2021/08/30

オムニチャネル戦略とは|メリットや課題、導入方法を解説

オムニチャネル戦略とは|メリットや課題、導入方法を解説

企業と顧客の接点は年々多様化しており、オムニチャネル化で一元管理することは顧客満足の向上につながり、競合企業との差別化になります。

この記事では、オムニチャネルの展開を検討している企業向けに、概要とメリットを解説します。

オムニチャネル化の一例として「ボイスボット」の導入メリットもご紹介しているので、あわせてご覧ください。

オムニチャネルとは?

オムニチャネルとは「企業が持つ顧客との接点(チャネル)を全て(オムニ)つなげる」ことで、2011年にアメリカからはじまった販売戦略の一つです。

顧客との接点とは、実店舗やECサイト、WEBサイトや広告、CMなど、顧客に企業の情報や商品を届ける全ての経路を指します。

SNSの発達でさらにチャネルが増えてきた今、これらを一元化しコスト削減や顧客満足の向上を狙った戦略です。

オムニチャネルは60兆円を超える大規模な市場で、この先も右肩上がりに成長していくと予想されています。

実店舗とインターネットの境をなくし、あらゆる経路から商品購入を促すことができるため、コロナ禍などで実店舗などひとつのチャネルが不調となっても、他のチャネルでカバーすることができます。

この先、働き方や社会情勢の多様化がより広がっていくなかで、積極的にオムニチャネルを取り入れていく企業が増えていくことが予想されます。

マルチチャネル・クロスチャネル・OMOとの違い

オムニチャネルと似た言葉に「マルチチャネル」「クロスチャネル」「OMO」があります。

この3つはオムニチャネルと何が異なるのでしょうか?

マルチチャネル

マルチチャネルは、「複数のチャネルを展開」することで、お互いのチャネルは連携はしていません。

実店舗とECサイトを運営しているが、2つは独立展開していて互いの在庫状況や顧客情報は連携されていない、といった状況です。

複数のチャネルがそれぞれ独立しているので、同じ企業が展開しているECサイトであっても、ポイントや会員情報の共有もなく「それぞれが単一したチャネル」として存在します。

チャネルを増やすごとに販路は増え売り上げは増加しますが、管理の手間が増え顧客にとっても利便性は高くありません。

「実店舗の他にECサイトも展開したいが費用をかけたくない」という場合は、マルチチャネルであれば比較的低コストで始めることができます。

クロスチャネル

マルチチャネルを発展したクロスチャネルは、複数のチャネルが「相互連携」した状態で展開されます。

実店舗、ECサイトの在庫情報はどのチャネルからも確認できるので、商品の確保がしやすく顧客にもリアルタイムで案内することができます。

また、顧客情報も一元化できるので1つのチャネルで登録してもらえれば、ECサイトを含むすべての店舗でポイントや会員情報を共有が可能です。

企業側では情報を一元管理することで、売れ筋やチャネルごとの傾向を分析が容易になり、効果的なサービスを提供できます。

顧客にとっても面倒な手続きをせずに買い物を楽しむことができ、購買意欲の向上も見込めるでしょう。

OMO

OMOは「Online Merges with Offline」の略で、インターネット上以外(オフライン)のチャネルとインターネット(オンライン)を連携させる販売戦略です。

OMOを取り入れた販売戦略はアプリを使ったフードデリバリーサービスやタクシー配車サービスで実施され、市場の拡大に成功しています。

オムニチャネルとの違いは、目的が「購入や販路拡大のみ」ではなく「顧客の体験を主軸と考える」点です。

例として、デジタルサイネージによる自動接客システムなど、顧客にネット内外問わず多様なサービスを体験してもらい、購買につなげていく戦略が展開されています。

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オムニチャネル化のメリット

オムニチャネル化すると、企業にとってどのようなメリットがあるでしょうか?

顧客満足度の向上

複数のチャネルが統一されることにより、顧客は面倒な手続きや余計な手間が無く商品やサービスを手に入れることができます。

例えば、ネットで購入した商品を実店舗で受け取ったり、実店舗で在庫が無くても他店やネット上から取り寄せたり、都合の良い時間と場所で受け取ることができます。

また、公式サイトから買い物をすると近隣店舗の情報が届いたり、SNSでフォローするとイベント招待やクーポンを受け取ることもでき、顧客と企業の接点が増えアフターサービスも充実するので、満足度が向上します。

顧客データを蓄積し活用できる

顧客が企業にコンタクトを取る方法は、来店やECショップの他にホームページやテレビCM、SNSと多様化しており、利用者層はそれぞれ異なります。

このデータを一元化し、年代や地域、購入商品や購入単価などを分析すれば、効果的な販売戦略に活かせます。

購入履歴や閲覧履歴に合わせた商品情報の配信や、関連情報を提供し新しい価値観の提供も可能です。

蓄積されたデータをもとに一人ひとりに合わせたアプローチを行うことで、顧客を囲い込みロイヤルカスタマーへとつなげていきます。

機会損失を減らすことができる

在庫や予約の空き情報をリアルタイムで確認できることは重要です。

顧客が「買いたい」と思ったときに商品を用意できなければ、販売の機会を逸してしまいます。

実店舗とECサイトの在庫状況を共有させたり、インスタグラムから商品を購入できたりとチャネル同士を結び付ければ、購入の機会を逃さず、企業と顧客双方にとってのメリットとなるのです。

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オムニチャネル化のデメリット

オムニチャネル化は企業にも顧客にも多くのメリットがありますが、導入するにはいくつかの問題をクリアしなければなりません。

どのような問題点や課題があるのでしょうか?

導入コストが高い

オムニチャネル化するには、まずチャネルを増やす費用がかかります。

ECサイトは無料からでも構築できますが、機能に制限があるため本格的に稼働するなら有料版を検討した方が良いでしょう。

TwitterやInstagramなどSNSのアカウント開設は無料ですが、広告を活用する場合はやはり費用がかかります。

また、それぞれのチャネルを連携させるためにはPOSのような別システムが必要なため、導入初期にはまとまった費用が必要です。

活用できる人材が必要

オムニチャネル化には、ネットやSNS、マーケティングに対して総合的な知識と経験が必要です。

実店舗やECサイトの構築、SNSやSEOの知見も必要なため、適正な人材が不足しています。

販売や店舗運営とSEOなどのWEB知識は全く別物なので、両方の経験や知識をもつ人材は不足しており、育成や採用が不可欠です。

また、運営が軌道に乗るまでは時間がかかるため、総合的にマネージメントをする人材も必要となり、適任者の選定が課題になっています。

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オムニチャネル化を失敗しないための4つのポイント

オムニチャネル化を成功させるためには、大きく4つのポイントを押さえることが重要です。

ロードマップの設定

まずは「ゴール=最終目標」を決定しましょう。

手当たり次第に店舗を拡大してSNSのアカウントを作っても、最終的に各チャネルを連携してどのような状態で顧客にアプローチしていくかを計画していないと、想定外の結果に終わるかもしれません。

「主力とするチャネルはどれか」「オムニチャネル化で何を得るか」「どの状態で成功とするのか」を導入前の段階で決定し、計画的に進めていきましょう。

カスタマージャーニーの策定

顧客が企業と接点を持ち、商品を購入してから利用するまでの軌跡を「カスタマージャーニー」といいます。

  • どこで企業を知り、どのチャネルから入って来たのか
  • 何と比較し、どのようなプロセスで購入に至ったのか
  • 購入後はどのような行動をとったのか

 

このような観点から顧客の行動(購入プロセス)を分析し、次のアプローチへのヒントにすることは、オムニチャネル化の成功の鍵になります。

どのプロセスを辿った顧客が初回の購入だけで終わったのか、リピーターになってくれたのかを把握することで、顧客が求める環境や情報を提供することができるのです。

各チャネルとの連携

オムニチャネル化が成功するには、各チャネルが同じ目標に向かって連携を取りながら行動しなければなりません。

「システムで一元管理=連携が取れている」のではなく、組織全体で認識を統一させ日々の進捗情報や課題の提出を密にすることが大切です。

また、全てのシステムを統合化すると、初めのうちは予期せぬエラーが起こることも考えられます。

各チャネルでそれぞれのシステム担当に任せるより、IT部門を設け総合的に対応することで混乱を防ぐことができるので、基幹部門の設立も検討すると良いでしょう。

PDCAサイクルを活用

新しい仕組みを取り入れたら、その効果を検証し、改善することで目標達成へ近づくことができます。

  • 従業員がシステムの使い方を理解できておらず、利点を活かせていない
  • 購入経路のカテゴリー設定が細分化されていないため、詳細まで分析できない

 

このような問題点が見つかった場合に、すぐに原因の究明と対策をたて、新しい方法で再スタートさせます。

オムニチャネル化を成功させるには、軌道に乗り安定するまでは常にPDCAサイクルを回し改善し続けましょう。

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オムニチャネル化にボイスボットがおすすめな理由

企業のチャネルには、店舗やネットの他に電話やメール窓口が存在します。

それぞれのチャネルに入ってきた問合せは「ボイスボット」を活用すれば、従業員の工数したり、顧客の生の声を商品に反映させることできるメリットがあります。

これまでは、コールセンターのようなシステムを持たないとお客様の声をデータ化し経営に活かすことは困難でしたが、ボイスボットを導入すれば寄せられた内容を有効に活用することができるのです。

また、スタッフの対応前に一次対応をボイスボットが行うことで、スタッフは要望を把握したうえで対応できるため、素早く顧客の要望に応えることができます。

ボイスボットとは

ボイスボットとは、かかってきた電話の内容をテキスト化し、回答を音声で返す「自動音声認識システム」です。

あらかじめシナリオを設定しておくことにより、予約や在庫状況の確認など定型的なやり取りを自動化することや、営業時間の変更をアナウンスすることもできます。

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ボイスボット導入のメリット

ボイスボット導入によるメリットを具体的にご紹介します。

取り次ぎや伝言の工数が削減できる

商品の不具合や予約変更などの電話は、まず状況を確認をすることが重要です。

購入した時の状況やお客様情報を即時把握できれば、担当部署を見つけやすく連携も容易に行えます。

また、伝言や取次ぎを行う際にも内容が自動でテキスト化されるので、電話を取った従業員がメールに書き起こす必要もありません。

あふれ呼を削減できる

電話が集中してかかってきた時、回線不足や対応する人員が不足し対応できないことがあります。

留守番電話や電話が込み合っているアナウンスを流すこともできますが、多くの顧客は離脱(電話を切る)してしまうでしょう。

ボイスボットは有人で対応できなかった電話に対応し、顧客情報や問い合わせ内容を認識し、内容によっては回答を返すことができるので顧客を待たせずに対応できます。

営業時間外の電話対応が可能

ボイスボットを導入すれば電話応対を半自動化できるので、時間外の電話対応も問題ありません。

定型的な内容であればその場で回答し、有人対応が必要であれば折り返しの約束を取ることも可能です。

対応した内容は全チャネルで一元化することにより、対応漏れを防ぐことができます。

まとめ

オムニチャネルの概要と導入メリットをご紹介しました。

複数の販売経路を一元化することは、手間を省き有益な情報提供や、迅速な対応を行うことができます。

顧客にとっても、店舗に出向かなくても企業との接点が増えることで、時間や場所を選ばずに商品やサービスが手に入ります。

導入には初期費用や適正な人材の確保が必要になるため、どうしても時間がかかってしまいます。

そこでまずはボイスボットのように比較的簡単に利用できるツールを導入し、顧客満足を高める販売戦略を検討してはいかがでしょうか。

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