2021/10/04

DXの進め方を6ステップで解説|進めるポイントや注意点も解説

DXの進め方を6ステップで解説|進めるポイントや注意点も解説

2020年ごろからDX推進は活発化し、成功・失敗事例が蓄積されつつあります。しかし、具体的な成果が目に見えにくいDXは中長期的な取り組みであり、進捗が把握しにくかったり、思うように進まなかったりすることがあるものです。

本記事では、進める前に知っておくべきことに加えて、DXの進め方を6ステップで解説します。また、失敗から学ぶ押さえたいポイントや注意点にも触れるため、ぜひ最後までご一読ください。

DXを進める前に知っておくべきこと

DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略であり、デジタル技術を活用してビジネスや社会の変革を目指す取り組みのことです。この変革を実現するためには、多くの課題や障害を乗り越える必要があります。

具体的には、以下の障害や課題が挙げられるでしょう。

  • 社員の意識改革
  • 経営層の参画とリーダーシップの発揮
  • デジタル技術の活用に対する理解
  • 変化に対する柔軟性
  • 既存のシステムとの互換性
  • セキュリティ面でのリスク
  • 競合他社の動向
  • 市場のトレンド

 

これらを踏まえた上で、自社に合ったDXの戦略を立て、着実に実行していくことが求められます。

DXを進める前に調査する

DXを進める前には、ツール選定に大きくかかわるプロセスである現状の調査が必要です。

  • 市場・競合・自社の3C分析
  • 政治・経済・社会・技術のPEST分析
  • 強み・弱み・脅威・機会のSWOT分析

 

などを活用し、1部署だけでなく企業全体の課題を洗い出し、無駄な工程や必要のない業務の切り分けを実施します。

まとめて変えるのではなく、それぞれに優先順位(取り組みやすさ・効果の出やすさ)をつけて取り組むことが大切です。

DXの進め方を6つのステップで解説

DXの進め方を、以下の6つのステップにわけて紹介します。

  1. 中長期で目的や戦略を設定する
  2. DXのロードマップを作成する
  3. DX推進の体制を整備する
  4. 必要な外部のツールを導入する
  5. 業務のデジタル化を実行する
  6. データを蓄積し、PDCAを実行する

 

中長期で目的や戦略を設定する

まずはDXを推進する目的を明確にします。DXの第一歩として、企業が抱えている課題を洗い出し、経営陣がDXによってどのように改善されるのかを認識することが重要です。

DX推進後の理想像や最終的な目標を定め、それに向かって企業全体で動けるよう導入前に話し合っておきましょう。

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DXのロードマップを作成する

まず、DXを実行するために必要となるロードマップを作成しましょう。目標達成に向けた明確な方向性を示し、DXの実行をスムーズに進められます。

具体的には、顧客体験の向上や業務プロセスの効率化など具体的な目標を設定し、タイムフレームや手順などを明確にして、DXを実行するための枠組みを作ります。必要に応じて社内の関係者や外部の専門家と協力して、ロードマップを作成することも大切です。

DX推進の体制を整備する

DX推進のための責任者や参加者を決定し、業務のデジタル化を実行するためのチームを組織します。体制の整備により、DX推進を効率的に実行できるでしょう。

具体例として、代表的な以下の3ケースを紹介します。

  • IT部門を拡張するケース
  • 各部署にDX部門を設立するケース
  • DX部門を新設するケース

 

IT部門を拡張するケース

新しく設立したり、既存の部署へ人員を増やしたりすることでIT部門を拡張し、業務をデジタル化するためのITインフラを整備します。

IT部門が拡張されることで、システム開発やネットワーク構築、セキュリティ対策など、多岐にわたる業務を担えます。ただし、IT部門の拡張には人材確保や設備の整備など、多くの課題が伴うことから、計画的かつ綿密な準備が必要です。

各部署にDX部門を設立するケース

DX推進を行うために、各部署へのDX部門を設立します。各部署がDXに関する専門知識を持ったチームを持つことができ、より効率的なDX推進が可能です。

各部署が独自にDX推進を行うのではなく、専門的な知識を持ったチームが協力してDXを推進することで、より効果的な成果を生み出せるでしょう。

DX部門を新設するケース

DX推進のために、DX部門を新設する方法もあります。新設により、企業はデジタル技術を活用した新しいビジネスモデルの開発や、既存のビジネスプロセスを改善する専用のチームを立ち上げられるイメージです。

経営とDX部門だけが推進を進めると、各部署との軋轢の発生により失敗する恐れがあります。企業内の各部署と連携し、デジタル技術の導入に関する支援や教育を行うことで、全社的なDXの推進に貢献する動きが求められるでしょう。

必要な外部のツールを導入する

業務効率化や生産性向上のためにデジタル技術を用いたツールを導入することも検討しましょう。

これまで有人で行っていた経理システムや勤怠管理といった作業は、ITを活用すれば自動化できます。

例えば、ボイスボットはAIを搭載した電話自動応答システムで、予約や受注など定型的なやり取りを半自動化できるツールです。

さらに、対応内容をテキスト化し内容を分析することで、顧客ニーズの把握や課題の抽出に役立ちます。

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業務のデジタル化を実行する

必要な外部ツールを導入したら業務をデジタル化し、コールセンターの業務効率の向上やコスト削減へ動き出します。

ただし、用意ができているからと大規模な変革をスタートさせると、足並みがそろわなかったり、トラブル対応に追われたりするなどによって膨大な時間がかかります。

そのため、デジタイゼーション(アナログや物理データのデジタル化)や、デジタライゼーション(業務プロセスのデジタル化)から小さくスタートし、徐々に企業全体へ広げていくことが大切です。

データを蓄積し、PDCAを実行する

データを蓄積することで、DX推進の効果を測定し、改善を行うためのデータを取得できます。取得したデータを使ってPDCAを実行することで業務の改善を行えます。

  • Plan(計画)
  • Do(実行)
  • Check(評価)
  • Act(改善)

 

DXを成功させるためには、PDCAサイクルを回すことで、常に改善を続けていくことが必要です。

失敗から学ぶDXの進め方

DX推進に失敗した事例はいくつかあり、それらのパターンから成功確度を高めるヒントが得られます。失敗から学ぶDXの進め方として、以下に分けてポイントを紹介します。

  • ゴールは明確にする
  • 経営層こそコミットする
  • 車内全体で推進する
  • リーダーに権限と環境を整える
  • 人事そのものを見直す
  • 一定額の予算を用意する

 

ゴールは明確にする

DXプロジェクトを成功させるためには、最初に明確なゴールを設定する必要があります。そして、そのゴールは業務効率化や生産性の向上ではなく、変革の先にある競争力確保や提供価値の向上などの文化や仕組みづくりを設定します。

DXの手段が目的化し、ゴールも不明瞭になってプロジェクトがうまく進まない失敗はDXによく見られる事例です。ゴールの明確化によってプロジェクトの成功へ全員が協力し、DXの手段が目的化することも防げるでしょう。

経営層こそコミットする

DX推進には、経営層こそコミットが必要です。経営層がプロジェクトをサポートし、プロジェクトの成功を信じていなければ、社内文化そのものを変革できずに失敗してしまいます。

部下に丸投げすると、その周辺だけがDXに取り組む状態となるため、経営層が意思決定や社内全体の巻き込みを積極的にサポートし、プロジェクトを推進することが大切です。

社内全体で推進する

DXのプロジェクトは、社内全体で推進する必要があります。経営層だけがDXへ意欲的であったり、新設したDX部署のみが推進したりしただけでは、膨大な時間をかけても成果が追いついてきません。

社員一人ひとりがDXの重要性を理解し、その意識を高めることが必要です。社内での情報共有や教育研修などを積極的に行い、DXに関する知識やスキルを身につけるのも良いでしょう。

社内の横断的なコミュニケーションを促進し、部署間の壁を取り払うことも社内全体で推進するために必要です。

リーダーに権限と環境を整える

DX推進におけるリーダーへ、プロジェクトを推進するために適切な権限や環境を与えることも重要です。一定の権限を持つことで、効率的に各プロセスを実行できる状態を作れて成功確度を高められるためです。

強固なセキュリティの実現によってリーダーが特定の情報にアクセスできなくなると、進行に遅れが発生します。情報共有がうまくできていない環境では、認識のズレによる軋轢が発生することもあるでしょう。

人事そのものを見直す

人事そのものを見直し、制度を柔軟に変えていかなければDX人材が集まりません。働き方に制約があり、募集できる人材にも制限がかかってしまって、なかなか人手を集められない失敗も意外に多くあります。

  • ジョブ型人事制度の導入
  • 副業の解禁
  • 人材の育成・研修制度の拡充

 

などを導入し、よりDX人材が働きやすい環境を用意しましょう。こうした人事制度の見直しを進めていくことが、効率の良いDX推進につながります。

一定額の予算を用意する

DXには、一定額の予算を用意することも大切です。低予算で成功させたいという気持ちで取り組むと、部分的なデジタル化にとどまってしまい、現場も厳しい制限の中での実施となり不満が高まります。

DXの推進は大規模かつ中長期的な取り組みによって実現するものであり、ある程度の予算が必要です。小さく投資して効果を確認するフェーズがあったとしても、予算を正しく管理して必要なところに使うことで、DXプロジェクトを成功に導けるでしょう。

DXを進める際に押さえたいポイント

DXを進める際に押さえたいポイントは、以下が挙げられます。

  • 人材の採用・育成を進める
  • ツールを導入する
  • DXの先まで考えておく

 

人材の採用・育成を進める

DXを進めるにあたっては、中長期的な人材の採用・育成が必要です。DX人材は簡単に確保できず、貴重であるため、簡単に集められるものではありません。

例えば、確保のためにもある程度のコストは許容したり、部分的に切り出してアウトソーシングを活用したりすることも必要です。

また、既存社員の育成の戦略を立て、学習が継続するようなサポートも求められます。DX人材には、課題発見スキルや企画力、マネジメント力が必要なため、社内全体で育成を支援できるよう体制づくり等に注力しましょう。

ツールを導入する

業務・システムを自動化できるツールを導入することで、DXを進めることも大切です。人材面だけに頼らずに作業の効率化、顧客対応の迅速化といった、さまざまな効果を期待できます。

RPAツールの導入では、生産性の向上やミスの減少効果を実感でき、効率化によって得られたリソースを別の業務(顧客対応など)にあてられます。そのほか、CRMやSFA、MAといった営業・マーケティングの自動化・情報一元化ができるシステムを導入することで、営業・マーケティング活動の効率化を期待できます。

データを蓄積・利用できるメリットもあるため、DXを進める際には、ツール導入による業務・システムの自動化を検討しましょう。

DXの先まで考えておく

DXを進める際は、DXの先まで考えておくことが重要です。ただIT化するだけではなく、課題解決や事業目標達成のためのプロセスをデジタル化して大きな変革をもたらすことが本来のDXです。

従来の業務プロセスの効率化に固執するのではなく、新しい技術や手法を積極的に取り入れたり、社内全体の意識改革を進めたりする必要があります。

DXの先に何を見据えているのかを明確にし、各プロセスを経営陣が積極的に取り組み、社員にその意識を浸透させましょう。

DXの進め方における注意点

DXは段階を踏みながら企業全体で取り組んでいくことが成功の鍵となりますが、どのような点に注意して進めていけば良いのでしょうか?

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ビジョンを明確にして共有する

DX推進が上手くいかない理由に「DXを取り入れることで、どのような課題が解決できるのか」を明確にできていないことが挙げられます。

「DX=IT化」と考え最新のシステムやツールを取り入れただけの状態では、企業全体の変革に結びつきません。

DXに取り組む理由を定め、企業全体で意識を共有することを忘れずに行いましょう。

既存のシステムに囚われない

DXを進めるには新たなデジタル技術を取り入れることが不可欠ですが、既存システムが原因で上手く進まないことがあります

新システムに移行するにはデータのデジタル化や操作方法のマニュアル作りが必要なため、一時的に工数が増加してかえって生産性を低下させる場合もあります。

それでも最初に設定したビジョンを優先し、一歩ずつ進めていくことが大切です。

また、既存システムに合わせて新システムを選定すると、使いやすさやコスト面が優先されDX推進の目的から外れてしまう可能性も考えられます。

既存のビジネスモデルに固執せず、変革するためのシステムを選びましょう。

自社に最適な手法で行う

DXは長期的に実戦する必要があるため成果が分かりにくく、失敗と成功の判断も分かりづらいといわれています。

実際に成功例として挙げられる企業もまだ少なく、日本国内でも大企業の事例はいくつか聞かれますが、未だ取り組んでいない企業は少なくありません。

成功例や一般的に言われている方法を参考にするのは良いことですが「自社に適したやり方であるのか」を確認し、業務効率化や生産性向上に繋がっていなければ、途中であっても方法を変える必要があります。

継続的に取り組む

DXは一過性で終わらせずに継続的に進めていく企業の体制改革です。

成果を出すまでに時間がかかるため、一時的に従業員の負担は増加し、不満が出ることもあるかもしれません。

DX推進を継続して取り組むためには、ある程度の工数や資金の確保が必要であることを理解しておきましょう。

進んでいた方向が失敗だったとしても「長期的な体制づくり」と考え、トライアンドエラーを繰り返し最適な方法を見つけていくことが大切です。

コールセンターでDXを進めるメリット

コールセンターでDXを進めるメリットは、以下が挙げられます。

  • 顧客満足度の向上
  • サービス品質の向上
  • 収益性の向上

 

顧客満足度の向上

コールセンターにおいてDXを進めることで、顧客満足度を向上できます。顧客体験の改善につながるものが多く、応対品質の向上が見込めるためです。

具体的には、AIや自動応答システムを導入することで、顧客の問い合わせに迅速かつ正確に対応できます。また、顧客情報を一元管理することで、顧客の過去の問い合わせ履歴や購買履歴を把握し、より適切な対応ができます。

コールセンターでDXを進めることは、顧客満足度の向上だけでなく、オペレーターの業務効率化・負担軽減にもつながるため、企業にとって大きなメリットがあります。

サービス品質の向上

コールセンターでのDX推進は、サービス品質の向上にも効果が期待できます。マルチチャネル対応や応答率の向上などで全体的な品質が高まるためです。

例えば、AIを活用することで問題解決のスピードを向上でき、オペレーターはより高度な問題に対応するなどのリソースを確保できます。また、顧客からの問い合わせやクレームなどの情報を蓄積し、分析することで、顧客ニーズの把握やサービス改善につなげられるでしょう。

こうした積み重ねによって、サービスの品質を向上できます。

収益性の向上

DXの推進によって、コールセンターの収益性の向上も見込めます。自動応答システムや音声認識システムを導入すると、オペレーターの負担を軽減しつつ、対応に必要な人材も減らしてコストカットにつながるためです。

加えて、自動化によりオペレーターが対応できない営業時間外にも予約や注文を受け付けられると、機会損失を減らして売り上げの向上が見込めます。蓄積したデータを活用して商品・サービスの改善に役立てると、いわゆるヒット商品を生み出せる可能性もあるでしょう。

コールセンターにおけるDXはAIツールを活用

コールセンターのDXにおいては、AIツールの活用も有効です。専用の部署を設立したり、人員を確保したりする手間を削減し、素早く導入できるためです。

コールセンターのDXにおいて一般的な2つのAIシステムと導入事例について紹介します。

  • チャットボット
  • ボイスボット

 

ボイスボット

コールセンターの業務において、お問い合わせの中でも定型的なものを自動化できるボイスボットはDXに欠かせないツールとなりつつあります。ボイスボットは、音声認識技術を活用して、顧客との会話を自然な形で行い、問題解決に導きます。

今後、AI技術の進化によりボイスボットの精度は向上し、コールセンターの業務効率化や顧客満足度向上に貢献する活用もますます進むことが予想されるでしょう。

例えばある企業では、AI Messenger Chatbot導入により、以下の効果を得られました。

  • 問い合わせ対応の自動化
  • 高水準の、解決率70%
  • サポート体制の強化

 

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チャットボット

コールセンターのDXには、チャットボットも有効です。テキストチャットによる問い合わせに対して、チャットボットは自動返信や適切な回答を提供できます。

このため、コールセンターのオペレーターが対応する必要がなく、24時間稼働できるため、顧客からの問い合わせにいつでも対応できます。また、チャットボットを導入することで、顧客が問い合わせをする手間を省くことができ、顧客満足度の向上につながります。

例えばある企業では、AI Messenger Voicebot導入により、以下の効果を得られました。

  • 毎日、約15件の予約
  • 約90%が離脱せずに予約を完了
  • 日付は95%、名前は90%という高い認識精度

 

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まとめ

DXによる変革を実現するためには、多くの課題や障害を乗り越える必要があります。以下の進め方を参考にし、IT化からDXの先まで見据えて動き出しましょう

  1. 中長期で目的や戦略を設定する
  2. DXのロードマップを作成する
  3. DX推進の体制を整備する
  4. 必要な外部のツールを導入する
  5. 業務のデジタル化を実行する
  6. データを蓄積し、PDCAを実行する

 

これからますます働き方改革によって、オフィスに出社しなくても通常業務が円滑に行われる体制づくりが求められています。ボイスボットやクラウドシステム導入を足掛かりにDXの第一歩を踏み出してはいかがでしょうか。

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