テレワークを導入する企業が、最近急増しています。テレワークを実施すると、オフィスの縮小による経費や社員に支給する交通費が削減でき、時間・場所にとらわれない働き方も可能になります。
しかしテレワーク導入には、社員に負担や不満を与えないよう、解決しなければならない問題もあります。
特に電話対応は顧客との接点であり、おろそかにできない業務。テレワーク中に会社の固定電話にかかってくる電話には、どのように対応するべきなのでしょうか。
この記事ではテレワーク中に起こりうる、電話対応の問題点とその解決方法を紹介します。
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テレワークに移行する企業の急増
テレワークは、情報通信技術を活用して、時間・場所にとらわれない勤務形態のことです。2017年頃より働き方改革の一環として、推奨されていました。しかし実際にテレワークを導入したのは、一部の大企業のみ。中小企業の多くは導入が進んでいない状態でした。
これまで限定的な導入であったテレワークですが、2020年に事態は一変します。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、多くの企業がテレワークの必要性を実感。政府からも出社率低下が呼びかけられ、テレワークに移行する企業も増加しています。
テレワーク中の電話対応の課題
テレワークが普及しつつある現場ですが、運用上の課題もあります。その1つが、テレワーク中の電話対応です。
電話対応のためだけに出社しないといけない
テレワークを実施しても、会社の固定電話には電話がかかってきます。となれば、誰かが対応しなければなりません。電話番のために出社する社員が必要となり、出社する社員には不公平感を与えてしまうでしょう。
また電話対応で出社するとなれば、自宅から会社までの移動が発生します。移動時には感染リスクにさらされ、健康面の不安を感じる方も多いかと思います。同居家族がいる社員ならば、自身の感染だけでなく自宅にウイルスを持ち帰ってしまわないかと、余計に不安を抱くこともあります。
このように電話対応のためだけに出社する社員が出てくると、負担や不満を感じさせ、労働意欲の低下にもなりかねません。社員が安心して納得できる社内体制が必要といえます。
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新規問い合わせを逃してしまう
テレワークの導入有無に関わらず、新規問い合わせが入る可能性はあります。しかし問い合わせに対して、すぐ回答できる担当者が在宅勤務で不在ということもあるでしょう。その場合、出社している社員で対応するか、担当者に連絡を取って折り返し連絡してもらうかの、どちらかになるでしょう。
担当でない社員の代理対応では、回答に時間がかかったり、十分な回答ができなかったりという可能性があります。担当者からの折り返し連絡に、顧客を待たせてしまう結果となり、不満を感じさせる原因になるでしょう。顧客を待たせている間に、同業他社との商談が進んでしまうかもしれません。
こうした機会損失は、企業として避けたい事柄です。
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取次業務が多く発生する
テレワークによって出社している社員が減ると、電話対応も限られた人数で行うことになります。取次業務に追われて、作業効率が悪化すると、社員の負担も増えます。また電話がなかなか繋がらないと、顧客満足度の低下にもなるでしょう。
電話の取次をするにしても、出社していない担当者がすぐに捕まらないケースもあります。テレワーク中の社員と出社している社員とでは、お互いの状況が見えません。伝え方が悪いと、緊急性や重要性を理解してもらえないこともあるでしょう。
結果、折り返し連絡が遅れ、顧客からの信用を喪失。社員同士の信頼関係も損なわれるという、悪循環が生まれてしまいます。
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テレワーク中の電話対応問題の解決方法
テレワーク中の電話対応に関する問題は、どのような解決方法があるでしょうか。ここからは6つの解決方法を解説します。
ボイスボットを活用する
テレワーク中の電話対応に、ボイスボットを活用する方法があります。ボイスボットはAIによる音声認識で、問い合わせ内容を判別し、必要な回答や該当部署への取次をしてくれます。
従来の自動応答システムとしては、音声ガイダンスを聞いて該当する番号を押すと、担当部署に繋がるIVRがありました。多くの企業で採用されていますが、音声を最後まで聞いて操作しなければならず、顧客が手間取るケースも少なくありません。問い合わせ内容が複雑な場合、どの選択肢が適切なのか、顧客が判断できないこともあります。
ボイスボットは顧客の発生を音声認識して、問い合わせ内容を判別。メッセージを最後まで聞いてから操作する必要がなく、スムーズな取次が可能です。よくある問い合わせならば、AIが自動回答する設定もできます。
対応件数や時間帯を気にせず、電話の一次対応をAIが受け持ってくれれば、テレワーク中の電話対応による負担から社員を解放できるでしょう。
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担当者の携帯やスマホで折り返しをする
シンプルな対処法として、受付けた電話内容を担当者に通知し、折り返し連絡をしてもらう方法があります。テレワークの実施に関わらず、これまでも外出中の担当者に対して、同様の対応をしていたでしょう。
新しい設備を導入する必要がなく、担当者への連絡方法や業務フローなどの社内ルールを決めれば、すぐに使える解決方法です。しかしこの場合、電話対応のために出社する社員が必要になります。出社する社員の負担集中や、不公平感を与えない工夫が必要でしょう。
転送サービスを利用する
会社の代表電話にかかってきた電話を、転送サービスによって社外に居る社員が対応する方法もあります。携帯電話やスマートフォンに転送すれば、電話対応のために出社する必要はありません。
しかし転送サービスの利用にあたっては、電話会社ごとにサービス料が設定されています。1件ごとに料金が加算されるもの、一定件数までは定額料金で超過分に対して加算されるものなど、サービス形態は様々です。
また転送先は誰にするのかも、検討しなければなりません。1日あたりの着信件数が多く、問い合わせごとに担当者への連絡や個別対応が必要となれば、転送先の社員にとって負担になるでしょう。
導入にあたっては、自社の入電件数や問い合わせ内容の傾向を確認し、運用方法を決める必要があります。
アプリ、電話ツールを使う
専用アプリや電話ツールを導入し、相手先に通知する電話番号を会社の代表番号にできます。自宅や外出先からの発信でも、携帯電話やスマートフォンの番号を通知せず、会社からかけるのと同じ感覚で電話ができます。
また内勤事務が中心となる総務や人事、経理担当には社用携帯を支給していないケースが多く、テレワークをする場合、社内連絡ツールが必要になります。新たに会社貸与の携帯電話を用意する他に、専用アプリや電話ツールでも解決可能です。
社用携帯の支給より安価に導入でき、アプリ内通信が安価にできたり、情報共有できるグループチャットがあったりと、社内コミュニケーションにも活用できます。
電話代行サービスを使う
電話の一次対応による負担を解消したいなら、電話代行サービスも有効です。電話対応をまるごとアウトソースし、用件の聞き取りや顧客への案内、担当者への通知を代行。対応に長けた専門スタッフが電話に出るので、安心して電話対応を任せられ、社員の負担をなくせます。
テレワーク中の電話対応だけでなく、外回り営業や接客業務が多く、不在がちなオフィスでも活用できる方法です。
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クラウドPBXを利用する
クラウドPBXの利用も、電話対応の問題を解決する一手。
会社の固定電話を使うにはPBXを設置し、代表番号への着信を複数の回線で受けたり、社内連絡に内線通話ができるようにしたりします。しかし内線を使った電話の転送が固定電話に限定され、出社しなければ使えません。
このPBXをインターネット上にクラウド化すると、携帯電話やスマートフォンを内線化できます。顧客からの外線着信を、担当者の携帯電話に内線転送できるので、テレワーク中でも素早い電話取次が可能です。
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まとめ
テレワーク中の電話対応によって発生する問題と、解決方法を6つ紹介しました。
- ボイスボット活用
- 担当者に折り返し連絡するよう伝達
- 転送サービスの利用
- 専用アプリの導入
- 電話代行によるアウトソース
- クラウドPBXの利用
業務内容や会社規模、予算によって解決手段は異なります。自社の状況に合う解決方法を導入し、快適なテレワーク環境を整えましょう。
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