近年、コンタクトセンターの役割は企業が顧客満足度を高め、売上を伸ばすために不可欠なものとなっています。しかし、コールセンターとの違いやその役割の具体例はあまり知られていません。
本記事では、コンタクトセンターが持つ7つの役割を詳しく解説します。また、コールセンターとの違いや、コンタクトセンターを運用するための必要なシステムにも触れるため、カスタマーサポートの強化を検討中の企業様・ご担当者様はぜひご一読ください。
コンタクトセンターとは
コンタクトセンターとは、電話応対専門のオペレーターが対応するサービスです。電話の内容によっては、FAX、メール、チャット、SNS、Webページなど複数のチャネルを通じて企業の代わりに対応します。カスタマーサービスとして、電話以外での要望が高まりスマートフォンやPC、タブレットの普及により多角的なアプローチに柔軟に対処できるようチャネルのマルチ化が進んでいます。
お問い合わせの窓口のツールが増えたことで、顧客の求める要求に的確に応えます。この事で顧客満足度の向上に繋がり、企業イメージのアップに直結します。何度かけても電話に出ない、繋がらない、たらいまわしにされる等、電話一つで企業イメージが変わってきます。これらのクレームや新規顧客の取りこぼしを防ぐ意味合いもあります。
オペレーターはさまざまなチャネルを通して顧客のニーズに応えるため、結果的に企業と顧客の良好なコネクションを構築します。またコンタクトセンターで対応した顧客のデータを集積することで、他部門への有益な情報として役立ち、商品開発や商品の改善などの効果が期待できます。
コールセンターとは
コールセンターとは、以前からあるスタイルで、電話専門のオペレーターが対応にあたります。対応は電話窓口のみで、問い合わせに対して取次や案内など基本的な一次対応が主な業務になります。 コールセンターの代表的なものは、通販会社の受注用受信窓口、クレーム対応、問い合わせの取り次ぎや転送、代表電話の受信窓口などです。
これらのオペレーター業務をアウトソーシングに委託しているケースもあります。そこでは時間やオペレーターの受信回数で料金が決まり、税理士や弁護士などの士業専門や、水道修理、夜間早朝の問い合わせのある葬儀窓口、ビル管理、不動産業者など実に様々なニーズに合わせてオペレーター業務を行っています。
オペレーターはマニュアルにしたがって、アウトバウンドのようなセールスや案内をする他、インバウンドはクレーム対応、商品受注を行います。土日祝日のように曜日に特化したプランや、深夜早朝のような特殊な時間帯でもニーズがあるため、需要と供給のバランスが上手くとれています。
コンタクトセンターとコールセンターの違い
コンタクトセンターとコールセンターの違いは、以下の2つが挙げられます。
- チャネル
- 役割
どのようなお問い合わせ方法に対応しているか、何を重視した役割を担っているのかの違いを把握しましょう。
チャネルの違い
コールセンターは、顧客からの問い合わせを電話で受け付けて対応するサービスです。問い合わせに対し、マニュアルに基づいたセールスや案内をする他、クレーム対応、商品受注の役割を担います。
一方、コンタクトセンターは電話だけでなく、メール、チャット、SNSなど、複数のチャネルを通じて顧客とのコミュニケーションへ柔軟に対応します。顧客の利便性や満足度を高めるために、さまざまなチャネルを活用し、柔軟かつ効率的に対応する役割が基本です。
役割の違い
コールセンターとコンタクトセンターの役割にも違いがあります。
コールセンターは主に問い合わせ対応が中心であり、顧客からの問い合わせに対して迅速かつ正確に回答することが求められます。
一方、コンタクトセンターは顧客とのコミュニケーションを重視し、商品やサービスの提案や顧客満足度の向上にも力を入れているのが特徴です。
コールセンターとコンタクトセンターは、いずれも顧客との接点として重要な役割を担っています。それぞれの役割に応じた適切な対応が求められ、顧客満足度の向上が期待されます。
コンタクトセンターが注目される理由
コンタクトセンターがこんなにも注目されているのは、チャネルの多様化と顧客満足度の向上、CMRが密接に絡み合っているのが根底にあります。 Z世代をはじめ、ネット環境が当たり前に生活に溶け込んでいるユーザーにとって電話以外のツールを利用するのはごく自然なことです。
FAX、PC、タブレット端末、スマートフォン、SNSを駆使してコミュニケーションを取っているユーザーは人と直接会う事を避けている次のカスタマーステージの代表格とも言えます。ネットユーザーの情報はチャネルの多様化を促進し、CMRを実装することがコンタクトセンターを重要視している理由です。
経営の多角化を目指すように、ユーザーのニーズがどこにあるかを明確に把握するためにもコンタクトセンターの役割は日々大きくなりつつあります。CRMシステムを活用することは、商品開発のヒントやサービス向上のために必要なツールになります。どの部署と情報を共有するかもそうですが、オペレーター業務のパフォーマンス向上にもつながります。
コンタクトセンターが持つ7つの役割
コンタクトセンターが持つ具体的な役割は、以下の7つが挙げられます。
- 顧客の声を共有する
- 応対レベルを均一化する
- 顧客と良好な関係を構築する
- 多様なチャネルに対応する
- 利益を生み出す
- 部署間の連携をサポートする
- データを利活用する
顧客の声を共有する
コンタクトセンターは、顧客と企業との接点であり、顧客の声を収集する重要な役割があります。クレームや問い合わせ、感謝の声など、さまざまな声が集まりますが、これらは企業にとって貴重な情報源です。
顧客の声を正しく収集し、社内に共有することで企業は顧客のニーズを把握し、商品やサービスの改善に加えて顧客満足度の向上や業務効率化につなげられます。
応対レベルを均一化する
コンタクトセンターでは、研修やマニュアルによって、担当者全員の応対レベルを均一化することが求められます。
例えば、企業や団体によっては担当者によって応対の質がまちまちであったり、回答内容にばらつきがあることがあります。これは、担当者の知識や経験、対応力などによって差が生じるためです。
顧客に不信感を抱かせないよう、どのような方法でのお問い合わせに対しても均一化したレベルのサービスを提供することが一つの役割となっています。
顧客と良好な関係を構築する
コンタクトセンターは、顧客との良好な関係を構築するために重要な役割も担っています。
迅速かつ適切に対応することで、顧客満足度を高められます。また、商品やサービスに関する情報提供やアフターサポートなども行い、顧客の信頼を獲得することも期待されるでしょう。
こうした積み重ねで、企業のイメージ向上につなげて顧客との良好な関係を構築することが求められます。
多様なチャネルに対応する
コンタクトセンターは、電話やメールだけでなく、SNSやチャットボットなど、多様なチャネルに対応することも役割として挙げられます。
顧客は、自分が使い慣れているチャネルで企業とコミュニケーションを取りたいと考えています。また、電話やSNSでは緊急性や顧客の特性にも差があり、それぞれに適切な対応が必要です。
これまで以上に多様なチャネルに対応することで、顧客とのコミュニケーションをより円滑にしつつ、臨機応変に対応することが求められています。
利益を生み出す
コンタクトセンターがプロフィットセンターとしての役割を担うことで、企業全体の収益性を高められます。プロフィットとは利益のことで、コンタクトセンターと掛け合わせてプロフィットセンターと呼ばれ、企業利益の向上においてその重要性を高めています。
- 応対品質の向上で企業イメージを向上させる
- 能動的に顧客へ提案して購買につなげる
- 顧客の声を届けて新製品開発や品質向上につなげる
コンタクトセンターは、顧客からの問い合わせやクレーム対応だけでなく、適切なアドバイスや提案を行うことで、商品やサービスの販売促進につながります。
このためには、AI技術やシステムを利用して業務を効率化し、オペレーターの負担を軽減しつつ販促へアプローチできる体制を整えることが重要でしょう。
部署間の連携をサポートする
コンタクトセンターには、部署間の連携をサポートする役割もあります。
例えば、製品に関する問い合わせが来た場合は、製品開発部門や営業部門と連携して正確な情報を提供できます。また、顧客からのフィードバックを他の部門に共有することで、製品やサービスの改善につなげることもできるでしょう。
コンタクトセンターが部署間の連携をサポートすることで、企業全体の効率的な運営に貢献し、サービスの質が高まることで顧客満足度の向上にもつながります。
データを利活用する
コンタクトセンターは多様なチャネルから多くのお問い合わせを受け付けることから、蓄積できるデータの利活用が非常に重要な役割として挙げられます。インターネットの普及により、店舗で収集できていた顧客の声等の減少に対して有効な策となるためです。
コンタクトセンターには、顧客からの問い合わせやクレームなど、さまざまな情報が集まります。この情報を適切に蓄積・分析することで、企業は顧客のニーズや嗜好を把握することができ、営業やマーケティングを効率化できます。
また、蓄積した情報を元に、新たな製品やサービスの企画・開発を行うこともできるでしょう。
コンタクトセンターの役割を果たすために解決すべき課題
コンタクトセンターの役割を果たすために解決すべき課題には、以下が挙げられます。
- 応対品質の向上
- クレームの抑制
- 問い合わせ数の削減
- 対応時間の短縮
- 成果獲得の向上
- 人員の早期戦力化および定着
インバウンドの問い合わせにおいては、平均応答時間とオペレーターの対応時間の短縮化を実現しつつ、適切な対応を行いクレームを未然に防ぐことが大切です。問い合わせ数が多い場合、効率的な対応方法を模索する必要があります。
アウトバウンドにおいては、成果を出すためには顧客のニーズを正確に把握し、適切なアプローチ方法を選択する必要があります。また、オペレーターの早期戦力化と定着化も課題の1つのため、適切な研修や労働環境の整備が必要でしょう。
コンタクトセンターの役割を担う体制の構築方法
コンタクトセンターの役割を担う体制の構築方法として、以下の2つが挙げられます。
- システムの導入
- オペレーターの教育
本記事で触れた7つの役割を担うためにも、チャットボットやボイスボットなどのシステムを導入したり、トレーニングや研修によってオペレーターを教育したりする必要があります。
システムの導入
システムの導入としては、以下の3つが代表的です。
- チャットボット・ボイスボット
- CMR
- CTI
コンタクトセンターに必要となるメインの電話の他に、導入しておきたいシステムをチェックしましょう。
チャットボット・ボイスボット
チャットボットは、チャットを通じてお客様からの質疑応答に自動応答するサービスです。会話ロボットが応答するため、24時間365日いつでも対応ができます。 一方、ボイスボットは電話応対をロボットによる発話システムで自動対応してくれるサービスです。
いつどのようなお客様に対しても、同じ品質のサービス提供が可能です。365日24時間対応が可能なのも、ロボットならではの利点で人件費削減になります。
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CMR
Customer Relationship Managementは顧客情報や顧客との対応履歴をデータ化し蓄積できるシステムのことです。コールセンター内で情報を共有でき、CMRシステムに顧客とのコンタクトした際の情報入力や履歴閲覧ができます。
スーパーバイザーやエグゼクティブアドバイザーなどの管理者も、コンタクトセンターの対応内容やパフォーマンスが正しく行われているか、確認するための利用も可能です。
CTI
Computer Telephony Integration。電話とコンピューターを接続してコールセンターの業務がスムーズに行われるシステムです。コンタクトセンター内でも電話の対応に使用します。CTI、顧客データ、電話番号と顧客情報など取引内容を紐づけることで、受信と同時に表示が可能になります。
オペレーターの人数が限られている場合も、通話状況によって対応時間が均一化するよう受信の振り分けにも使われます。管理者の業務として、オペレーターのモニタリング機能もあります。
オペレーターの教育
この中でも重要なのは、オペレーターです。コミュニケーションスキルや、機器操作、イレギュラー適応能力など、品質の高い人材が必要です。オペレーターの人材育成はビジネスマナーに始まり、機器操作のシステムスキル、コミュニケーション教育が求められます。
オペレーターに高い品質が求められるのは、サービスレベルの向上もそうですが第一に顧客満足度向上が挙げられます。通話録音装置は通話内容を記録し、聞き返すことでオペレーターの不適切発言防止や通話内容の確認ができます。同時に、クレームなどのトラブルの時にオペレーターを守る役割もあります。
オペレーターは常に通話に集中し、適切なやり取り、顧客のニーズの把握、会社との顧客のコネクション確立を念頭に置くことで最大のパフォーマンスが期待されています。
ボイスボット導入で顧客対応をより強固に
ボイスボットとは、音声認識や自然言語処理、対話型AI(人工知能)などの技術を活用し、顧客の発話の内容を解析して発話形式で電話対応を自動化するシステムです。 「AI自動応答システム」とも呼ばれ、従来の受電業務を効率化する、IVR(音声自動応答装置)システムに比べ、より柔軟かつ円滑な電話対応が可能となります。
コールセンターをはじめ、カスタマーサポート業務の効率化や負担軽減を検討されている企業様はぜひ、以下の記事をご覧ください。
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まとめ
コンタクトセンターの導入によって、企業は顧客サービスを効率的かつ迅速に提供することができ、顧客との信頼関係を強化しつつ顧客満足度を高めることができます。プロフィットセンターとしての役割まで果たせると、売上を伸ばすこともできるでしょう。
効率的なコンタクトセンターの運営のために、チャットボットやボイスボットなどのシステムを導入したり、トレーニングや研修によってオペレーターを教育したりするなどを検討してみてはいかがでしょうか。
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