コールセンター業務の目標設定においては、最終目標であるKGI(重要業績評価指標)を設定し、それに対するKPI(業績評価指標)が大切です。
目標を適切に設定できると、オペレーターのモチベーション向上や業務プロセスの改善につながり、業務全体の品質を向上できるでしょう。しかし、実際にKGIとKPIを設定する際には注意しておかなければならないことがあるのも実情です。
そこで本記事では、コールセンターの目標設定方法や、知っておきたい指標を解説します。実際にKGIやKPIを決める手順にまで触れますので、ぜひ最後までご一読ください。
コールセンターで目標設定が重要な理由
コールセンターで目標設定が重要な理由は、以下が挙げられます。
- 受注率を向上できる
- 解約率を改善できる
- 顧客単価を向上できる
- 顧客満足度を向上できる
オペレーターのモチベーション向上や、顧客満足度の向上にもつながるため、適切な目標設定を行うことが求められます。
受注率を向上できる
明確な目標を持ち、達成に向かって活動した結果として受注率が向上します。
例えば、受注数÷受電数=受注率ですが、1日あたりの受注数や1時間あたりの受電数を前年や目標の数値と比較しどのくらい向上させたいのかを明確にしておきます。
この目標を達成するためにオペレーター自身がスキルアップや問題点の改善に取り組むことで、成長するだけでなく受注率を高められるでしょう。
解約率を改善できる
目標を設定することで、解約率の改善にもつながります。目標の達成によってスキルアップしたオペレーターは、顧客の問題をより早く解決できるためです。
具体的には、解約率が10%だった場合、目標を5%に設定するといった例が挙げられます。目標達成に必要な時間や手順を分析し、業務プロセスを改善できればオペレーターがより高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。
顧客単価を向上できる
コールセンターで目標を設定したことで、顧客単価が向上することもあります。例えば、平均顧客単価を10%高めるといった目標設定が代表例でしょう。紹介した商品点数や時間など、何と比較して顧客単価を向上させるのかまで決めておきます。
目標を達成するにはオペレーターが顧客のニーズをより正確に理解し、適切な商品やサービスの提供が求められる結果、モチベーションや顧客対応の質を高めやすくなります。
顧客満足度を向上できる
コールセンターの目標を設定すると、オペレーターは顧客に対してより効率的かつ丁寧な対応を実施する傾向が強まり、顧客満足度もそれに合わせて向上できます。
ただし、顧客満足度という指標自体は曖昧なため、何をもって顧客が満足したのかを明確にしましょう。
具体的には、C-SAT・NPS®・CESなどによる調査を実施する方法が挙げられます。
指標 | 名称 | 説明 |
---|---|---|
C-SAT | Customer Satisfaction Score | 顧客が自社の商品・サービスに対してどのくらい満足しているかを測定する指標 |
NPS® | Net Promoter Score | 顧客が自社の商品・サービスを他人に勧めるかどうかを測定する指標 |
CES | Customer Effort Score | 顧客が自社の商品・サービスを購入・利用するまでにかけた手間や労力の度合いを示す指標 |
いずれもアンケートを利用してスコアを測定し、顧客満足度の指標として利用できます。
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コールセンターの目標設定はKGIとKPIが大切
コールセンターの目標設定は、KGIとKPIが大切な要素です。KGI・KPIが過剰に設定されたり、目的とずれてしまったりした場合は業務全体のバランスが崩れてしまうためです。
ここからは、コールセンターにおけるKGIとKPIを設定するための前提知識として、それぞれどのようなものかを紹介します。
コールセンターの目標設定に必要な「KPI」とは
KPIとは、Key Performance Indicatorの頭文字で、ある組織全体や部門の業績を評価する際に、何を重要視するかの指標です。コールセンターにおいては、生産性や効率性を評価するために用いられます。
KPIの設定によって、コールセンターの目標設定が明確化し、必要な取り組みや改善点を明確にできるのが利点です。
コールセンターの目標設定に必要な「KGI」とは
KGIは、Key Goal Indicatorsの頭文字で、最終的な目標を示す「重要目標達成指標」とも呼ばれます。コールセンターにおいては、顧客満足度や問題解決率など、重要な業績指標を指します。
そして、KGIに基づいて設定された目標を達成するためにKPIを設定し、具体的な行動指標を定量化しておきます。KGIが「売上高の増加」であった場合、そのKPIとして「新規顧客獲得数の増加」や「リピート率の向上」などを設定するといった形です。
各KPIを達成すると、KGIである「売上高の増加」も同時に達成できるという関係性にあることを覚えておきましょう。
コールセンターの目標を設定する手順
コールセンターの目標を設定する手順は、以下が代表例です。
- KGI(最終目標)を決定する
- 必要な要素を洗い出す
- KPIを設定する
- PDCAを回す
各種用語に加えて、コールセンターを例にした決め方まで紹介します。
KGI(最終目標)を決定する
まず、コールセンターの目標設定を行う際には、最終目標を決定する必要があります。KGIには実現したい最終目標を設定するため、例えばコールセンターの受付時間を改善する、コールセンターのサービスレベルを向上させるなどが挙げられます。
なお、コールセンターには、インバウンドとアウトバウンドと呼ばれる主要な業務があります。
業務種類 | 具体的な内容 |
---|---|
インバウンド業務 | 商品に関する問い合わせへの回答 商品受注 予約対応 キャンペーンやトライアルの受付 メール対応・顧客情報入力などの事務作業 テクニカルサポート クレーム対応 緊急窓口業務 |
アウトバウンド業務 | 新規顧客の開拓(テレアポ営業) 市場調査(満足度調査、アンケート調査) イベント告知 既存顧客へのフォロー |
いずれにおいても顧客に喜んでもらえる対応こそが、設定したい最終目標(KGI)です。
必要な要素を洗い出す
KGIを決定したら、必要な要素を洗い出します。例えば、受付時間を改善するためには、受付時間を短縮するための技術革新や従業員の訓練などが挙げられます。
顧客ニーズをきちんと聞き入れず、説明も不十分で不誠実な場合、顧客満足度の向上といった最終目標から大きく外れてしまうことは容易に想像できるため、全体のバランスをみつつ必要となる要素を出しておきましょう。
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KPIを設定する
洗い出した要素を基に、KPIを設定します。コールセンターにおけるKPIは、先述した要素を踏まえて最終目標を達成するために必要な指標を指します。
例えば、以下は応答品質をKGIとしたKPIの例です。いずれにおいても数値まで細かく決めておくと、後述するPDCAのサイクルを正しく回せます。
- 応答率
- 放棄率(放棄呼率)
- サービスレベル(SL)
- 平均応答速度(ASA)
こうしたKPIを設定し、具体的なアクションへ移しましょう。
PDCAを回す
KPIを設定したら、PDCAを回します。PDCAとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(検証)」「Act(改善)」を繰り返し、改善を続けることです。
例えば、KGIを応答品質・KPIに応答率を設定して計画した場合、実行したが向上できなかったとします。そこから検証によってなぜ低いのかを分析した結果に基づいた改善によってKPIおよびKGIを達成するといった流れを何度も繰り返します。
場合によってはKPIを見直し、調整しながらKGIの達成を目指しましょう。
コールセンターの目標設定に必要なKPI指標
コールセンターの目標設定に必要なKPI指標は、以下が挙げられます。
指標 | 算出方法 | 説明 |
---|---|---|
応答率 | 対応呼(件)÷着信呼(件)数×100 | 着信呼数に対して、コールセンタースタッフが対応した数の割合 |
放棄呼率 | 放棄呼(件)÷着信呼(件)数×100 | 着信呼数に対する放棄呼数の割合 |
SL (Service Level) | 規定時間内につながった件数÷着信件数 | 一定の時間内でスタッフが応答できた呼数の割合 |
ASA (Average Speed of Answer) | 繋がった呼の待ち時間÷つながった件数 | 顧客より着信要求があってから、スタッフが応答するまでの平均時間 |
稼働率 | (会話時間+後処理時間+その他時間)÷(総ログイン時間−離席時間) | 電話やデータ入力作業、Eメール対応などを行っている割合 |
AHT (Average Handling Time) | (総通話時間+総後処理時間+総保留時間)÷総応答呼数 | 平均処理時間 |
ATT (Average Talk Time) | 総コール数÷総通話時間 | 平均通話時間 |
ACW (After Call Work) | 合計後処理時間÷総応答呼数 | 1コールあたりに要する後処理時間 |
CPC (Cost Per Call) | コールセンター運営費÷総コール数 | 1件の電話対応にかかるコスト(人件費などの原価) |
CPH (Call Per Hour) | 対応呼(件)÷稼働時間 | オペレーターを評価するための指標 |
CES (Customer Effort Score) | アンケート方式での評価 | 顧客が問題を解決するためにどのくらい労力を要したかの顧客体験を評価 |
NPS®(Net Promoter Score®) | 推進者(9~10)−誹謗者(0~6)など | 企業やブランドに対する愛着・信頼・他者への推奨の度合いなどを数値化することで、顧客ロイヤリティを評価する手法 |
KGIには主に3つの指標があり、それぞれ細かくKPIが分類されています。ここからは、以下のKGIに合わせて使えるKPIをそれぞれ紹介します。
- 応対品質(電話の繋がりやすさ)
- 業務効率
- 顧客満足度
応対品質(電話の繋がりやすさ)
応対品質(電話の繋がりやすさ)のKPI指標は、以下が挙げられます。
- 応答率
- 放棄呼率
- SL (Service Level)
- ASA (Average Speed of Answer)
応答率
- 対応呼(件)÷着信呼(件)数×100
着信件数のうち、どのくらいオペレーターが対応できたかを示す割合です。オペレーター数が足りない場合、着信件数に対してオペレーターの対応が追い付かなくなってしまいます。
そのため、途中で電話を切ってしまう顧客を多数出してしまうことになるので、応答率が下がります。一般的なKPI設定数字は90%以上が大半ですが、最低でも80%以上はないと、「応答品質が悪い」と見なされてしまいます。
放棄呼率
- 放棄呼(件)÷着信呼(件)数×100
「放棄呼」とは、Abandoned Callsとも呼び、オペレーターにつながる前に顧客自らが切った、もしくはシステムトラブルなどで切断されてしまった着信の意味で、放棄呼率は放棄呼の割合になります。
電話がつながりやすいコールセンターほど放棄呼率は少なくなり、顧客満足度も向上するので、コールセンターのサービスレベルを分析できる指標となります。なお、一般的なKPI設定数字は10%以下が大半となります。
SL(Service Level)
- 規定時間内につながった件数÷着信件数
SLはサービスレベルService Levelの頭文字で、事前に設定された時間内に、オペレーターがどれだけ応答できたかを指し示す件数割合になります。
着信に対してオペレーターがきちんと対応できたとしても、待ち時間が長ければ顧客満足度は低下し、解約率は向上してしまうため、応答率だけでなく、応答時間も目標設定することが重要になります。なお、一般的なKPI設定数字は目標応答時間が20秒で、目標値は80%以上が大半です。
ASA(Average Speed of Answer)
- 繋がった呼の待ち時間÷つながった件数
ASAはAverage Speed of Answerの頭文字で、平均応答速度の意味です。 前項目のSLに対し、このASAは応答までに要した時間が、平均でどのくらいかかったかを示す指標になります。
ASAはSLと組み合わせながら管理することで、顧客にどれだけお待たせしているかを分析できます。また、自動音声応答システムを導入している場合は、この自動応答にかかった時間も合わせてASAを算出することもあります。
なお、一般的なKPI設定数字は20秒に設定する場合が大半です。
業務効率
業務効率のKPI指標は、以下が挙げられます。
- 稼働率
- AHT (Average Handling Time)
- ATT (Average Talk Time)
- ACW (After Call Work)
- CPC (Cost Per Call)
- CPH (Call Per Hour)
稼働率
- (会話時間+後処理時間+その他時間)÷(総ログイン時間−離席時間)
稼働率とは、契約した労働時間内でオペレーターがどのくらいの時間、顧客対応にかけているのかを指し示した割合になります。仮に稼働率が100%であれば、契約労働時間を目いっぱい完全に顧客対応していることになり、高評価ともとれます。
しかし、これでは次から次へと休む間もなく顧客対応に追われてしまうため、応対品質の低下を招いてしまいます。さらに、電話応対スキルアップの研修や自習といった時間も割くことができないため、100%に目標設定するのは無意味にもなります。
そのため、一般的なKPI目標設定数字は70%〜80%ほどになります。
AHT(Average Handling Time)
- (総通話時間+総後処理時間+総保留時間)÷総応答呼数
AHTはAverage Handling Timeの頭文字で、平均処理時間の意味です。 AHTは受信後の応対にかかった時間を平均した数値で、顧客との通話だけではなく、通話をし終わった後に要した履歴入力時間なども含んで算出することが一般的です。
そのため、後述するATT(Average Talk Time 平均通話時間)とACW(After Call Work 平均後処理時間)を足して計算することになります。
一般的には、数値が少ないほど良いとされ、スピーディーに処理がなされていることを表します。
ATT(Average Talk Time)
- 総コール数÷総通話時間
ATTはAverage Talk Timeの頭文字で、平均通話時間の意味です。 ATTは1件の顧客応対に対し、どのくらいの時間をかけて通話しているか、その平均値となります。
つまり、ATTの計算式は「総受信数÷総通話時間」となります。スピーディーに電話対応し、応答率を上げる場合は平均通話時間を短く設定する必要がありますが、例えば自社商品やサービスをわかりやすく丁寧に説明することに主眼を置く場合は平均通話時間も増えます。
そのため、他のKPIによっても目標設定が変わるといえます。
ACW(After Call Work)
- 合計後処理時間÷総応答呼数
ACWはAfter Call Workの頭文字で、平均後処理時間の意味です。 ACWは1件の顧客応対に対し、どのくらいの時間をかけて後処理を行っているか、その平均値となります。
後処理とは電話対応した後に行う、パソコンなどへの履歴入力やメール送信などを指します。
この後処理時間も業務効率の上では短い方が良いといった見方もできますが、顧客からのニーズを多く引き出せば顧客満足度は上がり、サービスレベルも向上といった見方もできるため、他のKPIによって目標設定が変わるといえます。
CPC(Cost Per Call)
- コールセンター運営費÷総コール数
CPCはCost Per Callの頭文字で、電話応対1通話にかかるコストの意味です。
この全体コストには、オペレーター人件費などの他、管理者や責任者、品質担当者などの人件費、コールセンター、コンタクトセンターのスペースや設備費用、通信コスト、IT関連コストなどすべてを含むことが望ましいとされています。
ただし、どのような目的でCPCを管理するのかが大切であり、場合によっては全体コストを人件費のみとしたり、変動費のみとしたりすることもあります。
また、業務内容によって、通話数と応対時間は異なるため、目安となる平均CPCはありません。
CPH(Call Per Hour)
- 対応呼(件)÷稼働時間
CPH(Call Per Hour)は、コールセンターにおいてオペレーターの生産性を測るために用いられる指標の一つです。1時間あたりでオペレーターが処理できるコール数を表し、生産性を測るために用いられます。
ただし、CPHだけでオペレーターの能力を評価するには評価基準が足りません。オペレーターが顧客に対して適切な対応を行っているかどうか、問題解決能力やコミュニケーション能力なども評価基準として用意しておきましょう。
顧客満足度
顧客満足度のKPI指標は、以下が挙げられます。
- CES (Customer Effort Score)
- NPS®(Net Promoter Score®)
CES(Customer Effort Score)
- アンケート方式での評価
CES(Customer Effort Score)は、顧客満足度を測る指標です。似た指標にCS(Customer Satisfaction)があり、同様に顧客満足度の指標ですが、その評価方法はCESと異なります。
CES(Customer Effort Score)は、顧客が問題を解決するためにどのくらい労力を要したかの顧客体験を評価する指標です。一方、CS(Customer Satisfaction)は、顧客が商品やサービスに対してどの程度満足しているかを評価します。
応答率やSL、さらにAHHなどが高かったとしても、その応対内容に大勢の顧客が不満を感じてしまうとクレーム件数や解約率が増加してしまいます。 CSは顧客応対後にメールやLINE、webなどでアンケート調査を行ってデータ収集することが一般的です。
NPS®(Net Promoter Score®)
- 推進者(9~10)−誹謗者(0~6)など
NPSはNet Promoter Scoreの頭文字で、企業やブランドに対する信頼、愛着、他人への推奨度合いを指し示す数値になります。具体的には、自社の商品やサービスを友人や知人に推奨する可能性を0〜10までのスコアで質問します。
そして、そのスコアにより、顧客を「推奨者」「中立者」「批判者」に分けます。そのうえで「(推奨者-批判者)÷全体数」がNPSの計算式になります。NPSは売上や業績と相関関係があるとされているため、CSのアンケート調査などに代わる新しいKPIとして、注目を集めています。
NPSもCS同様、オペレーターの応対品質が高く優れていても、提供する商品やサービス自体の不満が原因となり、数値が下がることも起こり得ます。
コールセンターにおけるKPI設定のポイント
コールセンターにおけるKPI設定のポイントは、以下の2つが挙げられます。
- 最終的な目標(KGI)を明確にする
- 実現可能なKPIを設定する
KGIを実現するためには、達成可能かつバランスを考えてKPIを設定する必要があります。
最終的な目標(KGI)を明確にする
例えばコールセンターは、インバウンドとアウトバウンドの2つの主な業務があります。いずれの業務も顧客や見込み客とのやり取りで、いわば顧客接点の役割を担っており、顧客に喜んでもらえる対応こそが最終目標(KGI)となります。
こうした最終目標に対して何をするかが課題です。顧客に対して迅速丁寧に対応し、応答率や稼働率を高めるなど、最終目標を明確化することで何を実行すべきかわかるため、目標によってKPIも変わるのです。
また、KGI実現のためにはいくつかのKPIがありますが、それぞれのKPI同士の関係性をツリー形状にして可視化するKPIツリーの作成も大切になります。
実現可能なKPIを設定する
コールセンターでKPIを設定する際、高い目標を設定することは大切ですが、実現不可能なことを設定しても意味がありません。達成可能ながらも一定の難易度を持った目標の設定が大切です。
現状の状況を改善し、より面白く、創造的で、魅力的なものに挑戦することで、モチベーションを高められます。
例えば応答率向上をKPIとした際、応答率そのものは上がったとしても顧客ニーズをきちんと聞き入れず、説明も不十分で不誠実な場合、顧客満足度の向上といった最終目標からは大きく外れてしまうことになります。
このような場合、顧客一人に対しての応対時間を短くすることで応答率を上げるのではなく、後処理作業を改善して効率化を図るなど、適切に対策を取り全体のバランスを考えてKPI設定を行うことが重要になります。
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コールセンターにおける目標設定の注意点
変更前:コールセンター委託時に事業者が注意すべきKPI
コールセンターにおける目標設定の注意点は、以下が挙げられます。
- SMARTを意識してKPIを設定する
- 基本は稼働率や応答率を見る
- 自社の事業領域・特徴に合わせたKPIを設定する
SMARTを意識してKPIを設定する
KPIを設定する際には、以下の頭文字を取ったSMARTという考え方の意識が大切です。
- Specific(具体的)
- Measurable(測定可能)
- Achievable(達成可能)
- Related(関連)
- Time-Bounded(期限)
数値として進捗を測定できると、目標達成における進捗状況がわかります。無茶な目標の設定を避け、KGIと高い関連性のあるKPIを期限付きで設定する際に便利です。
基本は稼働率や応答率を見る
コールセンターの業務を外注する際に、まず注意しなければいけないKPIは応答率と稼働率です。応答率はコールセンターがどれくらい受電しているかや、つながりやすさを判断できる指標です。一方で、稼働率は顧客応対しているオペレーターが、どのくらい業務の遂行に時間がかかっているかを知ることができる指標です。
この数値によって、仕事量に対しての人員の過不足、オペレーターの生産性やスキル、教育体制の質や量の妥当性、外注委託先の運営の健全性などを判断できるため、稼働率や応答率をチェックすることは重要です。
また、「応答率90%、稼働率70〜80%」を目安として管理することが望まれます。
自社の事業領域・特徴に合わせたKPIを設定する
前述したように、何を最終目標にするかによって、KPIも大きく異なりますが、自社の商品やサービス、強み弱みによってもKPIは異なるため、まずは自社の事業領域や特徴を洗い出し、整理してみましょう。
例えば、緊急性の高い電話対応が多い企業では、迅速さを常に求められるため、応答率の高さが重要視されます。さらに、事前に設定された時間内に、オペレーターがどれだけ応答できたかを指し示すSLや、応答までに要した時間が、平均でどのくらいかかったかを示す指標ASAなども非常に大切なKPIとなります。
リソース依存なし!安定したKPIを実現するAIの顧客対応「ボイスボット」
ボイスボットとは、人工知能(AI)を搭載した音声認識ができるソフトウェアを用いることで、顧客が音声により自動応答システムを操作できる仕組みを指します。
オペレーターの場合、スタッフによってスキルもノウハウも異なるため、品質に多少のバラつきが生じてしまいますが、このボイスボットというAI電話自動応対サービスの場合、電話応対に対し一定の品質を維持できるため、最終目標達成のためのKPIを適切に設定できます。また、企業によってのさまざまなKPIが達成しやすくなるため、
- 業務効率化
- 働き方改革
- 機会損失の防止
- 売上向上
- 24時間365日対応
などを目的として、導入する企業も増えています。
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まとめ
コールセンターでは、KGIやKPIといった目標を設定し、業務の効率化・円滑化を実施できます。まずは何を目指すかを明確にしてから、KPIに加えて具体的なアクションを検討すると良いでしょう。
ただし、いずれにおいても実現可能なレベルでの設定も忘れてはなりません。一定の品質で保ちたい場合にはボイスボットの導入もおすすめです。
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