リモートワーク時に、代表番号にかかってくる電話対応手段として、転送サービスを検討する企業も多いのではないでしょうか。
出社せずに固定電話への着信に対応できれば、営業機会の損失を防ぎ、顧客満足度につながります。しかし、電話転送サービスの利用では、転送先となる社員への負担が発生するのも事実です。
この記事では、テレワークによって固定電話が使えないことで出てきた課題と、テレワーク中の固定電話への対応方法について解説します。
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テレワークで固定電話が使えないことによる課題
テレワークの実施で会社の固定電話が使えなくなると、どのような課題が出てくるのでしょうか。社員の負荷と顧客満足度の低下という、2つの面があります。
電話対応のため出社が必要
テレワーク導入しても、会社の代表番号には顧客や取引先から電話がかかってくるでしょう。そのため誰かが電話番として出社し、対応することになります。
そして誰が出社するのか、という問題が出てきます。
- 持ち回りで電話当番
- 新入社員が受け持つ
- 内勤の事務職員が出社する
いくつかの方法がありますが、いずれにせよ電話番に当たる社員が、不公平に思わないよう配慮が必要です。あるいは出社しなくても、固定電話の着信に対応できる方法を検討しなければなりません。
テレワークの社員の負荷が増加する
電話対応による負荷は、出社中の社員だけではありません。テレワークをしている社員にも、負荷がかかるケースはあります。
まずテレワーク中の社員は、会社の固定電話が使えません。顧客や取引先に電話をかけるには、携帯電話や自宅の固定電話を使うことになるでしょう。会社貸与の携帯電話がない場合は、個人携帯を使うことになります。業務上必要な連絡とはいえ、自宅や個人携帯の番号を、顧客や取引先に明かすのは抵抗があるものです。
また固定電話の着信を、社員の携帯へ転送するようにしている場合、転送先となる社員は負担がかかるでしょう。
テレワークを実施する企業は、社員の負荷を考慮し、固定電話への対応をどうするか考える必要があります。
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顧客とのコミュニケーション不足によるトラブルが発生
会社の固定電話が使えないと、顧客とのコミュニケーション不足から、トラブルに発展する可能性もあります。
全員が出社している状態なら、固定電話にかかってきた電話の取次もスムーズでした。しかしテレワーク実施中、取次相手が不在であると、素早い取次ができません。
担当者から折り返すとして一度電話を切り、テレワーク中の担当者に用件を伝えるにしても、お客様を待たせてしまいます。担当者が捕まらず、問い合わせが解決しないのは、顧客にとって不満を感じる点です。
結果として顧客からの信用をなくし、確認不足や行き違いなどからトラブル発生になると、取り返しのつかない損失となる恐れもあります。
顧客からの電話対応スピードの低下
テレワーク実施のため出社人数が減っていると、電話対応にあたる人数も少なくなります。当然、対応速度は低下し、何度もコールを鳴らしてからようやく電話が繋がる、という状態になるでしょう。
顧客からすると、電話がなかなか繋がらないのは、企業への不満や不信感に繋がります。不具合報告や緊急性のある連絡であれば、なおさらです。
電話対応のスピード低下から、新たなクレームが発生。クレーム対応に時間を取られ、業務が停滞しさらなるトラブルへ、という悪循環は避けたいところです。
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電話転送サービスでテレワークの電話対応問題を解決
上記のようなテレワーク環境でよくある電話対応問題は電話転送サービスを利用することで改善することができます。
電話転送サービスとは、会社の固定電話にかかってきた電話を自動で特定の電話番号に転送できるサービスです。
電話転送サービスのメリットとは?
電話転送サービスのメリットは主に以下の3つがあります。
- 電話の取次業務を省略することができる
- 固定電話の対応のために出社する必要が無くなる
- 今まで通りの電話番号で受信することができる
あらかじめ転送先となる社員を決めておけば、電話番のために出社する必要はありません。
しかし、誰を転送先にするのか、という問題もあるでしょう。会社の規模によっては、転送先に指定された社員1人では対応しきれない可能性もあります。転送電話の対応に追われ、業務が進まなくなると、特定の社員の負担が増えてしまうでしょう。
電話転送サービスの利用には、追加料金も発生します。料金体形は転送1件ごとの加算や、一定数まで定額利用でき、超過分に対して加算されるものなど様々です。件数が多いと、電話利用にかかる費用もかさんでしまうので注意しましょう。
<電話転送以外>テレワーク環境下の電話対応方法
テレワーク中の固定電話への対応方法は電話転送サービス以外にもいくつか方法があります。
出社中の社員が取り次ぐ
出社中の社員が電話対応して取り次ぐのは、従来通りのシンプルな対応方法です。
取次相手が出社しているなら、そのまま電話を繋げますが、テレワーク中の担当者への取次はあらかじめルールを決めておくと良いでしょう。担当から折り返し連絡するとして電話を切り、担当者に用件を伝えるといった内容です。連絡方法や伝言に入れる事柄も統一しておけば、聞き逃し・伝え忘れを防げます。
ただしこの方法では、出社している社員に電話対応の負荷がかかります。持ち回り制にしたり、当番の社員に何らかの手当を支給したり、といった方法で不公平感を取り除くようにしましょう。
またテレワークによって出社人数が減っているので、年次や役職に関係なく、出社している全員が平等に電話対応する協力体制も必要です。
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社員個人の携帯で代表番号を使えるようにする
専用アプリの導入やクラウドPBXを使うと、携帯電話からでも会社の代表番号で発信できます。個人携帯から代表番号を使えれば、顧客に個人の電話番号が伝わりません。テレワーク中の社員は、会社の固定電話からかけるのと同じ感覚で、顧客に連絡できます。
代表番号への着信も、各自の携帯電話から対応でき、誰かが電話を取ると呼び出しが止まるシステムもあります。
このように各個人の携帯で会社の代表番号を使えるようにすれば、社員の勤務場所がバラバラでも、出社して固定電話の対応をしているのと同じ感覚で使えます。
クラウドPBXを活用する
クラウドPBXを活用すると、出社しなくても固定電話への対応が可能になります。
従来、各事業所に設置していたPBX(電話交換機)を、インターネット上にクラウド化したものがクラウドPBX。これにより社員の携帯電話やスマートフォンを、内線化できます。固定電話の着信を内線転送したり、離れた場所から固定電話に対応したり、といったことが可能になります。
特定個人への電話転送の場合、転送先となった社員に負荷がかかりますが、クラウドPBXでは複数の転送先を設定でき、負担が集中しません。転送先として呼び出されている誰かが電話に出れば、他の呼び出しは鳴り止みます。
社員間の携帯電話による通話も内線利用でき、通信費の節約にもなります。
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ボイスボットを活用する
固定電話への対応に、ボイスボットを活用するという方法もあります。ボイスボットは従来の音声ガイダンスを聞いて、電話口で操作する電話対応に代わる方法として、注目の技術です。
AIが相手の発声を音声認識し、問い合わせ内容を判断。回答となるメッセージを再生したり、必要な部署へ転送したりと、電話の一次対応をAIが受け持ってくれます。
電話をかけた側も、操作案内を最後まで聞く必要がなく、問い合わせ内容に該当する選択肢で悩むこともありません。
よくある問い合わせはAIが回答してくれれば、社員の電話対応による負荷を減らせます。テレワークによって固定電話への対応に、人手が割けない時でも有効な方法です。
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まとめ
社員全員がリモートワークを実施すると、会社の固定電話を使えません。対応のために誰かを出社させたり、固定電話への着信を転送して誰かが対応したりといった課題があります。
また顧客とのコミュニケーション不足や、対応の遅れにも繋がり、トラブル発生は避けたいところです。
テレワーク中の固定電話への対応は、電話転送サービスの利用やクラウドPBX、ボイスボットの活用という方法もあります。
特にAIを使ったボイスボットは、電話対応の負担から社員を解放でき、今後さらなる発展が期待される技術。うまく取り入れて、快適なテレワーク環境の構築に役立てましょう。
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