テレワーク化が進み従業員が個別に社用携帯を持つようになると、不在のオフィスに設置されている固定電話は、対応する従業員も少ない中で不要と考える企業も増えてきました。
しかし、固定電話を設置しないことでデメリットも発生するため、安易に撤去するわけにも行きません。
今回の記事では、固定電話の必要性を分析し、電話対応の効率化を図る方法をご紹介しています。
電話応対を24時間自動化できる「ボイスボット」の活用方法も記載してるので、検討中のご担当者さまは是非ご参考になさってください。
固定電話が不要と思われる理由
オフィス環境や時流の変化から、固定電話の必要性は低くなってきました。
顧客からの電話は携帯電話にかかってくるため、テレワークが普及している企業にとっては固定電話のメリットはほとんど無いと考えられています。
その他、固定電話が不要と考える要因やケースについて見ていきます。
料金が割高
携帯電話からの発信は基本30秒20円ですが、「5分以内かけ放題」や1000~2000円を追加すれば完全かけ放題になるオプションもあり、実際の通話料はかなり安く抑えられます。
対して固定電話から携帯電話へ発信した場合は、3分60円~120円とキャリアごとに料金が異なり、固定電話同士でも距離によって料金が変わるため割高になってしまいます。
また、ビジネスフォンを利用していればリース料やPBXの使用量なども必要なため、維持費もかかります。
営業電話が頻繁に掛かってくる
固定電話番号は、代表電話に設定されることが多く公にされる番号のため、営業電話がかかってきやすく対応に追われます。
回線数の少ない企業は、営業電話に対応している間に既存顧客や新規顧客からの電話を取りこぼすこともあり、機会損失にもつながってしまうのです。
最近の営業電話は手口が巧妙で見分けることが難しく、対応時間が長くなる傾向があります。
営業電話は時間帯や繁忙問わずかかってくるため、対応疲れで従業員のモチベーションや効率低下にもつながる大きな問題となっているのです。
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チャットで完結する
近年では、SlackやChatWorkといったチャットツールが充実しているため、コミュニケーションの主流が電話からチャットに移行している企業が多いです。
チャットであれば、お互いが都合の良いタイミングで連絡できるため、電話と比較してストレスなく円滑なコミュニケーションが可能となります。
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それでも固定電話が必要な理由
携帯電話よりも割高で営業電話に悩まされる固定電話ですが、企業としては設置しなければならない複数の理由があります。
会社の信用度に影響する
携帯電話が普及されたとはいえ、代表電話番号が固定ではない企業は信頼度がかなり下がります。
「安定していない」「長く続ける気がない」「怪しい」など、固定電話番号を持たない企業は信用されにくく、公共事業の入札に参加できなかったり与信に通らないこともあります。
また、銀行口座開設や申し込み時に固定電話を必須としているところもあり、携帯電話番号では契約ができません。
登記や口座の開設などの手続きにおいて変更が少ない
登記の内容は、住所や電話番号が変更になった場合は書き換えが必要です。
起業時に「とりあえずは携帯電話番号を代表番号にしておこう」としておくと、後から登記内容を変更するには大変な手間がかかります。
その他、銀行口座や賃貸契約においても同様なことがいえるので、後から固定電話番号を取得する予定ならば、初期段階で導入する方が手間はかかりません。
プライバシーの保護のため
代表電話番号を携帯電話にした場合、個人情報が流出しプライバシーが守られないことも考えなければなりません。
個人用と分けている場合でも営業電話や間違い電話などにも対応せねばならず、業務に支障が出ます。
個人携帯と共有している場合、プライベートで電話番号を変更する必要が出てきた場合でも、容易に変えることができなくなり不便です。
FAXが使える
固定回線と携帯電話の機能で最大に違うのは、FAX機能が使えるか否かです。
現在のところ携帯電話の回線をFAXに利用することはできません。
Eメールやクラウドサービスを利用する企業が増えて、FAXが必要な場面は減ってきてはいますがゼロではないため、FAX用の回線は持っておいた方が良いでしょう。
災害時に繋がりやすい
固定電話の「アナログ回線」はNTTの基地局に依存しているため、光電話や携帯電話よりも災害時に強い回線です。
東日本大震災発生時や大型の停電時には、携帯電話がつながらず家族や知人の安否が確認が困難になり問題となりました。
また、携帯電話は利用者が多く集中する時は通信制限がかかる場合がありますが(大晦日やお正月など)、固定電話ならその心配はありません。
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ボイスボットの導入で電話対応を自動化
固定電話の必要性は分かってはいるが、オフィスの無人化や、引っ切り無しにかかってくる営業電話の対応に困っているのであれば、「ボイスボット」の導入を検討してみましょう。
ボイスボットとは
ボイスボットとは、顧客の要望に対し対話型のAIシステムを使って自動音声で回答するシステムです。
電話対応の自動化にはチャットボットも取り入れられていますが、テキスト(文字)によるやり取りのため顧客への負担が大きく課題も多く残されています。
ボイスボットは音声認識なので文字を打つ手間がなく、顧客のストレスを軽減させ満足の向上につながるため、ここ数年注目されているシステムです。
ボイスボット導入のメリット
ボイスボットを導入すれば、どのようなメリットがあるのでしょうか?
お客様や営業マンひとりひとりに対応が可能
問い合わせたい内容は顧客ごとに様々で、IVRやチャットボットのように選択肢を用意していても当てはまらないことがあります。
ボイスボットは、こちらが用意した選択肢に顧客やクライアントが合わせるのではなく、音声で聞き取ったニーズを解析して回答するため、ひとりひとりに合った対応が可能です。
同じ質問でも表現の仕方や切り口は多様なため、従来の自動化システムでは認識できなかった内容にも、ボイスボットの技術なら柔軟に答えることができます。
営業時間外の急な連絡にも対応可能
機械が対応することにより時間外でも通常通りの対応ができるため、顧客を待たせることがありません。
どうしても人が対応しなければならない内容は、コールバックシステムを使い折り返し連絡の予約フローに誘導することで、顧客の手をわずらわすことなく対応します。
定型的な問い合わせであればボイスボットで解決できるので、窓口を24時間対応にすることも可能です。
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シナリオの更新作業が簡単
IVRやチャットボットはシナリオを変更する場合、複雑な階層に沿ってメンテナンスが必要なため手間がかかります。
しかし、ボイスチャットは言い回しを変更したり特別なキャンペーンシナリオを追加するだけなので、変更箇所はわずかです。
パソコンの管理画面から変更や更新が行えるため、手間なく簡単にメンテナンスすることができます。
IVRよりも利用者が離脱しにくい
ボイスボットはIVRのように、「〇〇の場合は〇番」と一問一答のように顧客が選択していくのではなく「〇〇がしたい」と問いかければ、適切な回答へ導きます。
このため、選択肢の階層が複雑すぎて途中で電話を切られることも少なく、ボイスボットで解決できなかった場合は有人対応へ誘導できるため、「途中離脱」を防ぐことができます。
機械学習により電話対応の質が向上
解決に導くまでの過程は全て解析され、戸惑った点や回答が適切でなかった場合の問題点は常にブラッシュアップしていきます。
「問い合わせ内容の把握戸惑ったのか」「合成音声の文言が分かりずらく伝わらなかった」「想定していない要望があった」などを分析し改善するので、使用するごとに回答精度が上がっていく学習型のシステムです。
ボイスボットで対応可能な会話内容とは
ボイスボットでは、定型化された回答や商品の受注、予約受付や変更などのやり取りを半自動化することができます。
キャンペーンや災害時の対応など、臨時や緊急の場合でもシナリオを作成し一次対応できるので、入電が集中しても慌てることがありません。
その他、不動産の物件紹介や店舗の予約状況確認、企業では担当者へのメッセージ預かりなど、さまざまなシチュエーションで活躍が期待され、導入場面は今後増え続けていくでしょう。
ボイスボットとは?IVRとの違いやメリット・デメリット、活用事例などを紹介
まとめ
固定電話の必要性と、不要とした場合の代用システム「ボイスボット」についてご紹介いたしました。
オフィスの無人化や働き方の多様化により、対応時間の柔軟性が求められる中、24時間体制で顧客対応ができるシステムは、業界問わず求められています。
電話代行サービスやチャットボットなど、自動化できるシステムは多数あるので、業務環境に合わせた負担の無いサービスを導入し、業務の効率化を目指しましょう。
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