DXとは、Digital Transformation(デジタル変革)の略で、デジタル技術を活用して企業のビジネスモデルやプロセスを変革することです。一方、IT化とは、Information Technology(情報技術)を活用して、企業における業務効率化を指します。
しかし、DXを実現するためにIT化を単に導入するだけでは効果を実感できずに変革が途中で止まってしまいます。DXとIT化の違いを理解し、効果的に活用できる状態を整えましょう。
本記事では、DXとIT化の違いを解説し、コールセンターにおける事例を紹介します。IT化の一環として顧客とのやり取りを効率化するために、AIを活用したチャットボットにも触れますので、ぜひ最後までご一読ください。
DXとIT化の違い
DXとIT化の違いをわかりやすくすると「視点」が挙げられます。
項目 | IT化 | DX |
目的 | 情報技術(IT)を活用して業務プロセスなどを効率化する | ITを含むデジタル技術を駆使してビジネスを変革し、新しい価値を生み出す |
視点 | 主に社内 | 顧客や社会 |
柔軟性 | 一定の柔軟性が求められるが、主に業務プロセスの効率化に主眼が置かれる | 社会の変化や顧客ニーズに合わせてビジネスモデルを変革することが求められるため、より柔軟性が求められる |
変革の規模 | 業務プロセスの効率化に主眼が置かれるため、ビジネスそのものを変革するDXより規模が小さい傾向にある | ビジネスそのものを変革することを目的とするため、業務プロセスの改善に留まるIT化よりも大きな変革が求められる |
貢献 | 企業の生産性向上 | 企業の生産性向上だけでなく、社会全体の価値向上にも貢献することが期待されている |
必要な能力 | ITスキルなどが必要 | 従来のビジネスモデルや思考方法にとらわれない柔軟な発想力が必要 |
IT化は主に社内へ目を向け、情報技術(IT)を活用して業務プロセスなどを効率化することを目的とします。一方、DXは顧客や社会に目を向け、ITを含むデジタル技術を駆使してビジネスを変革し、新しい価値を生み出すことを目的とします。
そのほかにも多くの違いがありますが、IT化によってDXを実現するという流れが基本となることを覚えておきましょう。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
DXとは、2004年にスウェーデンの大学教授が提唱した概念で「デジタル技術を用いて人々の生活をより豊かにすること」といわれています。
主に「企業がIT技術を活用しビジネスモデルや働き方を変えていくこと」と解釈されることが多く、日本では2018年ごろから提唱されてきました。
日本では推進が遅れている状況でしたが、2020年の新型コロナウイルスの影響で働き方改革が必須になり、取り組みを進める企業が増えています。
DXの定義
DXはDigital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略語で、「デジタルによる変革」と訳されますが、解釈は複数あり定義が明確にされていません。
経済産業省の発表では「企業がデジタル技術を活用して、ビジネスモデルや企業そのものを変え、特徴を持つこと」と定義されています。
また「デジタル技術を活用し、企業の競争力を向上させる」という意味合いもあり、DXの流れに乗り遅れてしまうと市場の競争から取り残されてしまうことも示唆されています。
DXの具体例
DXを取り入れている身近な事例としては、タクシーの配車サービスや荷物の配送システム、AIによる音声認識などが挙げられます。
- 顧客情報と在庫管理を紐づけ、サイトから確認し購入できる
- スピーカーに話しかけるだけで、知りたい情報にアクセスできる
- アプリを操作するだけで、タクシーやフードデリバリーが指定した場所まで来てくれる
DXは社外に対してだけでなく社内でも活用されており、業務効率化に成功しています。
- 勤怠管理をシステム化し、給与計算までの流れを一元化
- 社内決済や書類関係を電子化し、データで提出
- 総務や経理関係のヘルプサポートにチャットボットを導入し自動回答
デジタル技術を取り入れ仕組みそのものを変えることで、顧客や従業員の生活は便利になりました。
このようにデジタル技術を取り入れ、生活様式や企業そのものを変化していくことがDXなのです。
IT化とは
ITとはInformation Technology(インフォメーションテクノロジー)の略語で、インターネットやコンピューター、ソフトウェアなどのデジタル技術や通信技術の総称です。
ITの導入は競争力を高め利益の確保にもつながるため、国はIT関連の補助金制度を導入し、IT化を促進しています。
ITの導入状況は企業や業種によって異なりますが、新規参入企業や大企業ほど高いといわれており、ベンチャー企業が少なく中小企業の多い日本は世界から遅れを取っている状況です。
IT化の定義
IT化の意味にはDXと同様に明確な定義はありませんが、「情報をデジタル化し既存システムの効率化を目指す体制作り」と捉えられています。
既存のアナログのシステムやツールをデジタル化することで、生産性向上やコスト削減につながる体制を目指し、会社の成長や経常利益の増加に繋げます。
手作業や紙ベースの業務をデジタルデータに変えて取り扱うなど、日常のプロセスを簡単に、早く、正確に行うための仕組みです。
IT化の具体例
IT化の例として分かりやすいのは、アナログのデータをデジタル化しコストや作業時間を削減することです。
- 紙のFAXをやめ、届いたFAXをパソコン上に取り込み必要があるものだけ印刷する
- 勤怠表をICカードに変え、打刻すれば給与計算まで行う
蓄積されるデータが増え取り出しやすくなったことで、管理や取り扱いが容易になった事例もあります。
- 顧客の購入履歴や閲覧履歴を全て一元管理し、部門を超えて共有できる
- 作成した書類や資料をクラウド上に格納し、会社のパソコンだけでなく外出先や個人タブレットで確認、編集できる
IT化はDXを進める際の初期投資に大きく影響します。 現段階でIT化が進んでいない企業はDXの動きも遅れてしまうことになるため、早めの取り組みが必要です。
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DXとIoT・ICT・デジタル化の違いとは
DXとIT化の違いに加えて、補足としてDXに似た以下の言葉についても違いを解説します。
- IoT
- ICT
- デジタル化
いずれにおいても、DXを推進するための手段として用いられる概念であり、どの技術を使えばビジネスの変革を達成できるかで検討する必要があるでしょう。
DXとIoTの違い
DXはビジネスモデルや人々の生活を変革するのに対して、IoTはその手段の一つという違いがあります。
IoTはInternet of Thingsの略称で、「モノにインターネットを接続してより便利に活用する」ということです。リアルタイムにデータを収集し、顧客のニーズを把握できます。
DXとIoTは、それぞれ異なる目的を持っていますが、両方を組み合わせることで、より効果的なビジネス変革が可能となります。
DXとICTの違い
DXとICTは、IoTと同様にDXの手段の一つという違いがあります。
ICTはInformation and Communication Technologyの略で、「情報伝達技術」を意味します。情報伝達に必要な技術を提供することで、DXを実現するための基盤を作るのに役立つものです。
ICTはDXの実現に必要な技術を取り入れられるものであり、ビジネス変革を進めるために必要な要素と考えましょう。
DXとデジタル化の違い
DXとデジタル化においても、DXを進める手段の一つというデジタル化の位置付けがあります。
デジタル化は、現在の業務を自動化・システム化することで、業務効率化や生産性を向上させるといった目的で実施されます。
DXにおいてはビジネスプロセスの再設計が必要であり、どのようにデジタル化することで実現できるかといった形の関係性であることを覚えておきましょう。
IT化で新たな価値を生み出すDX
ここまでに紹介したIoT・ICT・デジタル化などのIT化の推進で組織全体において変革を実施し、新たな価値を生み出すことがDXの実現に必要不可欠です。
用語 | 定義 |
---|---|
DX | デジタル変革(Digital Transformation)の略称 ビジネスや組織、社会をデジタル技術を活用した変革 |
IoT | モノのインターネット(Internet of Things)の略称 モノ同士や人とモノが相互に通信 自動的に制御・運用するシステム |
ICT | 情報通信技術(Information and Communication Technology)の略称 情報処理技術と通信技術の融合によって実現される技術 |
デジタル化 | アナログ信号をデジタル信号に変換 情報をコンピューター上で扱える形式にする |
IoT・ICT・デジタル化によってアナログ・物理データをコンピューター上で扱える形式にし、業務プロセス全体をIT化することで最終的な新たな価値の創造が見えてきます。
生み出す価値は企業によってそれぞれで、たとえば製品やサービスの質を向上させたり、顧客体験を改善したり、新しいビジネスモデルを構築したりするなどが可能です。また、大量のデータを分析することで、より効率的な業務プロセスの確立や新しいビジネスチャンスの発見なども実現できるかもしれません。
DXやIT化が注目されている理由
2020年あたりからDXという用語が頻繁に聞かれるようになりました。 日本で定義されたのは2018年ですが、新型コロナウイルスの影響によりテレワーク化の必要性が加速したこともあり、急速な推進が求められています。
DXやIT化が注目される理由はそれ以外にも複数要因があるため、導入検討している企業はDXがどのような問題を解決できるのか、把握しておきましょう。
BCP対策の必要性
災害や緊急事態下でも企業活動を続けられるようにするBCP対策は、コロナウイルスの蔓延で注目されています。
DXが進んでいれば、大規模な災害によって従業員が出勤できない状態に陥っても、企業活動を止めずに運営できます。BCP対策として世界の市場はオンライン化、自動化の動きが激しくなっています。
DXの導入が進んでいない企業は取り残されてしまう危険性があるため、多くの企業が取り組みを始めているのです。
「2025年の崖」問題
2018年に経済産業省が出したレポートによると、DXを導入できなかった場合、2025年以降は最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性が見込まれています。
市場の変化に対応できずビジネスモデルを変革できなかった企業は、デジタル競争の敗者となり競争力を失ってしまうというのです。
進化するAI、5Gの整備など周囲の変化に乗り遅れないよう、できるだけ早くデータの電子化や社内のIT人材確保に努めなければなりません。
参考:DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~
国からの支援
国は何としても2025年までにはDXを実現させなければならないため、いくつもの補助金制度を設けています。
DXを進めるには、既存システムの状況によって異なりますが、数百万円以上の投資が必要となる場合もあり資金力のない企業は実現できません。
IT化を検討しているが初期費用の大きさで導入を見送っている企業は、補助金制度を利用しIT導入の初期投資費用に充てたり、専門知識を持つ人材育成や新規採用に活用しましょう。
【DXに活用できる補助金制度】
- IT導入補助金
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
- キャリアアップ助成金
DXやIT化のメリット
DXやIT化のメリットは、それぞれを組み合わせて得られるもの、個別で効果を得られるものなどが挙げられます。業務効率化や働き方改革、新サービスの開発からリスク回避まで幅広い利点があるため、以下に分けて解説します。
- DXとIT化のメリット
- DXのメリット
- IT化のメリット
DXとIT化のメリット
DXとIT化のメリットは、以下が挙げられます。
- 業務効率化
- 働き方改革の推進
いずれにおいても、時間や手間の削減や働き方そのものを変化させる大きな変革へと繋げられます。
業務効率化
DXの大きなメリットは、業務に関わる時間や手間が短縮されることです。
手作業で行っていたデータの集計や売り上げレポートの作成をデジタル化することで、クリエイティブな仕事や対人が必要な業務に人員を配置できるため、生産性の向上につながります。
また、簡単な作業であればITを導入することで自動化することも可能になり、業務が効率化されコスト削減も期待できるはずです。
例えば、電話対応をAIを活用した「ボイスボット」に置き換えることで、有人対応が削減されます。加えて、データの抽出や分析も自動化され、大幅な工数が削減されるでしょう。
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働き方改革の促進
既存のシステムをIT化したり、DXを踏まえたビジネスモデルの構築により、働き方そのものが変化します。
データをクラウドで保存、共有することで、オフィスに出社しなくても仕事ができるようになり、テレワーク化の促進やオンライン商談を主流とする企業も増えるでしょう。
オンラインで決済や手続きを可能にする企業が増える事で、物流時間の短縮や店頭対応のさらなる減少が考えられます。
DXのメリット
DXのメリットは、以下が挙げられます。
- 新規サービスの開発・創造
- 既存体制のリスク回避
新しいビジネスモデルが生まれるだけに限らず、従来のシステムが抱えていたリスクまで回避できるでしょう。
新規サービスの開発・創造
IT技術を取り入れることは既存のシステムが変化するだけでなく、デジタル技術を活用した新しいビジネスモデルが生まれます。
市場全体でIT化が広まり新規サービスが開発され、相乗効果で新しいビジネスモデルも生まれていく流れがDXです。
DXの活用を前提にビジネスを考えることでこれまでになかった技術やサービスが生まれ、企業の優位性と市場の活性化が期待できます。
既存体制のリスク回避
既存体制のリスク回避には、DXが有効な解決策となることがあります。現在、企業が抱えるサイバー攻撃やウイルス感染の脅威は増加しており、これらに対応するためにはセキュリティ対策の強化が必要です。
しかし、既存システムの運用保守には多大なコストがかかり、IT人材の採用やセキュリティ対策に投資する余裕がない場合もあるでしょう。
DXを導入してクラウドサービスやAIなどの最新技術を活用し、セキュリティ対策を強化できれば既存体制で懸念されるリスクを回避できます。
IT化のメリット
IT化のメリットは、以下が挙げられます。
- コスト削減
- 情報の利活用を促進
従来は手作業で行っていた業務においてコスト削減を実現でき、情報の利活用を促進した新たな体制構築を目指せるでしょう。
コスト削減
IT化のメリットとして、コスト削減が挙げられます。例えば、従来は手作業で行っていた業務が、ITツールによって自動化されることで、人件費や時間を削減できます。
また、情報の共有や管理が容易になり、業務の効率化が図れるのも利点です。さらに、情報を収集・分析することで、ビジネスの意思決定に役立つ情報を得られます。これらの効果により、企業の競争力も高められるでしょう。
情報の利活用を促進
IT化のメリットとして、情報の利活用が促進されます。ITツールの導入により、情報の管理や共有が非常に簡単になり、「いつでも、どこでも簡単に」書類を確認・管理・共有できます。
また、データはクラウド上に保管されるため、紙での保管のように場所も取りません。例えば、書類などを紙で管理している場合は、分類に手間がかかったり、必要な資料を見つけるのに苦労したりと不便なことを改善できるでしょう。
さらに、今までは職場にいないと確認できなかった情報に自宅などからアクセスできるため、テレワークにも対応できます。
DXにおけるIT化において重要なこと
DXとIT化は意味合いでいうと異なりますが、DX実現にIT化は必須なので取り組みが遅れている企業は早急に導入が必要です。 ここからはITを導入する時の重要なポイントを紹介します。
データの電子化
IT化の第一歩は、データの電子化です。
紙ベースでのデータ保管は、紛失や劣化だけでなく管理の煩雑さや保管場所の確保も課題です。
電子化することにより必要な情報を探しやすく、共有時もメールやソフトを使ってデジタル形式で送ることができるので、時間の短縮とコスト削減につながります。
リモート環境の整備
テレワークの普及により、早急にリモート環境を構築する必要がでてきました。
オフィスに出社しない従業員がオフィスと同様の環境で業務を行うためには、情報の共有をクラウド上で行ったり、経理や労務手続きをオンラインで行う環境の整備、電話業務を無人化することが必要です。
外部ツールの導入
IT化には大がかりなシステムを構築したり既存システムを改修するだけでなく、サブスクリプションサービスの契約や、業務を外注することも有効です。
システム構築は費用負担が大きく小規模のビジネスモデルには費用対効果が低いため、外部のツールやリソースを活用して必要なサービスを必要な分だけ活用しましょう。
また、IT化にはセキュリティ対策も大きな課題になるので、最新の対策を導入しているツールを使用し、情報資産を管理することが重要です。
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DXやIT化を進める際の注意点
DXやIT化を成功させるには、次の3つのポイントを押さえて計画的に実行しましょう。
- 経営層によるビジョンの共有
- DX人材の確保・育成
- IT化を目的にしない
経営層によるビジョンの共有
新しい試みを始めるには、目的やビジョンが企業全体で共有できていることが重要になります。やりたいことや、やるべきことが各自バラバラになってしまうと方向性が定まらず結果が伴いません。
また、現場や管理層が理解できていても会社の上層部がDXを理解していなければ、大規模の設備投資に協力を得られない場合があります。
企業の実権を握る経営層が正確にビジョンを伝えることはDX推進の鍵となるので、分かりやすく正確に共有できるようミーティングを重ね意識のすり合わせをすることが必要です。
DX人材の確保・育成
DXは新しいビジネスモデルなので、経験者や精通者が不足しています。
IT知識に加え、マーケティング、組織運営、デザインなど複数の知識と経験が必要なため、適任な人材の確保は容易でありません。
IT知識はあってもチームを動かすディレクション能力や、個々のシステムを一つにまとめるデザイン力などDXに求められるスキルは多様です。
これらに精通する人物を社外から新規採用することもできますが、補助金を活用し社内の人材を育成することも視野に入れて、IT化を進めながら適任者を確保しましょう。
IT化を目的にしない
先述した通りIT化はDXを達成するための手段であり、DX=IT化ではありません。DXを目的にせずに最新のシステムを導入しても「想定した効果が得られない」「全員が使いこなせない」と、中途半端な結果に終わってしまう可能性があります。
システムを導入しただけで終わらずに効果の測定や他システムとの連携、システムの使用率などを総合的に統括していく部署の設立を検討し有効的に運営できているかを定期的に確認することが重要です。
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【事例】コールセンターのDXとIT化
コールセンターのDXとIT化の事例として、以下の3つを紹介します。
- チャネルのIT化
- プロセスのIT化
- データの利活用
チャネルのIT化
コールセンターにおいては、顧客とのコミュニケーションにさまざまなチャネルが存在します。それぞれのチャネルをIT化することで、よりスムーズなコミュニケーションの実現が可能です。
例えば、チャットボットによる自動応答やAIによる問い合わせ内容の解決など、自動化による効率化が期待できます。
また、顧客が自身の問題を解決するために、自分で検索できるようなFAQページの充実も重要です。
プロセスのIT化
プロセスのIT化により、自動ルーティングや自動判定などを導入することで、顧客からの問い合わせをスムーズに処理できます。
コールセンターには、問い合わせやクレーム対応などのさまざまなプロセスが存在し、従来の手動処理で行うと以下の課題と直面します。
- 時間がかかる
- ミスが発生する
- 顧客満足度が低下する
プロセスのIT化により、これらを改善できれば業務効率化に加えて、顧客満足度の向上まで期待できるでしょう。
データの利活用
コールセンターで蓄積される問い合わせやクレームなどのデータは、顧客に合わせたサービス提供に役立ちます。顧客ごとの履歴や嗜好を把握し、カスタマイズしたサービス提供を行えます。
例えば、過去の問い合わせ内容から、顧客の傾向を分析し、同様の問題が発生した場合に迅速かつ適切な対応を行えるといった形です。また、顧客が好む商品やサービスを把握し、それに合わせた提案を行うことで、顧客満足度を向上させることができます。
さらに、データを分析することで、顧客が抱える問題や不満点を把握し、改善点を見つけられます。
DXとIT化に共通する”ある”課題
DXとIT化に共通する課題として、人材不足が挙げられます。
例えば、中小機構の調査によるとDXに関わる人材が足りないという現状があり、約31%の企業が人材不足に悩んでいます。また、IT化に関わる人材不足も深刻で、約25%の企業が該当していました。
このような状況下で、企業がDXやIT化を進めるためには、人材の確保が重要です。しかし、DXやIT化に関わる人材は、単に技術的なスキルだけでなく、ビジネスに関する知識やコミュニケーション能力など、幅広い能力が求められることから確保は容易ではありません。
そのため、企業は人材の育成や採用に力を入れつつIT化やAIによる技術を取り入れることも検討しましょう。
コールセンターのDXに活用できるAIシステム
コールセンターのDXにおいて、AIシステムは欠かせない存在となっていますが、その中でも特に注目されるのがチャットボットとボイスボットです。
チャットボットやボイスボットによって得られたデータを分析することで、顧客の傾向やニーズを把握しやすくなりますし、オペレーターのスキルや知識が不足している場合でも、適切な回答ができます。
ここからは、それぞれの特徴を紹介します。
チャットボット
チャットボットは、AIシステムの一種であり、テキストチャットによる問い合わせに対応します。
オペレーターの負荷が軽減され、顧客からの問い合わせにも迅速に対応でき、24時間対応可能で休日や深夜でも問い合わせに対応できます。
チャットボットを活用することで、オペレーターの負荷を軽減し、効率的な対応が可能となるため、多くの企業で導入されています。
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ボイスボット
ボイスボットは、音声による問い合わせに対応するAIシステムです。自動応答が可能となり、オペレーターの負荷を軽減できます。
企業におけるさまざまな電話業務で発生する課題の解決に自動化で貢献し、カスタマーサポートの業務効率化やユーザー体験・売上の向上などが期待できます。
ボイスボットは顧客の問い合わせに対応するだけでなく、電話での予約や注文なども可能です。そのため、小売店や飲食店など、さまざまな業種で導入されています。
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まとめ
DXの実現に必要なIT化という手段は、企業の競争力を高めつつ時代にマッチしたサービスを提供するために必要不可欠な要素です。コールセンターも例外ではなく、テレワーク人口の増加や働き方改革へ柔軟に対応しつつ、顧客満足度を高めるためにもIT化を取り入れる必要があるでしょう。
有人対応に頼り切ったオフィスの電話対応は、チャットボットやボイスボットでオペレーターを増員せずに効率化できる場合があります。まずは企業内の課題を解決するためにIT化を進め、DXの実現へ向かって動き出しましょう。
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