の印象がよくなることもあるでしょう。
顧客満足度(CS)の向上
電話代行サービスでは、熱心な研修を積んだオペレーターが丁寧に対応をするため、顧客の満足感がより向上します。企業によっては24時間365日体制の依頼も可能ですので、いつでも電話に出るという安心感も得られるでしょう。
いつも担当者が不在で直接のコンタクトが取れないような企業は、顧客にとって印象が悪くなってしまいます。電話対応は、オペレーターの印象が良ければ会社の印象も良くなるほど、重要なコミュニケーションです。
質の良い電話代行を依頼することで、顧客満足度を向上させることに重きを置くのも良いかもしれません。
顧客ニーズへの柔軟な対応
顧客からかかってきた電話の要件に合わせて臨機応変に対応することで、顧客の満足度や会社に対する評価を上げることができます。
一部の専門的な業務も対応してもらえることがあるため、顧客のニーズに合わせた柔軟な対応をしてもらうことも可能です。迅速で質の良い電話応対ができるため、会社の人手が足りない時や忙しい時でも安心して電話を任せることができるというメリットがあります。
受電漏れによる機会損失を減らす
受電漏れによって、重要な商談などのビジネスチャンスを逃してしまうという場合も少なくありません。
電話代行サービスでは、メールだけでなくビジネスチャットツールを使って素早く顧客の要件の内容を伝えることを可能としているところが多いです。
また、顧客の緊急時に素早い対応ができることは顧客の満足度にも繋がり、会社の評価が上がることにも繋がります。
電話代行サービスのデメリット
ここまで電話代行サービスのメリットを上げてきましたが、デメリットも存在します。サービスを利用する際にはデメリットを把握しておくことも必要です。具体的なデメリットに関しては、以下のようなものがあります。
対応可能な範囲が狭い
電話代行サービスでは基本的に、一次受けの範囲で電話対応をします。セールスや勧誘は除外し、必要に応じて名前と要件を伺い担当者に報告するのが業務内容です。
企業の一員として電話業務のサポート役に徹しますが、社員と同じレベルの知識を期待するのは難しいでしょう。会社の商品やサービスの詳細、技術的な問い合わせについての応対は基本的にできません。
できることや応えられる範囲が限られるため、電話対応の不備などでクレームに繋がる可能性もあります。
対応品質が安定しない
電話代行のオペレーターは、高品質な電話対応を強みとしています。ですが、委託する業者や担当オペレーターによっては、対応スキルが大きく異なる可能性があります。
担当オペレーターは会社の顔になるような存在ですので、慎重に選ぶ必要があります。電話代行サービスの業者は、入社後に徹底した研修を受けていることがほとんどです。
高い電話対応技術をしっかりと身につけているオペレーターであれば、安心して委託ができるでしょう。
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利用料金が安定しない
電話代行サービスで気になるのがコスト面。料金体系は主に2つありますが、メインとなるのが月額固定です。毎月の上限回数が設定されており、規定の回数を超えると割増料金がかかります。
また、架電数に応じてその月の金額を決定する成果報酬型では、月にどれくらいかかってくるか分からない、安定しないといった企業が主に利用します。しかし勧誘やセールスの電話が増えると、その分無駄なコストが増えてしまう可能性があるため注意が必要です。
電話代行サービスの選び方・比較ポイント
電話代行サービスを事業としている会社は多くありますが、どのような部分を見て比較したら良いのだろうと迷うかもしれません。選び方や、比較するポイントについて解説します。
対応時間
電話代行サービスを選ぶ際は、対応時間をよく確認しておきましょう。電話受付の体制を24時間365日整えている業者をおすすめします。会社の窓口を強化することによって、これまでよりも確実にビジネスチャンスを広げられます。
また早朝に電話が集中する会社では取りこぼしが頻繁に起きることも。早朝・夜間でも数名のスタッフが常駐しているため、受電漏れによるトラブルを防ぎ、安心して電話業務を依頼できます。
料金プラン
料金プランは業者によってさまざまです。大きく分けて月額固定のプランと、架電数に応じて料金が変動する成果報酬型プランの2つが提供されています。
月額固定のプランでは、基本料金によって受電の上限回数が決められており、その上限を超えると1コールあたり数百円の割増料金が発生する形態です。
成果報酬型プランでは、業者が設定している1コールあたりの料金をもとに、受電数に応じて料金が決定する形態です。受電回数が多い会社や、回数が予想できない会社などで選ぶ基準が変わります。
受電内容の共有方法
受電内容の共有方法にはさまざまなツールが使用されています。メールやSlack、Chatworkなどいつも業務で利用しているツールで連絡が可能かどうかを確認しておきましょう。
上記の連絡ツールは全て無料で、ビジネスシーンでもよく活用されています。中でも受電内容の一次対応に適しているのがslack。担当者や全体に向けてメンション付きで、メッセージを送信できます。
一定時間反応がない場合は再送される機能など、社内での連携が取りやすいシステムです。
サービスの柔軟性
電話代行サービスでは受電の一次対応を中心としています。その他にもオプションやコースで提供されている、サービスの柔軟性も大切なポイントです。
Q &A対応や予約管理、注文対応など、問い合わせの多い内容を一次対応にプラスαすることでさらなる業務の効率化を図れます。求人応募対応や資料請求対応、道案内などさまざまな業種に合わせた電話対応を任せられるため、ルーチンワークの見直しにも効果的です。
また通話内容の録音が対策されているサービスもあるため、万が一の時でも安心です。
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電話代行サービスの注意点
電話代行サービスを導入するにあたって、事前に注意しておいた方が良いことをいくつか紹介します。
費用がかかる
電話代行サービスを使用することで人件費の削減には繋がるものの、費用はかかってしまいます。費用の形としては「成功報酬型」と「固定報酬型」の二つがあります。
固定報酬型はあらかじめ受けてもらう電話の数を提示して、上限を超えたら月額とは別に追加で料金が発生してしまうというデメリットがあります。
電話の数が多い月だと、予算がオーバーしてしまう可能性もあるので、注意しなければなりません。
想定外に対応しづらい
顧客によって電話の要件はさまざまなので、深い専門知識や会社の内情に詳しい人ではないと対応できないようなこともあります。
電話代行サービスのスタッフがいきなり想定外の質問に対応された際に顧客にすぐに返答できない場合や誤ったことを伝えてしまった場合には、顧客側が会社に不信感を抱いてしまうという可能性もあります。
情報漏洩のリスクがある
多くの電話代行サービスの会社では、情報が漏洩しないようなセキュリティ対策を取り入れています。
しかし取り扱う情報は商品の情報や顧客の個人情報、会社の内部情報など重要性の高い情報なので、万が一流出するようなことがあっては、会社側も多大な損失を受けてしまう可能性があります。
このような事態を防ぐために電話代行サービスを導入する際には、どの程度実績を積んでいるのかチェックしておくことが大事です。
電話代行サービス業者10選
数多くある電話代行サービス業者の中から、セキュリティ面や対応の質などに優れており、実績を上げている10社を厳選して紹介します。導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
また、後述しますが電話代行のほかに電話対応を自動化するボイスボットも導入し、電話対応をするという選択肢もあります。
ボイスボットを導入することで24時間365日対応できるだけでなく、業務効率化やコスト削減にもつなげることができます。
気になる方は下記より事例集を無料ダウンロードできますので、チェックしてみてください。
24時間365日対応
電話代行サービスを導入する際には顧客の満足度を上げるため、24時間365日対応の業者を導入することをおすすめします。24時間365日対応している業者は以下のような業者があります。
会社名 | 特徴 |
秘書センター株式会社 | 高い応答率・受注率・定期獲得率、高品質なサービス、さまざまなサービスやオプション、コスト削減 |
電話代行サービス株式会社 | 長年の実績、98%以上の応答率、信頼度が高い、オーダーメイド型のプラン、コスト削減 |
電話代行サービスe秘書 | 30年以上の実績、全額返金保証制度、2週間お試し可能 |
電話代行ドットコム | 最低料金8000円から、手軽に利用しやすい、多くのオプション、コスト削減 |
セントラル・アイ株式会社 | 官公庁からも選ばれた経験がある高品質なサービス、徹底されたスタッフの研修や教育プログラム、臨機応変な対応 |
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土日祝対応
休日のほうが連絡を取りやすいという顧客も多いため、土日祝日も電話対応が可能な業者を選ぶことをおすすめします。土日祝日でも対応可能な業者を紹介します。
会社名 | 対応時間 | 備考 |
ビジネスコール | 9時~21時 | 土日祝日追加料金なし |
テルリンク | 9時~18時 | 1日から利用可能 |
電話代行サービス株式会社 | 24時間365日 | 高い実績あり |
ベルシステム24 | 土日祝日対応可 | 料金はホームページでシミュレーション可 |
オフィスジャパン | サービス5種類あり | 土日祝日対応あり |
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AIが電話サービスを代行!「ボイスボット」とは
AIが電話応対をする「ボイスボット」をご存知ですか?ボイスボットは、24時間365日稼働・回線制限なしの対話型AIソリューションです。
予約や注文受付、予約枠の代替案提示など、AIによるスムーズな電話応対を実現しています。定型的な質問への回答やヒアリングなどを得意とし、さまざまなシステムとの連携も可能です。
夜間応対や情報照会など、企業におけるさまざまな電話業務をニーズに応じて自動化。ボイスボットを導入することにより電話業務の効率化はもちろん、ユーザーの解決時間短縮にも繋がります。
ピッタリの活用方法を提案し、業務の一部分から取り入れることも可能です。回線に制限がなく、突発的な入電量でも応答率100%のボイスボット。テレワークの導入や急な入電の増加でも安心して利用できます。
ボイスボットは電話応対に特化した独自のエンジンで開発された、新しいDXサービスです。
「ボイスボット」で実現できること
AIやシナリオで、電話業務を自動化するボイスボット。一方、電話代行サービスではどうしても回線が混雑したり、人数が限られたりすることで、繋がらない・待たせてしまうといった状況に陥りがちです。
ボイスボットのAIで一次対応を確実に自動化することで、苦情やクレームが減少し、顧客満足度の大幅な向上が期待できるでしょう。ボイスボットは飲食店やECサイト、企業の代表電話の一次対応において自動受付が実現できます。注文や予約をAIによる対話で完了させ、確認事項があればヒアリングをします。
よくある質問や問い合わせには自動回答をするため、電話業務の負担を格段に減らせます。顧客はスムーズに問題を解決できる・企業は生産性を上げてサービスに注力できるため、消費者と企業どちらのニーズにも合います。
ボイスボットの導入は、顧客の獲得・維持、業務の効率化に非常に効果的です。
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まとめ
ここまで、電話代行サービスを導入するにあたってのメリットやデメリット、業者を選ぶ際のポイントについて解説してきました。
電話代行はさまざまな働き方が推進されている現代ではさらに需要が高まっていくと予想されます。顧客側にも会社側にもメリットの大きい電話代行サービスの導入をぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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