コールセンターを外注委託した際に気になるのがクレーム対応です。
- 「クレームまでは応対できず、自社へと転送されるのではないか?」
- 「クレーム対応は業者にも嫌がられるのではないだろうか?」
- 「クレームが多いと、業者との契約が不利になるのではないか?」
そんな不安やお悩みをお持ちの方も多いことでしょう。 たしかにクレームは自社の問題であるため適切な対応が求められますが、すべてを自社で対応するのは、リソース面や作業効率面においても困難です。 そこで当記事では、クレーム処理の外部委託について解説していきます。
クレーム対応の重要性
クレームを出す顧客は、困りごと解決のため、あるいは商品・サービスに対してうれしさや喜びを感じることができないことに対する不満を伝えます。 クレーム対応には『グッドマンの法則』があります。
「不満を感じ、クレームを出した後、企業の対応に満足した人」のリピート率はクレームを出さずに去った人より圧倒的に高いという法則です。こうした法則からも、クレームにきちんと対応することは顧客満足度向上や企業のブランディング、差別化優位にもつながるため、非常に重要です。
クレーム対応の基本手順と5つのポイント
1.相手の心情に寄り添う
クレームやきつい言い回しに対し、なんとか早く逃れようとすぐに解決策を提示しがちですが、不快な思いをさせてしまったことに対してまずお詫びし、相手の話を傾聴しながら気持ちを理解してあげることがポイントです。
クレーム対応は迅速に対応することが基本となり、特に最初に相手に与える印象が重要となります。また、相手の話を聞くのが上手い人は、ただ無反応でいるのではなく、あいづちやクッションとなる言葉を適切なタイミングで入れます。これがクレーム対応のコツになります。
2.クレームの原因・事象を整理する
次にクレームの相手が何を不満に感じ、何を問題としているのか、クレームを解決するために必要な事実を聞き出し、整理しましょう。また、話を記憶に頼るのではなく、必ず記録することも大切です。
記録することで、整理された事実の関係や整合性を後で確かめることができるからです。さらに、相手の話を一方的に聞くばかりでなく、不明な点はタイミングを見ながら適切な質問で事実を補完していくようにしましょう。
ただし、こうした質問はある程度のスキルが必要となるため、クレーム対応のための社内研修など行なうとよいでしょう。また、業務知識を磨き、常識やマナーを身につけることも大切です。
3.解決策を提案する
相手の気持ちを理解し、不満や問題を整理し、次にようやく解決策の提案となります。ただし、このときもあくまで優先すべきはクレーム相手なので、自社都合、組織の論理を持ち込むことは絶対に避けましょう。 また、解決策は6W3Hで考えることが基本です。
- なぜ(Why)なぜ問題が発生したのか?
- 何を(What)解決策として何を行なうべきなのか?
- 誰が(Who) 担当者は誰なのか?
- 誰と・誰に(with Whom) 誰と誰に対して行なうのか?
- いつ(When)解決実施はいつまでに行なうのか?
- どこで(Where)解決実施はどこで行なうのか?
- どのように(How)解決実施をどのように行なうのか?
- いくら(How much)経費や費用はいくらかかるのか?
- どれだけ(How many) 解決実施のために数量はどれだけかかるのか?
4.お詫びと感謝をする
自社に問題の原因があり、相手に非がない場合は誠心誠意お詫びしましょう。場合によって、仕方のないミスもありますが、誠意のないお詫びや気持ちの伝わらない言動は、更なるクレームを招いてしまう危険もあります。
また、誰もがSNSなどを通じて情報発信を行なえる現代では、相手の不満が拡散され信用を失墜してしまう恐れもあります。そのため対応には注意しましょう。 一方、クレームは受ける側ばかりでなく、伝える側も時に勇気が必要で気も使います。
問題を伝えていただいたことに対し、感謝の心を忘れないことが大切です。
5.社内に共有/マニュアル化する
クレームは社内や部門内で共有し、今後の活動に活かすよう努力も必要になります。 世の中にはクレームから生まれた新商品や新サービスも数多く存在します。
クレームを受けたことをマイナスとして捉えるのではなく、次のステップに向かうためのきっかけとして捉え、より良い商品やより良いサービス開発に向け、今後の活動に活かしましょう。
また、問題発生からどのような経緯を辿って解決策を提案したのかを整理し、クレーム対応について何をどのようにして行なったのか、マニュアル化するようにしましょう。
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クレーム処理はコールセンター外注できる?
顧客からのクレームを自社で対応するのではなく、コールセンターなどに外注依頼することはできるのでしょうか? 業者によって内容は異なりますが、クレーム対応を代行してもらうことは可能で、クレーム専門のコールセンターも存在します。
依頼側はクレーム対応を外部委託することで、対応にかかる時間や経費、精神的なストレスを緩和させることができます。また、業者によっては客観的な分析に使用するクレームデータを蓄積し、解決策提案や業務改善提案を行なうところもあります。
昨今、過度な暴言や悪質クレーマーの存在が世間で問題になっていますが、このようなことでお困りの場合はクレーム代行といったアウトソーシングをおすすめします。
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クレーム処理を外部委託するメリット
業務効率の改善
クレーム電話の対応には、10分から15分、長い場合は1時間程度に及んでしまうこともあります。クレーム電話の対応中には、事務作業のストップ、顧客の来店・来社、問合せなどの対応遅れなどが生じてしまいます。
また、クレーム電話対応自体が疎かになってしまい、さらに相手を憤慨させてしまう場合もあります。これでは貴重な意見が活用されないばかりか、信用を失うことにもなってしまいます。
業務委託しクレーム対応することで、本業に集中でき、問題のある業務は改善することも可能となるためメリットといえます。
プロのオペレーターが対応
クレーム相手は、電話をした最初が一番興奮し怒っています。自社で電話を取り次いだ際、対応の仕方に問題があると、相手はさらにエスカレートしてしまいます。
クレーム処理を外部委託した場合、対応するのはプロのオペレーターです。クレームにも冷静に対応する研修を受けているため、相手も次第に落ち着いていきます。
また、外部委託の場合、クレーム対応は一次対応である場合が多く、実際のお詫びや解決策の提示は自社の担当者が行なうもしくは、大きな問題は上席対応することになりますが、事前にクレーム内容を把握してから対応できるので、回答内容を準備してから応対することができます。
顧客満足度が向上する
前述の通り、クレーム対応に問題があると、さらなるクレームに発展し信頼をなくしてしまうことにもなりかねません。しかし、対応方法によっては「あの企業の対応はとても素晴らしく、誠意が伝わった」といったケースも多く、このような場合はかえって顧客満足度が向上し、企業イメージも上がります。
クレーム処理を外部委託することで、プロのオペレーターが対応を代行してくれるため、相手の自社に対するイメージを好印象につなげる期待ができます。クレーム対応には、話法や心構えといったスキル、ノウハウも必要となるため、プロの起用はメリットも多いでしょう。
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クレーム処理代行できるコールセンター会社を選ぶポイント
現状のコール数、対応時間を把握する
コールセンター会社を選ぶ際、当然、見積もり比較やサービス対応比較も行ないます。 業者はどのくらいの件数で対応時間がどのくらいだといくらといった形で見積もりを提示しますが、この金額や対応可能なサービスは業者によって異なります。
そのため、見積もりを取る前にまず、自社のクレーム件数や対応に要した時間などを把握するようにしましょう。正確な自社状況の把握が行なわれていないと、外部委託する際、余計な費用がかかってしまうこともあります。また、本来必要であるはずのサービスが受けられていない、といったことが生じる恐れもあるため注意しましょう。
クレーム内容を明確にする
「クレーム対応には時間が取られてしまうし、面倒だから外部委託しよう」だけでは、外部委託の効果も期待できません。 自社ではこれまで、どのような商品・サービスに対し、どんなクレームが多かったのかをきちんと調査しましょう。
また、それぞれのクレームに対し、どのような対処を行ない、相手の反応がどうだったのかも明確にしておきましょう。こうした自社のクレーム対処をしっかり把握しておくと、業者に何を補完してもらい、何を期待しするのかが明確になり、依頼内容もより具体的になります。
複数の会社に見積もり依頼をする
「ネット検索で一番目立っていたからこの業者に決定した」といった理由だけでは、外部委託業者を選ぶ際、損をしてしまう可能性があります。料金体系やサービス対応内容は、依頼する業者によって大きく異なります。
そのため、「複数の業者をよく調べなかった」では、余計な経費発生につながることも考えられます。 クレーム処理代行ができるコールセンター会社を選ぶ際は、少なくとも3~5社程度、相見積もりを取ることをおすすめします。また、少しでも疑問や不明点がある場合は、業者にきちんと確認するようにしましょう。
AIでクレーム対応を円滑に!
クレーム対応で重要なことは、なるべく顧客を待たせずにスムーズに対応をすることです。なぜなら、電話がつながらない、メールの返信が遅いといった状態は、クレームをよりヒートアップさせてしまう恐れがあるからです。
しかし、どんなタイミングでもスムーズに対応するには、対応スタッフを十分に確保する必要があり、簡単に体制を構築できるものではありません。
そんな課題を解決できるのが、AIを用いた技術です。
「AIチャットボット」
チャットボット(chatbot)とは、「チャット」と「ボット」を組み合わせた言葉で、人工知能(AI)を活用した自動で会話できるプログラムのことを指します。人間同士が会話を行なうのがチャットですが、チャットボットの場合、一方はAIが人間に代わって会話を行ないます。
そのため、人員確保などは必要なく、基本的に24時間365日どんな時でも迅速な対応をすることができます。営業時間外や休日にクレームがあった際も、顧客の一次対応を瞬時に行えるため、「対応が遅い」という印象を与えることなく、大きなトラブルに発展することを防ぐことができます。
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「ボイスボット」でクレーム対応
ボイスボットとは、人工知能(AI)を搭載した音声認識可能なソフトウェアを用いることで、顧客が音声により自動応答システムを操作できる一種の電話代行を指します。
前項のチャットボット同様、このボイスボットも電話ベースにて、クレームの一次対応を行えます。ただし、温度感の高い顧客に対して、AIの音声対応はやや不向きなケースもあるため、要件のみをヒアリングする形で、専用の部署やオペレーターにダイアルを飛ばす、といったフローが最適です。
まとめ
クレーム対応は、顧客満足度向上や企業のブランディング力アップの上でとても重要です。クレーム処理は業者によって料金や内容は異なりますが、外部委託することもできます。
また、AIを搭載したチャットボットやボイスボットを活用することで、クレーム対応をより円滑に効率的に行えます。是非、検討してみてください。
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